第九話 ~初めての勧誘~
第9話を読んでいただきありがとうございます!
今回はレインが初めて冒険者として認められる回です。
ですが、新たな出会いは良いものばかりではありません。
ギルドを出ようとした、その時だった。
「君がレイン君か?」
低く落ち着いた声が聞こえた。
振り返ると、一人の青年が立っていた。
年齢は二十代前半ほど。
黒い軽鎧を身に着け、腰には一本の長剣を下げている。
胸には銀色の冒険者バッジ。
「僕はカイル。」
「Cランクパーティー《白狼》のリーダーだ。」
「Cランク……。」
レインは思わず息をのむ。
村では会うことすらなかった上級冒険者だ。
「少し話をしないか?」
ギルドの隅にあるテーブルへ案内される。
カイルはレインを見つめながら口を開いた。
「薬草採取で特上品質を大量に納品したそうだね。」
「はい。」
「運だけじゃ、あんな結果にはならない。」
「君には何か特別な才能がある。」
レインは返事に困った。
《世界改変》のことは話せない。
「そこで相談なんだけど。」
カイルは笑みを浮かべた。
「僕たちのパーティーに入らないか?」
「え?」
突然の誘いだった。
「新人としては破格の条件を約束する。」
「依頼の報酬も公平に分ける。」
「育成にも協力しよう。」
魅力的な話だった。
だが、その時。
「悪いけど、その子はまだ新人よ。」
聞き覚えのある声が響く。
フィアだった。
《蒼き風》の仲間たちも一緒だ。
「焦って決める必要はないわ。」
フィアはレインの隣へ立つ。
「もっと色々な経験を積んで、自分で決めればいい。」
カイルは苦笑した。
「確かに、その通りだ。」
「すまない。」
「少し急ぎすぎたね。」
そう言って席を立つ。
「でも、気が変わったらいつでも来てくれ。」
テーブルに一枚のカードを置き、去っていった。
「人気者になったわね。」
フィアが笑う。
「そんなことありませんよ。」
レインは照れくさそうに頭をかく。
「まだ一つ依頼を成功させただけです。」
「その一つが普通じゃないの。」
フィアは真剣な表情になる。
「あなたは自分で思っている以上に目立っている。」
「だから……。」
一瞬だけ言葉を止める。
「簡単に人を信用しちゃ駄目。」
「はい。」
レインは素直にうなずいた。
その頃。
王都の地下。
松明だけが照らす暗い部屋。
黒いローブの男が再び報告を行っていた。
「例の少年ですが。」
「Cランクパーティーから勧誘を受けました。」
玉座のような椅子に座る人物は静かに笑う。
「順調だな。」
「監視は続けています。」
「能力の詳細は、まだ判明しておりません。」
「分かっているのは……。」
「物や生物に何らかの"改変"を行えるということだけです。」
部屋は静まり返る。
「それで十分だ。」
男は小さくうなずく。
「力の全貌はいずれ分かる。」
「焦る必要はない。」
「はい。」
黒いローブの男は再び姿を消した。
一方その頃。
宿へ戻ったレインは、冒険者カードを机へ置いていた。
そして静かに手をかざす。
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【冒険者カード】
ランク:F
改変可能:NO
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「カードは変えられないのか。」
少し安心した。
もし何でも改変できるなら、自分の力は危険すぎる。
できることにも、できないことがある。
その事実に、レインは少しだけ胸をなで下ろした。
しかし、その直後。
青白い画面が静かに現れる。
《条件を満たしました》
《新たな改変対象を解放します》
レインは思わず立ち上がった。
「また新しい力……?」
画面には、見たことのない文字が浮かび上がる。
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《スキル》
解放可能
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レインは息をのんだ。
《世界改変》は、まだ底が見えない能力だった。
第9話を読んでいただきありがとうございました!
レインは初めてパーティーへ勧誘され、自分の力が周囲に認められ始めました。
一方で、敵組織は「改変」という能力の存在だけを把握し、静かに監視を続けています。
次回、第10話では《スキル》の改変が解放され、レインの力がさらに大きく成長していきます。
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