40話 暴かれる力
焚き火の前。
静かな夜――のはずなのに、
空気はピリピリと張り詰めていた。
その中心にいるのは、ティアナだ。
じっと、俺を見ている。
逃げられる感じじゃない。
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「この場所――誰が作ったのか」
もう一度、同じことを聞かれる。
いやこれ、完全に確信してるやつだろ。
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「偶然、なんて言わないわよね?」
「水も土もおかしいし、温泉まであるし」
「さっきの結界も」
一個ずつ詰めてくる。
逃げ道を潰してくるタイプだ。
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「……で?」
一歩、距離を詰められる。
「あなたがやってるの?」
直球すぎるだろ。
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「……」
言葉が出ない。
否定しようと思えばできる。
でも――
(無理だな)
ここまで見られてて誤魔化すのは、さすがにキツい。
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「……完全に、じゃない」
なんとかそれだけ言う。
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「どういう意味?」
すぐ返ってくる。
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「全部を意識してやってるわけじゃない」
「でも……多分、俺が原因だ」
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少しの沈黙。
ティアナはじっとこっちを見て――
「……なるほどね」
あっさり受け入れた。
いや、いいのかそれで。
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「で、何してるの?」
次が来た。
これが本題か。
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どうする。
どこまで話す。
さすがに全部は――
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「話していいわよ」
横からアリアが口を挟む。
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「いいの?」
ティアナが聞き返す。
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「ここまで来たら隠しても無駄」
即答だった。
「それに、この人は止まらない」
なんか評価がひどい。
いや合ってるけど。
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……観念するか。
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「……スキルだよ」
俺は小さく言った。
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「スキル?」
ティアナが首をかしげる。
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「“クリエイトブック”」
その名前を出す。
「書いたものを現実にするスキル」
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「……は?」
固まった。
そりゃそうだ。
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「家も井戸も畑も、ほとんどそれで作った」
ついでに全部言っておく。
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「……ちょっと待って」
ティアナがこめかみを押さえる。
「情報が一気に来たんだけど」
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「悪い」
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しばらく無言。
完全に思考中だ。
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やがて、ふっと息を吐く。
「……なるほどね」
さっきと同じ言葉だけど、今度は重みが違う。
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「だから全部整ってたのね」
「説明はつく」
冷静に整理していく。
さすが頭いいなこの人。
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「つまりこの拠点は、あなたが作ったってこと?」
「まあ、そうなる」
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「で、その影響で外がおかしくなってる」
「……多分」
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「危険ね」
即答だった。
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「力としても、状況としても」
「バレたら終わりよ、これ」
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「分かってる」
それは本当にそう。
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「止める気は?」
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「ない」
これも即答。
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ティアナはちょっとだけ目を細めた。
「……そう」
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「止めても意味ないわよ」
アリアが横から言う。
「もう始まってる」
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「でしょうね」
ティアナもあっさり同意。
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少しの沈黙。
焚き火の音だけが聞こえる。
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「じゃあ一つだけ」
ティアナが言う。
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「どこまでやるつもり?」
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「守れるところまで」
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短く答える。
でも、それしかない。
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「……そう」
ティアナはしばらく考えて、
それから小さく笑った。
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「面白いわね」
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え、そっち?
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「普通なら止めるところだけど」
「その力、放っておく方が危険だわ」
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予想外の方向に話が進んでいく。
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「監視はするわよ」
きっぱり言う。
「暴走したら止める」
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「……はい」
反論できない。
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「でも」
少しだけ口元が緩む。
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「必要なら手も貸す」
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協力宣言だった。
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アリアが小さく息を吐く。
「決まりね」
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「監視付きか……」
俺がぼそっと言うと、
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「当然でしょ」
即答された。
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まあ、そうなるよな。
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でも。
悪くない。
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秘密はバレた。
でも――
一人で抱える状況じゃなくなった。
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焚き火の火が揺れる。
その中で。
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俺の“力”を知る人間が、
また一人増えた。
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(続く)




