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青春の被害者たちのラブソング  作者: 竹湧綺 / Take You-ki
第一楽章:残暑が奏でるプレリュード
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ギャル論

 やっと本に集中できるかと思ったら今度は別の人間に絡まれた。

 同学年の知り合い、是視創太《これみそうた》だ。

「友達だ。彼女じゃねぇよ」

「え、お前、俺以外に友達いたの? というかギャルが友達?! それなんてエロ漫画?」

「なーにがエロ漫画だ」

 失礼な物言いだ。俺にも、真夏にも。

 確かに真夏は、制服は着崩してるし、水泳部だから髪の色素落ちて少し明るくなってて、日焼けしてるからそう見えなくもないが。それとは、ちょっと違うような……。

 いや結局ギャルっぽく見えているなら、それはギャルになるのか? 難しいな。

「そもそも俺は是視を友達と思った事はない」

「ひっでぇ」

 俺と是視はお互い社会の成績で一、二を争ってる仲だ。地理・経済とかは俺に、歴史は是視に軍配が上がる。

 時々こいつがやってきて、歴史について話すことがある。きっかけは俺が歴史書を読んでた時に話しかけられたことだった気がする。そんなことが何度かあっただけだ。

 それを友達と呼ぶかと言われれば、人によるだろうが俺はちょっと違うと思う。

「学校外で遊んだことがないどころか、図書室《ここ》以外で話したこともない。夏休みだってチャットですら話してないんだろ」

「お前がインスタやってないからだろ」

「俺はLINEとXしかやってないの」

 そもそもSNS自体そんなに開かない。未読のまま数日おいてしまうなんてザラだ。

「ってか、お前あの可愛い子と夏休み遊んでたのか?!」

 是視が話を続ける。

「真夏のこと言ってんの?」

 確かに可愛い方ではあると思うけど。

「俺が貴重な青春をむさくるしい男どもと、玉転がしするのに費やしている間に!?」

「サッカー部が、サッカーを玉転がしって言うんじゃあないよ」

 仮にも副キャプテンだろうが。

「真夏の部活が終わった後に、カラオケだの映画だのに連れまわされたりとか、お盆には軽く旅行に行ったくらいで」

「旅行?! 女子と!?」

 俺の話を遮り、前のめりになって聞いてきた。どいつもこいつも図書室では静かにするって決まりを知らんのか。

「じゃあ同衾したってことか?! 童卒——」

「してないわ。あいつ彼氏いるぞ」

 面倒だから陽と真夏が付き合ってるってことにしておこう。どうせ秒読みだと思ってるし。いや、あいつらの関係性的に、付き合う前に結婚する可能性すらあるな。

「俺はその彼氏の方と仲が良くて、そっちに連れまわされてんの」

「でも一緒に旅行に行ったんだろ?」

「行ってたら何なんだよ」

「羨ましいなって話をしてんだよ! ちくしょう!」

 別にこいつは、俺と違って陽キャの側の人間だし、ちょっと頑張れば彼女の一人もできそうだけどな。

「安心しろよ。どうせ俺には彼女なんてできねぇから」

「本当か……? そういう奴に限って、しれっと作ってきたりするんだよな」

「その言葉、リボンでも付けてそのまま返してやろうか?」

 まあこいつに彼女ができたら、ここで絡まれることも少なくなりそうだし、結果オーライなのだが。

「ってか、お前部活はいいのか?」

「あ、やっべ。そろそろ始まるわ。じゃあな」

 去って行ってしまった。本当に騒がしい日だ。

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