第六話 ~冒険者ギルド~
ロックベアを討伐したレインは、冒険者パーティー《蒼き風》と共に王都へ向かう。
翌日の昼。
レインたちは王都へ到着した。
「すごい……。」
思わず声が漏れる。
何十メートルもある城壁。
門を行き交う馬車。
鎧を着た騎士や、多くの冒険者。
フィルド村とは比べものにならないほど賑わっていた。
「驚いただろ?」
大男が笑う。
「ここが王都アルディアだ。」
「今日から、お前の新しい人生が始まる。」
レインは静かにうなずいた。
しばらく歩くと、一際大きな建物が見えてくる。
建物の正面には、大きく剣と盾の紋章が掲げられていた。
「ここが冒険者ギルド。」
フィアが説明する。
「冒険者なら必ず一度はお世話になる場所よ。」
扉を開けると、一気に賑やかな声が耳へ飛び込んできた。
「依頼達成だ!」
「次はダンジョンへ行くぞ!」
「酒だ酒!」
昼間だというのに酒場は満席。
受付には長い列ができていた。
「緊張するな……。」
レインが呟くと、フィアは微笑む。
「大丈夫。」
「受付の人は優しいから。」
数分後。
レインの番がやってきた。
受付には栗色の髪をまとめた女性が座っていた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。」
「本日は新規登録でしょうか?」
「はい。」
レインが答えると、受付嬢は一枚の用紙を取り出した。
「では、お名前と職業をお願いします。」
「レイン・アルトです。」
「職業は《鑑定士》です。」
「承知しました。」
必要事項を書き込んでいく。
そして、レインの装備を見た受付嬢は少し首をかしげた。
「失礼ですが……。」
「東大陸のお方でしょうか?」
「え?」
突然の質問にレインは目を丸くする。
「どうしてですか?」
「いえ、剣一本と最低限のお荷物だけで登録に来られる方は、東大陸出身の冒険者に多いものですから。」
レインは首を横に振った。
「違います。」
「俺は西大陸のフィルド村で育ちました。」
「そうでしたか。」
受付嬢は少し恥ずかしそうに笑う。
「失礼いたしました。」
「最近は東大陸から来られる方も増えているので、つい。」
「東大陸……。」
レインはその名前を心の中で繰り返した。
海の向こうには、まだ見ぬ大陸がある。
そんな話を村で聞いたことはあったが、本当に人の行き来があるとは思っていなかった。
「はい、登録は完了です。」
受付嬢は一枚のカードを差し出した。
銀色に輝く冒険者カードだった。
__________
【冒険者カード】
名前:レイン・アルト
年齢:15
職業:鑑定士
ランク:F
所属:冒険者ギルド
__________
「依頼を達成するとランクが上がります。」
「頑張ってくださいね。」
レインはカードを大事そうに受け取る。
(これが……俺の冒険者としての第一歩。)
その時だった。
ギルドの奥から怒鳴り声が響く。
「誰か新人はいねぇのか!」
大柄な男が受付へ近づいてきた。
「薬草採取程度でいい!」
「人手が足りねぇ!」
受付嬢は困ったように辺りを見回す。
そして、レインを見つめた。
「レインさん。」
「もしよろしければ、初めての依頼を受けてみませんか?」
レインは冒険者カードを握りしめる。
追放された少年の新しい人生が、今まさに始まろうとしていた。
第6話を読んでいただきありがとうございました!
レインは無事に冒険者登録を終え、新たな人生への第一歩を踏み出しました。
また、受付嬢との何気ない会話の中で「東大陸」の存在をさりげなく登場させました。この小さな一言が、今後の世界観につながる伏線になっていきます。
次回、第7話ではレインの初依頼が始まります。
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