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15話 森の朝

迷い霧の森の奥。


ユウたちの拠点に、静かな朝がやってきた。


小鳥の声。


木々のざわめき。


そして――


「……いい匂い」


ミーナが目を覚ました。


家の中には朝の光が差し込んでいる。


そして。


キッチンの方から香ばしい匂いがしていた。


ミーナがそっと起き上がる。


するとエリシアが鍋の前に立っていた。


「あ、ミーナ」


優しく笑う。


「おはよう」


ミーナは少し驚きながら頭を下げる。


「……おはようございます」


エリシアはパン生地をこねていた。


「朝ご飯を作ろうと思って」


「昨日、町で買った小麦がありましたよね」


ミーナは小さくうなずく。


「はい」


そのとき。


ふわっと小さな光が浮かんだ。


リリィだ。


「いい匂い!」


空中でくるくる回る。


「パン?」


エリシアはその姿を見て、少し微笑んだ。


「リリィさんもおはようございます」


ミーナが目を丸くする。


「……見えるんですか?」


エリシアは少し驚いた顔をする。


「はい?」


そして少し考えてから言った。


「昨夜……ユウさんが本に何か書いていましたよね」


「あの後から見えるようになったんです」


ミーナは小さくうなずく。


「……そうなんですね」


リリィは嬉しそうにミーナの周りを飛ぶ。


「ミーナだけじゃなくなった!」


「仲間増えた!」


ミーナは少しだけ笑った。


そのとき。


ドアが開く。


アリアが外から入ってきた。


「朝の見回り終わり」


肩を回す。


「森、静かだったわ」


そしてリリィを見る。


「おはよう、リリィ」


リリィが手を振る。


「おはよー」


アリアがミーナを見る。


「ミーナ、ちゃんと寝れた?」


ミーナは小さくうなずいた。


「はい」


そこへ。


俺も起きてきた。


「いい匂いだな」


エリシアが少し嬉しそうに言う。


「もうすぐ焼けます」


パンが焼ける。


井戸の水。


簡単なスープ。


そして。


森の中の小さな朝食。


みんなでテーブルを囲む。


アリアがパンをかじる。


「うまっ」


エリシアが安心した顔をする。


「よかった」


ミーナも一口食べた。


「……美味しい」


リリィはパンの欠片を持ちながら言う。


「ここ好き」


俺はその光景を見ていた。


昨日まで何もなかった場所。


だが今は違う。


家がある。


畑がある。


井戸がある。


温泉まである。


そして――


仲間がいる。


俺は言った。


「今日は何する?」


アリアがすぐ答える。


「私は狩り」


「肉欲しいでしょ」


エリシアが言う。


「私は畑を見ます」


ミーナも小さく言った。


「……お手伝いします」


リリィが飛びながら言う。


「精霊呼ぶ!」


平和な朝。


だがそのとき。


アリアの耳がぴくりと動いた。


「……ん?」


森の奥を見る。


少し眉をひそめる。


「どうした?」


俺が聞く。


アリアは森を見たまま言った。


「……気のせいかも」


少しだけ警戒した顔。


「森の奥」


「魔物の気配がした気がする」


静かな森。


だが。


何かが近づいているかもしれなかった。

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