報告
「え、曲ができた!? 本当に!?」
事件の翌週の金曜日、真夏が驚いたように聞き返してきた。
「まあな。俺たち、ここ一週間、謹慎で暇だったし時間はあったからさ。割と愛歌の力も借りちゃったけど」
「ううん。テーマ自体を考えたのは白だから。私は私の言葉を貸しただけだよ」
愛歌と目があって、少し微笑んだ。
「……」
真夏がニヤニヤと、俺と愛歌の顔を見てくる。
「なんだよ」
「いや、完全に仲直りしたみたいで良かったなって。暴力事件で謹慎処分って聞いた時はどうなることかと思ったけど」
真夏が笑いまじりに、安心したというように言った。
「仲直りって、喧嘩なんかしてないぞ」
「そうだね。ごめんごめん」
とはいえ、真夏にも感謝しないとな。
愛歌から聞いた話だが、俺と愛歌がギクシャクしてる時、間を取り持つよう動いてくれてたみたいだから。実際、助かったし。
「おい! 早く聞かせろって!」
陽に急かされ、二人に出来上がったデモを聴かせた。
「うお、すげ! プロの曲みてえ!」
いや、さすがにそれは言い過ぎだろ。
「真夏は?」
「うん。白らしくていいんじゃないかな。ライブでも映えそうだし」
お世辞かもしれないけど、それでもそう言ってもらえて良かったと胸を撫で下ろす。
「悪いな、時間かかっちゃって。あと二週間しかない」
「十分だよ。そのために練習してきたんだから」
「そうだぞ!」
……少しほっとした。
俺たちは、その曲の練習に取り掛かった。
*
次の月曜日。愛歌が学校に行っている間、一時的に家へ戻った。
この曜日、この時間は母親がパートに出ていて家にいないはずだ。先に中に入り、母さんが帰ってくるのを待っていた。
「おかえり」
扉が開いたので、そちらを向いた。
「白……?」
「うん、ちょっと話したいことがあって」
そう言って、真夏と愛歌が作ったチラシを見せた。
「言ってなかったけど、文化祭でバンドやるんだ。最後の枠。前から帰ってくるの遅かったり、週末家に帰らなかったのはそれが理由」
そして要件を伝えた。
「……そう……」
「……」
「……」
表を車が通りすぎた音が聞こえた。
「別に来てもいいし、来なくてもいいよ。念のため、教えておいただけだから」
そう言って立ち上がった。
「じゃあ、俺はいくよ」
「どこに?」
「その友達ん家。文化祭が終わるまでは帰ってこないから」
「そう。わかった。じゃあね」
「ん」
俺は家のドアを閉めた。その音が小さく響いた。




