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61話 伐採

朝。


空気は穏やかだった。


「よし」


ユウが軽く息を吐く。


「今日はやるぞ」


ミーナが元気よく手を上げる。


「おー!」


アリアは苦笑する。


「やるって言ってもね」


「いきなり全部は無理でしょ」


「分かってる」


ユウは頷く。


「順番にやる」


視線は森へ。


「まずは木だ」



森の入口。



「この辺りからやる」


ユウが指差す。


「拠点の周囲だけ」


「広げるの?」


ミーナが聞く。


「ああ」


「視界と安全確保」


アリアが頷く。


「なるほどね」


「戦いやすくもなる」


「それもある」


ユウは木に手をかざす。


一瞬。


木が消える。


「……やっぱり慣れないなこれ」


アリアが呟く。


「便利すぎる」


「そういうものだ」


ユウは淡々としている。


次々と木が消えていく。


だが。


「その辺でいいんじゃない?」


アリアが言う。


「やりすぎると違和感出るよ」


「……だな」


ユウは手を止めた。



ぽっかりと空いた空間。



視界が開ける。


「明るい!」


ミーナが嬉しそうに言う。


「全然違う!」


「これで周囲は見やすくなる」


ユウは頷く。


「魔物も近づきにくい」


『いや普通に来るけどね?』


リリィの声。


「……だろうな」


少しだけ苦笑する。


「でも対応はしやすい」


「それが大事」


アリアが言う。



ユウは手を軽く振る。



次の瞬間。


木材が現れる。


整った板。


均一な柱。


「うわぁ……」


ミーナが見上げる。


「いっぱい!」


「これで材料は十分だ」


アリアが腕を組む。


「で?」


「何から作るの?」


ユウは少し考える。


優先順位。


必要なもの。


「……住居だな」


「増える前提で?」


「そのつもりだ」


「だろうね」


アリアが笑う。


「人、絶対増えるし」


ミーナも頷く。


「うん!」



ユウは木材を見る。



(……イメージ)


形。


構造。


強度。


「出す」


小さく言う。


次の瞬間。


木材が組み上がる。


柱が立ち。


壁ができ。


屋根が乗る。


「え」


ミーナが固まる。


「もうできた」


家が、そこにあった。



静寂。



アリアがため息をつく。


「……やっぱりそれやるよね」


「効率重視だ」


「知ってる」


ミーナが中に入る。


「すごい!」


「ちゃんと家だ!」


ユウも確認する。


問題ない。


「……いけるな」


『まあイメージちゃんとしてるしね』


リリィが軽く言う。


『でも慣れないとズレるよー』


「分かってる」


ユウは頷く。



拠点に、新しい家が増えた。



「なんか一気に村っぽくなったね」


ミーナが言う。


「ああ」


アリアも頷く。


「一気に進んだ感じ」


ユウは周囲を見る。


土地はまだある。


材料もある。


やれることは多い。


「……次だな」



静かな作業。



だが確実に。


村は広がっていく。



「忙しくなりそうだね」


アリアが笑う。


「そうだな」


ユウも小さく笑った。



風が、心地よく吹いていた。



発展は、始まったばかりだ。

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