第十話 ~初めてのダンジョン~
第10話を読んでいただきありがとうございます!
今回はレインにとって初めてのダンジョン探索です。
そして、物語が大きく動き始める異変が起こります。
翌朝。
レインは《蒼き風》と共に王都を出発した。
「今回向かうのは《エルファダンジョン》よ。」
フィアが地図を広げながら説明する。
「初心者向けのダンジョンだけど、昨日から魔物の動きがおかしいの。」
「だから調査ですか?」
「ええ。」
「本来ならFランクでも問題ない場所よ。」
歩くこと約一時間。
山の中腹に大きな洞窟が姿を現した。
入口には古びた石碑が立っている。
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《エルファダンジョン》
推奨ランク:F〜E
ボス:エルファ
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「ボスって……魔物なんですか?」
レインが尋ねる。
「そう。」
フィアはうなずく。
「エルファは巨大な狼型の魔物よ。」
「普段は最奥から出てくることはないわ。」
一行は慎重にダンジョンへ入っていく。
一階層にはゴブリンやスライムが現れたが、《蒼き風》の敵ではなかった。
レインも《鑑定》を使いながら着実に魔物を倒していく。
だが、奥へ進むにつれて違和感が大きくなっていく。
「……静かすぎる。」
弓使いが小さく呟く。
魔物の姿がない。
本来なら何十匹もいるはずなのに、一匹も現れない。
地面には爪痕。
壁には大きな穴。
まるで巨大な何かが暴れ回ったようだった。
「嫌な予感がする。」
フィアは剣を抜く。
やがて巨大な扉が見えてきた。
「ここが最奥……。」
大男がゆっくり扉を押し開ける。
ギギギギ……。
重い音を立てて扉が開いた。
その瞬間。
「なっ……!」
誰もが言葉を失った。
広い部屋の中央。
そこには、ボスであるはずの《エルファ》が倒れていた。
全身は無数の傷だらけ。
胸には巨大な穴が開き、すでに息はない。
「嘘だろ……。」
大男が戦斧を落としかける。
「ボスが……殺されてる?」
フィアも信じられないという表情だった。
「誰がこんなことを……。」
レインはゆっくりとエルファへ近づく。
鑑定を発動する。
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【エルファ】
状態:死亡
死因:胸部貫通
討伐者:解析不能
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「解析不能……。」
その時だった。
レインは違和感に気付く。
エルファの血はまだ乾ききっていない。
「まだ近くにいる……。」
その一言で全員の空気が変わる。
直後。
天井から何かが落ちた。
ドォン!!
土煙が舞い上がる。
ゆっくりと煙が晴れていく。
そこにいたのは、誰も見たことのない魔物だった。
四本ではない。
八本でもない。
まるで巨大な蜘蛛のような胴体に、異常なまでに発達した四本の脚で立つ異形。
全身は黒い甲殻に覆われ、脚の先端は鋭い槍のように尖っている。
複数の赤い眼が、一斉にレインたちを見つめた。
「なんだ……あれ。」
レインは思わず後ずさる。
フィアの額から汗が流れる。
「見たことがない……。」
「こんな魔物、図鑑にも載っていない。」
レインは震える手で《鑑定》を発動した。
__________
【????】
鑑定失敗
現在のレベルでは解析できません。
危険。
直ちに離脱してください。
__________
今までにない表示だった。
《危険》。
システムそのものが警告している。
その瞬間。
蜘蛛型の魔物がゆっくりと口を開く。
ギチ……。
ギチギチギチ……。
その不気味な鳴き声が、静まり返ったボス部屋に響き渡った。
第10話を読んでいただきありがとうございました!
今回はエルファダンジョンのボス《エルファ》が、何者かによって倒されているという異常事態が発生しました。
そして姿を現した謎の蜘蛛型魔物。
この魔物は通常のダンジョンには存在しない、物語の大きな鍵を握る存在です。
次回、第11話ではレインたちは生き残るため、未知の魔物との絶望的な戦い、あるいは逃走を選ぶことになります。
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