59話 静けさ
朝。
作業が一段落する頃。
ガイアが口を開いた。
「一旦、戻る」
「街にか?」
カイルが聞く。
「ああ」
ガイアは頷く。
「ギルドへの報告がある」
「今回のは流石に黙ってられねえ」
レナも続ける。
「異常個体、統率行動……」
「情報としても価値が高い」
ダンが肩を回す。
「素材も売らねえとな」
「金も補充しとかないと」
現実的な話だ。
ユウは頷く。
「……戻るのは妥当だな」
「だろ?」
ガイアが笑う。
そして。
少しだけ、間を置いた。
「で――戻ってくる」
カイルがニヤッとする。
「だろうな」
「あそこまで言っといて帰るわけねえ」
レナも静かに言う。
「ここを拠点にする判断は変わらない」
ダンが頷く。
「むしろ、あの戦いで確信した」
ガイアがまとめる。
「準備して戻る」
「正式に、ここを使う」
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言葉に、重みがあった。
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ミーナの顔が明るくなる。
「ほんと!?」
「ああ」
ガイアが笑う。
「ここ、気に入ってる」
カイルも肩をすくめる。
「飯もうまいしな」
「そればっかりね」
レナが呆れる。
エリシアが一歩前に出る。
「なら、戻る前提で整備を進めます」
「受け入れも考えましょう」
「助かる」
ガイアが頷く。
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少しの沈黙。
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「世話になった」
短く言う。
「まだ途中だけどな」
カイルが笑う。
ユウは軽く頷いた。
「ああ」
それで十分だった。
冒険者たちは歩き出す。
森の方へ。
その背中に。
今度は迷いがない。
ミーナが手を振る。
「待ってるねー!」
やがて、見えなくなった。
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静かになる。
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「……減ったな」
ユウが呟く。
「うん」
ミーナも頷く。
「なんか、広い」
アリアが周囲を見る。
「人が多かったからね」
ついさっきまでの賑やかさが嘘みたいだ。
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「私はもう少ししたら戻るわ」
ティアナが言う。
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「街に?」
アリアが聞く。
「ええ」
ティアナは頷く。
「商売の段取りと、引っ越しの準備」
ミーナが目を丸くする。
「引っ越し?」
「定期的にこっちに来る」
「拠点を移すのよ」
エリシアが納得する。
「その方が効率いいですね」
「でしょ?」
ティアナが軽く笑う。
「……また人増えるね」
ミーナが嬉しそうに言う。
ユウは小さく頷いた。
「ああ」
ティアナがユウを見る。
「受け入れる側、準備しなさいよ」
「……分かってる」
短く返す。
「じゃあ、行くわ」
ティアナはそのまま森へ向かう。
「すぐ戻る」
「待ってる」
ユウが答える。
その背中も、やがて見えなくなった。
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完全に、静かになる。
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残ったのは。
ユウたちだけ。
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風の音だけが、響く。
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「……静かだな」
ユウが言う。
「うん……」
ミーナが小さく頷く。
「ちょっと寂しい」
アリアが笑う。
「でもさ」
「こういうのも悪くないでしょ?」
ユウは少しだけ考える。
そして。
「……落ち着くな」
素直に答えた。
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拠点を見回す。
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人は減った。
だが――
(……ここは、もう村だ)
あの時の言葉が、残っている。
『で、どうするの?』
リリィの声。
「これから、か」
『そうそう』
少し考える。
やることは決まっている。
「……発展させる」
小さく言う。
アリアが反応する。
「いいね」
「何からやる?」
ユウは森を見る。
土地を見る。
資源を見る。
「まずは――」
一拍。
「効率を上げる」
アリアが笑う。
「また何か考えてる顔だ」
「まあな」
「相談する?」
「する」
ユウは頷いた。
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静かな村。
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だが。
止まってはいない。
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ここから先は。
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自分たちで、広げていく。
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「……やるか」




