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暁の芽吹 -レスティン・フェレスⅠ  作者: Ruri Lesewolf
Episode0「その名で呼ばれるまで」
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7/230

⓪-7 対

 身長の低い少年はレイスを見上げ、手を銃に見立てていた。武器を持っていないことを不思議に思いつつ、ラーレは銃口を少年へ向けた。


「やめてラーレ!」

「レイス、このガキはなんなの!? さっきから聞いていれば、人を馬鹿にして」

「そうだろうね。そう受け取られても仕方ないかな」


 少年は澄ました顔で、達観しているようだった。少年は武器も持たず、あれだけの殺気を放っていたのだろうか。


「マイクは奥さんも、娘さんのことだって愛していたわ。私たちだって手を尽くしたの。でも、どうやっても助からなかった! だって、もう心臓も止まって……!」


 少年はラーレを見ようとしない。レイスを見つめたまま、ゆっくりと瞬きした。その金色の目は、人間ではない何かを連想させた。


「命は生まれ出るわけだから、いつかは尽きるものだよ」


 少年は微動だにしない。ラーレなら撃たないと、本気で思っているのだろうか。


「というか、マイクは君たちを裏切ったでしょ? 死んだ娘さんを蘇生出来るなんて、戯言のためにだよ?」


 少年の口元が歪んだ。反吐が出そうなほどの気味悪さ。ラーレは喉の奥底が熱くなるのを感じ、少年を睨みつけた。


「マイクが正しいことをしたなんて、思っていない。それでも、大切な娘の命なの。分かるでしょ!?」

「その大切な娘さんを蘇生なんてしたら、蘇りになる。娘さんは新たな神を名乗るのかな?」

「ふざけないで!」

「転生はしないし出来ない、そういう概念の宗派なんじゃないの? アナタたちってさ」


 ラーレは銃口を少年の胸に定めた。


「君は誰のために、何をそんなに怒っているの?」

「あなたは、人の死を、命を、なんだと思って……」


 この少年は、普通じゃない。

 毛が逆立つような感覚だった。


「二人ともやめてください」

「いや、そもそも君がちゃんと話してくれていたら……」


 すべての感覚が研ぎ澄まされ、少年が次にどう動くかが把握できるようだ。

 少年は手を挙げることもなく、撃たれても何の問題もないかのように振る舞った。


 ラーレに出来ることは、目の前の少年を撃つことだ。

 今、撃ち抜かなければ、撃てなくなる。


 年相応の反応を見る前に。

 情が湧く前に。


「言っておくけど、ボクはそんな拳銃では死なないからね」


 少年の言葉が言い終わるのを待たず、ラーレは少年の心臓を狙い、引き金を引いた。

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