22話 森のウルフ戦
ウルフが低く唸る。
三匹。
黄色い目がこちらを睨んでいた。
「くるわよ!」
アリアが前に出る。
その瞬間、ウルフが地面を蹴った。
一匹がアリアへ飛びかかる。
「はっ!」
銀の軌跡。
アリアの剣が一閃する。
ザシュッ!
ウルフが地面に転がった。
だが残り二匹がすぐに回り込む。
「数が多いわね……!」
そのとき。
森の奥から飛び出してきた三人の冒険者が叫んだ。
「そいつら群れだ!」
「まだいるぞ!」
ガサガサッ!
茂みが揺れた。
さらに三匹。
合計五匹。
アリアが舌打ちする。
「ちょっと多いわね」
俺は周囲を見た。
正面に三匹。
後ろに二匹。
囲まれている。
そのとき。
リリィが俺の肩の上で言った。
「ユウ」
「書く?」
俺は一瞬迷った。
アリアには相談しろと言われている。
でも――
今は戦闘中だ。
俺は小さくつぶやく。
「……少しだけ」
「クリエイトブック」
光とともに本が現れる。
俺は急いで書いた。
『目の前に木の盾が現れる』
文字が光る。
ドンッ!
目の前の地面から、厚い木の盾が現れた。
「!?」
アリアが驚く。
次の瞬間。
ウルフが盾にぶつかった。
ドゴッ!
牙が木に食い込む。
「ナイス!」
アリアが横から斬りかかった。
ザシュッ!
一匹撃破。
残り四匹。
だが今度は、後ろのウルフがミーナへ飛びかかった。
「ミーナ!」
エリシアが叫ぶ。
ミーナは咄嗟にしゃがんだ。
その上をウルフが飛ぶ。
アリアが振り向くには少し遠い。
俺はすぐ本を開いた。
『ロープが現れる』
文字が光る。
シュッ!
空中に現れたロープがウルフの足に絡まった。
ドサッ!
ウルフが地面に転がる。
「えっ!?」
冒険者の一人が驚いた声を出す。
アリアがすぐ飛び込んだ。
「助かる!」
ザンッ!
また一匹倒れる。
残り三匹。
だが今度は冒険者たちも動いた。
「加勢する!」
鎧の男が剣を抜く。
ローブの女性が杖を掲げた。
「ファイア!」
小さな火球が飛ぶ。
ドンッ!
ウルフが吹き飛んだ。
最後の一匹が唸りながら後退する。
そして――
森の奥へ逃げていった。
静寂が戻る。
アリアが剣を振って血を払った。
「……終わったわね」
冒険者たちが息をつく。
鎧の男がこちらを見る。
「助かった」
「本当に」
そして俺を見る。
「今の……何だ?」
エリシアが俺を見る。
ミーナも見る。
アリアは少しだけため息をついた。
そして言う。
「……あとで説明してもらうわ」
俺は苦笑するしかなかった。
そのとき。
リリィが空中でくるくる回った。
「ユウつよい!」
ミーナが森の奥を見て言った。
「……もう魔物いない」
アリアがうなずく。
「よし」
「じゃあ帰りましょうか」
鎧の男が聞いた。
「どこに?」
アリアは森の奥を指さした。
「私たちの家」
三人の冒険者が顔を見合わせる。
「森の中に家?」
俺は少し笑った。
「あるんだ」
「ちゃんと」
迷い霧の森の奥。
小さな拠点。
だが今――
新しい客人が増えようとしていた。




