第八話 ~高品質~
第8話を読んでいただきありがとうございます!
今回は初依頼の報告です。
レインの能力が少しずつ周囲に知られ始めます。
夕方。
レインは採取したヒール草を抱え、冒険者ギルドへ戻ってきた。
「依頼達成の報告です。」
受付嬢は笑顔で木箱を受け取る。
「お疲れ様でした。それでは確認いたしますね。」
一株ずつ丁寧に品質を調べていく。
しかし、数本目を見たところで受付嬢の手が止まった。
「……え?」
もう一度確認する。
さらに別の一本を手に取る。
「そんな……。」
レインは首をかしげた。
「何か問題がありましたか?」
「い、いえ!」
受付嬢は慌てて首を振る。
「問題どころか、その逆です。」
受付嬢はヒール草を両手で持ち上げた。
「見てください。」
近くにいた冒険者たちも集まってくる。
「この色艶……。」
「こんな品質のヒール草、滅多に見ねぇぞ。」
「新人が採ってきたって本当か?」
ざわめきが広がる。
受付嬢は驚いた表情のまま言った。
「ほとんどが上品質です。」
「中には特上品質もあります。」
「通常価格では買い取れません。」
「え?」
レインは思わず聞き返した。
「特別査定になりますので、少々お待ちください。」
受付嬢は奥へ走っていった。
数分後。
一人の初老の男性を連れて戻ってくる。
胸元には金色のギルドバッジ。
どうやらギルド職員の責任者らしい。
「君がレイン君か。」
「はい。」
男性はヒール草を見て満足そうにうなずく。
「見事だ。」
「これほど品質の高いヒール草は久しぶりに見た。」
「通常報酬に加えて、品質報酬を支給しよう。」
革袋が机へ置かれる。
中には銀貨がぎっしり詰まっていた。
「銀貨八枚だ。」
「……え?」
依頼書には銀貨二枚と書かれていた。
「品質が高い物には、それだけ価値がある。」
「君の努力への正当な報酬だ。」
レインは思わず革袋を握りしめる。
追放されてから初めて、自分の力で稼いだお金だった。
「ありがとうございます!」
深く頭を下げる。
周囲からも拍手が起こった。
「新人にしちゃ大したもんだ。」
「これから期待できそうだな。」
その言葉を聞き、レインは少し照れくさそうに笑った。
その頃。
王都の外れにある古びた屋敷。
黒いローブの男は、一人の人物の前にひざまずいていた。
「報告します。」
「《鑑定士》の少年を発見しました。」
暗闇の奥から低い声が響く。
「……能力は。」
「普通の鑑定ではありません。」
「物の性質を書き換えている可能性があります。」
一瞬、部屋が静まり返る。
やがて低い笑い声が聞こえた。
「改変……か。」
「もし本当なら、我らの計画に必要な存在になる。」
男は静かに頭を下げる。
「監視を続けます。」
「殺すなよ。」
「まだ利用価値がある。」
「御意。」
男は闇へ溶けるように姿を消した。
一方その頃。
何も知らないレインは、宿屋の窓から王都の夜景を眺めていた。
「もっと強くならないと。」
守れるものを増やすために。
自分の居場所を見つけるために。
レインの冒険は、まだ始まったばかりだった。
第8話を読んでいただきありがとうございました!
初依頼は無事成功し、レインは初めて自分の力で大きな報酬を得ることができました。
一方で、《世界改変》の力に気付いた謎の組織も動き始めています。
次回、第9話ではレインが初めてパーティー勧誘を受け、新たな選択を迫られます。
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