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62話 配置

朝。


新しく建てた家が、朝日に照らされていた。


「……いいね」


ミーナが嬉しそうに言う。


「ちゃんと家だ」


「家だな」


ユウも頷く。


違和感はない。


周囲とも馴染んでいる。


「でもさ」


アリアが腕を組む。


「適当に増やすと後で困るよ?」


「……だな」


ユウも同意する。


「配置を決める」



地面に線を引く。



簡単な区分け。


「ここが中心」


ユウが言う。


「その周りに住居」


「外側に作業スペース」


ミーナが覗き込む。


「道も作るの?」


「ああ」


「動きやすくする」


アリアが頷く。


「最初に決めとくのは大事だね」


「後からだと直すの面倒だし」


「だから今やる」


ユウは線を引き直す。


少しずつ、形が見えてくる。



村の“形”が生まれていく。



「なんかそれっぽい!」


ミーナが笑う。


「ほんとに村だね」


「もう村だけどな」


アリアが言う。


だが。


「ちゃんと“作ってる”感じはある」


「……そうだな」


ユウも同意する。



線に合わせて、木材を出す。



柱。


壁。


簡易な柵。


「ここは通路」


「ここは広場」


一つ一つ、形にしていく。


『こういうのは歪まないから楽だねー』


リリィの声。


「助かる」


『無からじゃないしね』


『ただの組み替え』


ミーナが首を傾げる。


「さっきからそれ言ってるけど」


「ほんとに大丈夫なの?」


アリアも視線を向ける。


ユウは少し考え――


「問題ない」


そう答えた。


『うんうん』


リリィが軽く言う。


『前の人はそこ無視してたけどねー』


「……」


一瞬、空気が止まる。


アリアが小さく聞く。


「それって」


「今回の原因?」


ユウは短く頷いた。


「ああ」


それだけで十分だった。


深くは言わない。


だが――


ミーナがぽつりと呟く。


「じゃあ」


「ちゃんと使えば、大丈夫なんだね」


「そういうことだ」


ユウは答える。



作業を再開する。



木材が組み上がる。


道ができる。


柵が伸びる。


少しずつ。


確実に。


「楽しいね、これ」


ミーナが笑う。


「だな」


ユウも小さく頷く。


単純な作業。


だが、悪くない。


「こういうのがいいんだよ」


アリアが言う。


「戦ってばっかりじゃなくてさ」


「……ああ」


ユウも同意する。



昼。



一度手を止める。


「休憩」


アリアが言う。


「やりすぎると倒れるよ」


「問題ない」


「あるの」


即答だった。


ミーナが笑う。


「アリア強い」


「当たり前」


三人で座る。


少しの間。


何も話さない。


風の音だけ。



静かな時間。



「……いいね」


ミーナが言う。


「うん」


アリアも頷く。


「こういうの」


「悪くない」


ユウは空を見る。


青い。


何もない。


(……平和だな)


実感が、ようやく湧く。


『でしょ?』


リリィの声。


『これが普通』


「……ああ」


『無茶しなければね』


「分かってる」



アリアがふと聞く。



「これさ」


「どこまで大きくするつもり?」


ユウは少し考える。


そして。


「来た人が困らないくらい」


ミーナが笑う。


「いっぱい来るね!」


「来るだろうな」


アリアも頷く。


「あの人たち戻ってくるし」


「ティアナも来るし」


「そのうち他も来るよ」


ユウは小さく息を吐く。


「……だろうな」



だから。



「広げる」


短く言う。



静かな村。



だが。


未来は、確実に広がっている。



風が吹く。


その中で。


ユウは、次を考えていた。

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