第四話 ~冒険者との出会い~
第4話を読んでいただきありがとうございます!
今回はレインが初めて冒険者と出会います。
新たな出会いが、彼の運命を少しずつ動かし始めます。
街道には静寂が戻っていた。
倒れたストーンウルフの亡骸を囲むように、五人の冒険者が立っている。
「本当にこの子が倒したのか?」
大男が腕を組む。
身長は二メートル近くあり、巨大な戦斧を肩に担いでいた。
「信じられねぇな。」
「《鑑定士》なんだろ?」
弓を背負った青年も疑いの目を向ける。
レインは何も言い返さなかった。
自分でも信じられない出来事だったからだ。
すると、一人の女性がストーンウルフの傷跡をしゃがみ込んで確認する。
腰まで伸びた銀色の髪。
透き通るような青い瞳。
腰には一本の細身の剣を下げている。
「……面白い。」
彼女は傷口を指でなぞった。
「この切り口、普通の鉄の短剣じゃない。」
「どういうことだ?」
大男が尋ねる。
「攻撃力が異常に高い。」
「でも、この子が持っているのは安物の短剣。」
女性はレインへ視線を向けた。
「君、名前は?」
「レイン・アルトです。」
「私はフィア。」
そう名乗ると、優しく微笑んだ。
「一つ聞いてもいい?」
「はい。」
「その短剣、何かした?」
一瞬だけ心臓が跳ねた。
(世界改変のことは……。)
まだ誰にも話すべきではない。
「拾った時には少し光っていて……。」
苦しい言い訳だった。
しかしフィアは、それ以上追及しなかった。
「そう。」
代わりに彼女は小さく笑う。
「秘密は誰にでもあるからね。」
その言葉に少しだけ救われた気がした。
「そうだ!」
突然、大男が大声を上げる。
「せっかくだ。ギルドまで一緒に来るか?」
「ギルド……ですか?」
「ああ。」
「魔物を倒したなら、討伐証明も出せる。」
「金にもなるぞ。」
お金。
その言葉にレインは反応した。
追放された今、自分には銀貨が少ししかない。
生きていくためには稼ぐしかない。
「お願いします。」
頭を下げると、大男は豪快に笑った。
「決まりだ!」
一行は街道を歩き始めた。
歩きながら、レインは冒険者たちの話を聞く。
彼らはBランクパーティー《蒼き風》。
王都を拠点に各地を旅しているという。
「王都って、どんな場所なんですか?」
レインが尋ねると、弓使いの青年が笑う。
「村とは比べ物にならないぞ。」
「冒険者だけでも何万人もいる。」
「巨大なギルド。」
「市場。」
「王城。」
「何でもある。」
話を聞くだけで胸が高鳴る。
村しか知らなかったレインには想像もできない世界だった。
その時だった。
フィアが足を止める。
「静かに。」
全員の表情が変わる。
「どうした?」
大男が小声で聞く。
「血の匂い。」
フィアは森の奥を見つめていた。
「誰かいる。」
一同は武器を構える。
茂みをかき分けて進むと、小さな空き地が見えた。
そこには一台の馬車。
そして、護衛らしき男たちが倒れている。
「全滅……?」
弓使いが顔をしかめる。
しかし、その時。
「た……助けて……。」
かすかな声が聞こえた。
馬車の陰に、一人の少女が倒れていた。
年齢はレインと同じくらい。
白いローブは血で汚れ、腕には深い傷が刻まれている。
「まだ息がある!」
レインは駆け寄った。
少女は薄く目を開ける。
「お願い……。」
「あの人たちを……。」
震える指が森の奥を指した。
その先から、重い足音が近づいてくる。
ズシン。
ズシン。
地面が揺れる。
姿を現したのは、三メートルを超える巨大な魔物だった。
全身を黒い岩に覆われた巨体。
両腕には鋭い鉤爪。
その赤い瞳が、レインたちを捉える。
フィアが剣を抜く。
「みんな、戦闘準備!」
レインも短剣を握り締めた。
巨大な魔物の頭上には、青白い文字がゆっくりと浮かび始めていた。
第4話を読んでいただきありがとうございました!
レインは新たな仲間候補である冒険者パーティー《蒼き風》と出会い、世界が一気に広がり始めました。
そして次回はいよいよ、これまでとは比べものにならない強敵との戦いです。
レインの《世界改変》は、この強敵にも通用するのでしょうか。
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