表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/74

40話 暴かれる力

焚き火の前。


静かな夜――のはずなのに、


空気はピリピリと張り詰めていた。


その中心にいるのは、ティアナだ。


じっと、俺を見ている。


逃げられる感じじゃない。



「この場所――誰が作ったのか」


もう一度、同じことを聞かれる。


いやこれ、完全に確信してるやつだろ。



「偶然、なんて言わないわよね?」


「水も土もおかしいし、温泉まであるし」


「さっきの結界も」


一個ずつ詰めてくる。


逃げ道を潰してくるタイプだ。



「……で?」


一歩、距離を詰められる。


「あなたがやってるの?」


直球すぎるだろ。



「……」


言葉が出ない。


否定しようと思えばできる。


でも――


(無理だな)


ここまで見られてて誤魔化すのは、さすがにキツい。



「……完全に、じゃない」


なんとかそれだけ言う。



「どういう意味?」


すぐ返ってくる。



「全部を意識してやってるわけじゃない」


「でも……多分、俺が原因だ」



少しの沈黙。


ティアナはじっとこっちを見て――


「……なるほどね」


あっさり受け入れた。


いや、いいのかそれで。



「で、何してるの?」


次が来た。


これが本題か。



どうする。


どこまで話す。


さすがに全部は――



「話していいわよ」


横からアリアが口を挟む。



「いいの?」


ティアナが聞き返す。



「ここまで来たら隠しても無駄」


即答だった。


「それに、この人は止まらない」


なんか評価がひどい。


いや合ってるけど。



……観念するか。



「……スキルだよ」


俺は小さく言った。



「スキル?」


ティアナが首をかしげる。



「“クリエイトブック”」


その名前を出す。


「書いたものを現実にするスキル」



「……は?」


固まった。


そりゃそうだ。



「家も井戸も畑も、ほとんどそれで作った」


ついでに全部言っておく。



「……ちょっと待って」


ティアナがこめかみを押さえる。


「情報が一気に来たんだけど」



「悪い」



しばらく無言。


完全に思考中だ。



やがて、ふっと息を吐く。


「……なるほどね」


さっきと同じ言葉だけど、今度は重みが違う。



「だから全部整ってたのね」


「説明はつく」


冷静に整理していく。


さすが頭いいなこの人。



「つまりこの拠点は、あなたが作ったってこと?」


「まあ、そうなる」



「で、その影響で外がおかしくなってる」


「……多分」



「危険ね」


即答だった。



「力としても、状況としても」


「バレたら終わりよ、これ」



「分かってる」


それは本当にそう。



「止める気は?」



「ない」


これも即答。



ティアナはちょっとだけ目を細めた。


「……そう」



「止めても意味ないわよ」


アリアが横から言う。


「もう始まってる」



「でしょうね」


ティアナもあっさり同意。



少しの沈黙。


焚き火の音だけが聞こえる。



「じゃあ一つだけ」


ティアナが言う。



「どこまでやるつもり?」



「守れるところまで」



短く答える。


でも、それしかない。



「……そう」


ティアナはしばらく考えて、


それから小さく笑った。



「面白いわね」



え、そっち?



「普通なら止めるところだけど」


「その力、放っておく方が危険だわ」



予想外の方向に話が進んでいく。



「監視はするわよ」


きっぱり言う。


「暴走したら止める」



「……はい」


反論できない。



「でも」


少しだけ口元が緩む。



「必要なら手も貸す」



協力宣言だった。



アリアが小さく息を吐く。


「決まりね」



「監視付きか……」


俺がぼそっと言うと、



「当然でしょ」


即答された。



まあ、そうなるよな。



でも。


悪くない。



秘密はバレた。


でも――


一人で抱える状況じゃなくなった。



焚き火の火が揺れる。


その中で。



俺の“力”を知る人間が、


また一人増えた。



(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ