67話 増加
翌日。
村の空気は、変わっていた。
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人が増えている。
明らかに。
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「……多いな」
ユウが呟く。
「うん」
ミーナが頷く。
「いっぱい来てる」
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入口付近。
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新しい冒険者たちが並んでいた。
装備も、雰囲気もバラバラ。
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「本当にあったな……」
「噂、マジだったのか」
「森の中に村ってなんだよ」
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ざわつき。
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その前で。
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「順番にお願いします」
エリシアが淡々と対応していた。
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「名前と所属を」
「滞在予定は?」
「利用規約の確認をお願いします」
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流れるような処理。
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アリアが小さく笑う。
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「完全に受付だね」
「向いてるな」
ユウが言う。
「当然です」
エリシアは止まらない。
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ガイアたちも近くにいる。
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「おい、押すな」
カイルが軽く声をかける。
「順番守れ」
ダンも補助に入る。
「列作れ」
レナは全体を見ていた。
「トラブルはない」
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自然と役割ができていた。
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ミーナがユウを見る。
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「すごいね」
「ああ」
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だが。
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「ちょっと待てよ」
列の中から声。
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一人の男。
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「ここ、誰の管理なんだ?」
「勝手に使っていいのか?」
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空気がわずかに変わる。
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エリシアが視線を向ける。
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「管理者はいます」
「利用は許可制です」
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「許可って誰のだよ」
食い下がる。
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カイルがため息をつく。
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「めんどくせえの来たな」
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アリアが小さく呟く。
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「いると思った」
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ユウは一歩前に出る。
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「俺だ」
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短く言う。
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男がユウを見る。
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「……お前が?」
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「問題あるか?」
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視線がぶつかる。
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少しの沈黙。
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男が鼻で笑う。
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「ガキが仕切ってんのかよ」
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空気が張る。
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カイルが一歩出かける。
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「おい――」
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その前に。
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「別にいいだろ」
ガイアが言った。
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男が視線を向ける。
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「ここ、使うならルール守れ」
「嫌なら帰れ」
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淡々とした言葉。
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だが、重い。
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男は一瞬だけ言葉に詰まる。
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周囲の視線も変わっていた。
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「……チッ」
舌打ち。
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「分かったよ」
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列に戻る。
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空気が緩む。
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カイルが笑う。
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「助かったな」
「だな」
ユウは短く返す。
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ガイアが肩をすくめる。
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「こういうのは最初が肝心だ」
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エリシアが続ける。
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「ルールは明確にします」
「後からでは遅いので」
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アリアも頷く。
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「いい流れだね」
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ユウは周囲を見る。
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人がいる。
動いている。
回っている。
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(……村じゃないな、もう)
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ミーナが楽しそうに言う。
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「にぎやか!」
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ユウは小さく息を吐く。
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「……管理だな」
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増えるなら。
整える必要がある。
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風が吹く。
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人の声が重なる。
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この場所は――
もう止まらない。
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「……やるか」
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次に進むための一言だった。




