表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神を殺す王 ―神武東征ダークファンタジー―  作者: 水前寺鯉太郎
神軍戦争

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/75

第34話

重力が狂い、瓦礫が宙を舞う砦の広場。

 イワレビコがタヂカラオの巨体に肉薄するその傍らで、もう一つの死線が引かれていた。

「……目障りな盾だ。天の光を遮る不純物め」

 ニギハヤヒが空中で指を弾く。

 背後に浮遊する十種神宝のうち、二枚の円盤――『死返玉まかるがえしのたま』が、意志を持つ捕食者のようにニニギへ向かって射出された。

「……っ、上等だ! 綺麗な顔して、吐く言葉はドブネズミ以下だな!」

 ニニギが、隼人の黒石で補強した大楯を正面に構える。

 円盤が接触した瞬間、火花が散るのではない。黒石の表面が、円盤の放つ「停止のことわり」によって、一瞬で白く結晶化し、崩れ落ちた。

「が、あぁッ……!?」

 衝撃ではない。盾を「存在ごと消去」されかける感覚に、ニニギの腕の骨が悲鳴を上げる。だが、彼は退かない。

 ニニギは盾の裏に隠していた直刀を抜き放ち、円盤の「面」を力任せに叩き落とした。

「ほう。……神具の理を、ただの鉄で押し戻すか」

 ニギハヤヒの瞳に、冷徹な計算が走る。

 彼は残りの円盤をすべて展開し、ニニギを取り囲むように配置した。

「『道返玉ちがえしのたま』。……空間を繋ぎ、逃げ場を断つ」

 円盤同士が光の糸で結ばれ、ニニギの周囲に「絶対切断圏」が形成される。

 一歩でも動けば、肉体はサイコロ状に切り刻まれる。ニニギは、自分の鼻先数センチを通過する光の糸の熱に、冷や汗を流した。

「……ニニギと言ったか。……お前は、なぜ戦う? そのイワレビコを守ったところで、人間に残るのは神の怒りによる絶滅だけだ」

「……、……。……難しいことは分からねえよ」

 ニニギは、盾を構えたまま、不敵に笑った。

 口の端から血を流しながら、その瞳にはイワレビコと同じ、泥臭い「生」への執着が宿っている。

「……だがな、あいつは俺の『隣』に立ってくれたんだ。……神様みたいに空の上から見下ろすんじゃなく、同じ泥を啜って、同じ痛みを抱えてよ。……なら、俺の盾は、あいつのためにある。……それ以外に理由がいるかよッ!!」

 ニニギが咆哮した。

 彼は死の檻を恐れず、自ら前方へと踏み出した。

 

 ――覚醒・【不動のふどうのきば】!!

 ニニギの全身から、黄金色の闘気が噴き出す。

 彼が掲げた大楯が、十種神宝の「切断」を無理やり飲み込み、逆に円盤を盾の表面に「吸着」させた。隼人の黒石と、マカツの鉄。それにニニギの執念が混ざり合い、一時的に神の理を凌駕する「絶対防御の磁場」を生み出したのだ。

「……何だと!? 神具の制御が……乗っ取られた!?」

「……綺麗な円盤だな! ……俺の盾の、飾りに丁度いいぜッ!!」

 ニニギが盾を突き出し、そのままニギハヤヒへ向かって肉弾突撃を仕掛ける。

 空中の支配者であったニギハヤヒが、初めて地上に引きずり下ろされようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ