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17話 初めての獲物

森は再び静かになっていた。


倒れたフォレストウルフを前に、アリアが剣を鞘に戻す。


「よし」


「じゃあ解体するわよ」


俺が聞いた。


「食べられるのか?」


アリアは笑う。


「当然」


「ウルフ肉は普通に食べるわ」


そう言ってナイフを取り出す。


手際よく解体していく。


さすが冒険者だ。


エリシアが少し感心したように言う。


「すごいですね……」


アリアは肩をすくめた。


「慣れよ」


「冒険者は自分で食料確保することも多いし」


ミーナは少し不安そうに見ている。


だが目はそらしていない。


やがて肉の塊がいくつか出来上がった。


アリアが持ち上げる。


「今日はご馳走ね」


家へ戻る。


エリシアが言った。


「それでは料理しましょう」


するとミーナが小さく手を挙げた。


「……あの」


全員がミーナを見る。


ミーナは少し緊張した様子で言った。


「私……料理、できます」


アリアが少し驚く。


「ほんと?」


ミーナはうなずいた。


「奴隷の時……やっていました」


俺は笑った。


「じゃあお願いしようかな」


ミーナは少し嬉しそうに言った。


「はい」


キッチンに立つ。


エリシアも横に立つ。


「私も手伝います」


ミーナは肉を見て少し考えた。


そして言う。


「……スープにします」


井戸の水を使う。


野菜を刻む。


ウルフ肉を入れる。


ぐつぐつと鍋が煮える。


いい匂いが広がる。


リリィが鍋の上を飛ぶ。


「いい匂い!」


ミーナは木のスプーンで味を見る。


少し塩を足す。


それから小さくうなずいた。


「……できました」


テーブルに並ぶ。


ウルフ肉のスープ。


パン。


簡単な食事だ。


だが。


アリアが一口食べた瞬間。


「……うまっ」


思わず声を出した。


エリシアも驚く。


「本当ですね……」


「すごく美味しいです」


俺も食べてみる。


「……これはすごい」


普通に店レベルだ。


ミーナは少し慌てる。


「そ、そんな……」


リリィが言う。


「ミーナ料理うまい!」


ミーナは少し照れた。


そのとき。


俺は気づいた。


リリィが鍋を見ながら言った。


「精霊喜んでる」


エリシアが聞く。


「精霊がですか?」


リリィはうなずく。


「この畑の野菜」


「精霊いっぱい」


アリアが言う。


「そういえば」


「ミーナ、畑触ってたわよね」


ミーナは首をかしげる。


「……はい」


リリィが言う。


「たぶんミーナ」


「精霊に好かれてる」


俺は少し考えた。


精霊。


ミーナ。


リリィが見える。


そして――


魔物の気配も分かった。


もしかして。


ミーナには。


何か特別な力があるのかもしれない。


そのとき。


アリアが窓の外を見た。


「……ん?」


少し眉をひそめる。


俺が聞く。


「どうした?」


アリアは森の奥を見ている。


「人の気配」


エリシアが驚く。


「人?」


アリアは言った。


「この森に?」


少し警戒する。


「……しかも」


「一人じゃない」


静かな森。


だが今。


誰かが。


この場所に近づいていた。

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