第10話 初ボス戦
守護ゴーレムの拳が振り下ろされた。
ドォン!!
石の床が砕け、衝撃が部屋中に響く。
アルトたちは散るように飛び退いた。
「危ねぇ!」
ガルドが叫びながら大剣を構える。
守護ゴーレムはゆっくりと体を起こす。
四メートルを超える巨体。
まるで壁が動いているようだった。
アルトの背中に冷たい汗が流れる。
「……強い」
ガルドが前へ出る。
「アルト、下がってろ!」
彼は勢いよく踏み込む。
大剣を振り上げ――
ガンッ!
ゴーレムの脚へ叩きつけた。
だが。
石の装甲はびくともしない。
「硬すぎる!」
守護ゴーレムが腕を振るう。
ガルドは咄嗟に剣で受ける。
ドンッ!
衝撃で数歩後退した。
「くっ……!」
その隙にエリシアが杖を掲げる。
「火球!」
炎の塊が一直線に飛ぶ。
ゴーレムの胸に直撃。
ドォン!
炎が広がる。
しかし――
ゴーレムは止まらない。
「効いてない!」
ミラが叫ぶ。
彼女は側面へ回り込む。
軽い足取りで柱を蹴り、ゴーレムの背へ跳ぶ。
「装置があるはず!」
背中を探る。
だが分厚い石装甲しかない。
「どこだ……!」
ゴーレムが腕を振り払う。
ミラは空中で回転し、床へ着地した。
アルトは必死に観察していた。
ゴーレムの構造。
動き。
魔導核。
胸の光。
「……違う」
アルトは気づく。
「胸じゃない」
エリシアが振り向く。
「え?」
アルトは叫ぶ。
「背中です!」
「魔力の流れが背面へ集中してる!」
ミラが振り向く。
「背中?」
アルトは指差す。
「首の下!」
「そこに制御装置があります!」
ガルドが笑う。
「なるほどな!」
彼はゴーレムへ突進する。
「ミラ!背中へ行け!」
「任せて!」
ミラは壁を蹴り上がる。
柱を足場にして跳び上がる。
ゴーレムの肩へ着地。
守護ゴーレムが激しく揺れる。
「落ちろ!」
腕が振り上がる。
その瞬間。
エリシアが魔法を放つ。
「雷撃!」
稲妻がゴーレムの顔を打つ。
一瞬だけ動きが止まる。
「今だ!」
ミラが短剣を突き立てる。
首の下。
石の継ぎ目。
ガキン!
ひびが走る。
「もう一回!」
短剣を深く突き込む。
バキッ!!
石装甲が砕けた。
中から金属の装置が露出する。
青い光が脈打っている。
「これか!」
ミラは思い切り短剣を叩き込んだ。
ズガン!
装置が破壊される。
次の瞬間。
守護ゴーレムの目の光が激しく点滅した。
「……防衛……機構……」
声が乱れる。
「……停止……」
巨体が揺れる。
そして――
ドォォォン!!
守護ゴーレムは崩れ落ちた。
石の破片が床に広がる。
静寂が戻る。
誰もしばらく動かなかった。
やがてガルドが剣を肩に担ぐ。
「……勝ったな」
ミラが息を吐く。
「疲れた……」
エリシアも杖を下ろす。
「かなり強かった」
アルトは崩れたゴーレムを見つめていた。
胸が高鳴っている。
「これは……」
彼は静かに言う。
「古代文明の守護装置」
ガルドが笑う。
「つまり」
「この遺跡のボスってやつだな」
ミラがゴーレムの破片を蹴る。
「で、倒したわけだ」
エリシアがアルトを見る。
「この先、どうする?」
アルトはゆっくり顔を上げた。
視線の先。
広間の奥。
そこには――
さらに奥へ続く扉があった。
アルトの目が輝く。
「……まだ終わりじゃありません」
「この研究施設の核心が」
「この先にあります」




