68話 出発(修正版、旧68・69・70話統合)
朝。
村は賑わっていた。
人の声が重なり、流れができている。
入口には列。
簡易受付が機能していた。
「次の方」
エリシアの声。
落ち着いている。
無駄がない。
「森の中とは思えねえな」
冒険者が苦笑する。
「もう普通に村だろ、これ」
少し離れた場所。
ユウたちはその様子を見ていた。
「……回ってるね」
アリアが言う。
「ああ」
ユウは頷く。
人がいる。
流れがある。
止まっていない。
ミーナが周囲を見回す。
「人、いっぱい」
「これからもっと増えるよ」
アリアが言う。
「止まる理由がない」
ユウは視線を外へ向ける。
森の奥。
「問題はそこだな」
「ドワーフ?」
ミーナが聞く。
「ああ」
エリシアが合流する。
「建築に関しては限界があります」
「専門の技術者が必要です」
アリアが頷く。
「町経由で探すしかないね」
「ルークスあたりが現実的」
少しの沈黙。
ユウは村を見た。
人の動き。
整った流れ。
「……いや」
小さく言う。
「探す」
アリアがすぐに反応する。
「直接行く?」
「ああ」
「その方が早い」
ミーナがユウを見る。
「……行くの?」
ユウは頷く。
「ああ」
「長くはならない」
ミーナは少し迷って、
「……うん」
小さく頷いた。
エリシアが言う。
「村の運営は維持可能です」
「受け入れも問題ありません」
ガイアが腕を組む。
「戦力も足りてる」
カイルが笑う。
「帰ってきたらもっと増えてるかもな」
「それはそれで困るな」
ユウが返す。
少しだけ空気が緩む。
アリアが一歩前に出る。
「じゃ、決まりだね」
「ドワーフ探し」
ユウは小さく頷く。
村をもう一度見る。
(……大丈夫だな)
「行く」
短く言う。
ミーナが近づく。
「……待ってる」
「ああ」
それで十分だった。
準備はすぐに終わる。
荷物は最小限。
村の入口へ向かう。
朝の光。
人の気配。
一歩、外へ出る。
空気が変わる。
少しだけ静かになる。
森への道。
「ほんとに落ち着いたね」
アリアが言う。
「ああ」
歩き出す。
「久しぶりだね」
アリアが笑う。
「二人で動くの」
「ああ」
短い会話。
それでいい。
森の出口が近づく。
光が強くなる。
「……まずはルークスだね」
「ああ」
「情報を拾う」
二人はそのまま進む。
目的は、もう決まっている。




