第11話 古代装置発見
守護ゴーレムが崩れ落ちた広間の奥には、もう一つの扉があった。
先ほどのものより小さいが、それでも十分に重そうな石扉だ。
アルトたちは慎重に近づく。
ミラが床を調べる。
「罠は……なさそう」
ガルドが扉に手をかける。
「開けるぞ」
石の扉は、意外なほどあっさり動いた。
ゴゴ……
低い音を立てながら扉が開く。
その向こうには、小さな部屋があった。
先ほどまでの広間とは違う。
壁には棚のような石台が並び、部屋の中央には――
奇妙な装置が置かれていた。
アルトの目が見開かれる。
「……これは」
装置は人の背ほどの高さ。
円筒形の金属の柱。
周囲には輪のような構造が重なっている。
中央には淡い光を放つ結晶が埋め込まれていた。
まるで生きているように、ゆっくりと光が脈打っている。
エリシアが近づく。
「魔力が……強い」
ミラが装置の周りを回る。
「宝っぽいけど」
「触っていいやつ?」
アルトは慌てて止める。
「待ってください!」
彼はゆっくり装置に近づいた。
表面には細かい文字や紋様が刻まれている。
「古代文字……」
指でなぞる。
だが多くは摩耗していた。
完全には読めない。
ガルドが腕を組む。
「何の装置なんだ?」
アルトは装置を観察し続ける。
輪の構造。
魔力結晶。
刻印された魔法陣。
頭の中で知識が組み合わされていく。
「これは……」
エリシアが小さく言う。
「魔導装置?」
アルトはゆっくり頷く。
「ええ」
彼は結晶の光を見つめる。
「間違いありません」
そして静かに呟いた。
「これは……魔法装置です」
ミラが口笛を吹く。
「古代文明の?」
「はい」
アルトの声は興奮で震えていた。
「しかもかなり高度なものです」
ガルドが笑う。
「つまりすごい宝ってことか?」
アルトは首を振る。
「それ以上です」
彼は装置の構造を見つめる。
輪のような部分。
魔力の流れ。
何かを制御しているように見える。
「これは……」
アルトの眉がわずかに寄る。
「ただの魔道具じゃない」
エリシアが聞く。
「どういうこと?」
アルトは少し考えてから言った。
「研究装置の可能性があります」
ミラが首を傾げる。
「研究?」
「はい」
アルトは石板の文字を思い出す。
第七研究施設。
つまりここは研究所。
ならば、この装置は――
「古代文明が」
「何かを研究するために作った装置です」
そのときだった。
ずっと黙っていたリィナが、装置の前に立つ。
彼女は結晶をじっと見つめていた。
「……これ」
小さな声。
アルトが振り向く。
「何かわかるんですか?」
リィナはしばらく沈黙した。
そして――
「……懐かしい」
アルトの心臓が一瞬止まりそうになる。
「え?」
リィナは自分でも驚いたように首を振る。
「……わからない」
だが、その目は装置から離れなかった。
アルトは装置を見つめる。
胸の奥がざわつく。
この装置。
そしてこの遺跡。
まだ――
大きな秘密が眠っている。
アルトは静かに呟いた。
「この研究施設……」
「思った以上に重要な場所かもしれません」




