↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/49

2. 蝶(ちょう)と自由(じゆう) (17)

ちょう自由じゆう (17)


[ズドンッ!]


 すぐに防弾ぼうだんガラスが粉砕ふんさいされた。


 なかにいた運転手うんてんしゅあたまぶ。


 アベルがったのは、ちいさなてつたまひろがる散弾さんだんではない。


 ひとつのてつかたまり発射はっしゃされるスラッグだん——。


 容易ようい防弾ぼうだん装備そうび貫通かんつうしたのだ。


「クルックス! 大丈夫だいじょうぶか!?」

大丈夫だいじょうぶ!」


 くびおさえてはいるが、どうやら無事ぶじなようだ。


 有栖ありすあらはまえがよくえないのか。


 したたを、えずまばたきさせていた。


有栖ありすあら。大丈夫だいじょうぶか?」


 アベルはすぐにアクセルを力一杯ちからいっぱいんだ。


 後続車こうぞくしゃとの距離きょりはかる。


 もなく、拳銃けんじゅう交戦こうせん距離きょり以内いないはいってくるだろう。


「あ、うん。ごめんね。眼球がんきゅう義体ぎたいだからか時々(ときどき)こうなるの。焦点しょうてんがおかしいわ」

「つい今朝けさ調整ちょうせいしたのに……」

戦闘用せんとうよう代謝たいしゃシステムをひさしぶりに使つかったからじゃないかしら?」


 有栖ありすあらの推測すいそくに、アベルはしたつ。


 'ああ、そうか。こいつはずっと外部がいぶ義体ぎたい使つかっていたんだったな? いま着用中ちゃくようちゅうだし'


 外部がいぶ義体ぎたいは、さっきクルックスをとらえにときから使つかっていた。


 すでにホルモン異常いじょううったえるからだ


 それをふたたしぼしたのだから、反動はんどうすさまじいはずだ。


 おまけにいま整備せいびをしているわけでもない。


 どのホルモンがどれだけ分泌ぶんぴつされているのかもからなかった。


 体温たいおん調節ちょうせつ血圧けつあつあたりが問題もんだいだということは大体だいたいかるが——。


 最悪さいあく場合ばあい心臓しんぞう動悸どうきがおかしくなるかもしれない。


 あるいは、ちょうねじれたりする危険きけんすらある。


「……シートベルトでもしっかりめておけ。なりをるに、あれはギャングじゃなく要員よういんだった。すこくなったら……」


[ダダダッ!]


 改造かいぞうトラックに小銃しょうじゅうさんてんバーストがまれる。


 しかし、防弾ぼうだん加工かこうほどこされており、銃弾じゅうだんはじかれた。


 バックミラーをる。


 うしろには車両しゃりょうろくだい——。


 ぴったりといすがり、いていた。


「デッカード! 機関銃きかんじゅう!」


 運転席うんてんせき右側みぎがわいていた端末機たんまつき


 それが自動じどう作動さどうした。


 トラックの荷台にだいおおっていたぬのよこげられる。


 もなく、大型おおがた機関銃きかんじゅう銃口じゅうこう後方こうほうへといた。


[射撃しゃげきします]


[ズドンッ!]


 爆音ばくおんちか銃声じゅうせい


 それが、しずかな夜明よあけをいた。


 銃声じゅうせいれていないクルックスが、みみふさいで悲鳴ひめいげるほどの騒音そうおん——。


 おそらく周辺しゅうへん住民じゅうみんたちは、ことごとくましただろう。


[キイイイイッ!]


 せまってきていた車両しゃりょうひとつが、よこにスピンしてころがった。


 すると、後続こうぞくくるまがサッと距離きょりる。


 まれないために陣形じんけいえたのだ。


「クソッ……こんなのありか!?」


 アベルはミラーでくるま後方こうほうる。


 ありない状況じょうきょうに、おもわず悪態あくたいいた。


 てきたがいに通信つうしんがしっかりれており、陣形じんけいむほどだ。


 各々(おのおの)勢力せいりょくちがうはずなのに。


 あれほど連携れんけいれるのは、確実かくじつにおかしい——。


「デッカード、次善じぜんさくのBルートでく。もっとちかてきは?」


 計画けいかくえなければならなかった。


 このままではほか都市としはおろか、アスポデルの境界きょうかいえるまえに。


 弾薬だんやく枯渇こかつ戦闘せんとう不能ふのうおちいるだろう。


[五百ごひゃくメートル程度ていどです]


かった。電話でんわけよう」

「アベル? 運転うんてんしながら携帯けいたい使つかうと……」


 クルックスがひどくおどろいて、アベルをつめる。


「もう違法いほう武器ぶき満載まんさいなのになにう。有栖ありすあらがっている短機関銃たんきかんじゅう違法いほうだぞ」


 アベルはそうかえす。


 すぐさま、スピーカーフォンで電話でんわけた。


[あ……調整師ちょうせいし? でもいま何時なんじだと……]


 電話機でんわきこう。


 そこからは、まだねむそうなこえこえてきた。


火力かりょく支援しえん一万いちまんクォーズ。成果せいかによって五千ごせん上乗うわのせする」


 アベルにも無駄むだにする時間じかんはなかった。


 午前ごぜん四時よじ仕事しごとるのは、たしかに迷惑めいわくではある。


 しかし、この世界せかいかねさえせば——。


 どんな迷惑めいわくでも歓迎かんげいされる界隈かいわいだ。


[こんなモーニングコールなら歓迎かんげいだぜ。場所ばしょは?]


「うおっ、クソッ!」


 突然とつぜん路地ろじからべつくるましてくる。


 それがトラックをおそおうとした。


 アベルはハンドルをきゅうり、かろうじて回避かいひする。


[ガガガガガンッ!]


 デッカードが大型おおがた弾丸だんがんびせている。


 だが、すべてのてき阻止そしするのは無理むりだった。


 てき防弾ぼうだん車両しゃりょうである。


 トラックも不規則ふきそくうごいているうえに、てきうごいている状況じょうきょう


 当然とうぜん命中率めいちゅうりつひくくなる。


 'このままじゃ都市としせない'


 決断けつだんくださなければならない。


 あたまなかで、想定そうてい可能かのう迂回路うかいろかんがめぐらせた。


「メインストリートの北側きたがわ都市とし外郭がいかくへの進入路しんにゅうろだ。できるだけはやれば何分なんぷんだ!?」


[五ふん]


おそい。さんぷんだ。駄目だめならほか連絡れんらくする」


[何事なにごとだ? それともおれのいるランダル・ストリートまでるか?]


「ふぅ……」


 アベルはたったびょう躊躇ためらった。


 となりにいる有栖ありすあら。


 彼女かのじょは、からもながはじめている——。


 ランドル・ストリートならギリギリだ。


 B計画けいかくは、今後こんご10じゅっぷん以内いない都市としさなければならない。


 成立せいりつしないタイムアタック計画けいかくなのだ。


確認かくにん。ランドル・ストリート。おれ車両しゃりょう情報じょうほうおくるから確認かくにんしてくれ。それ以外いがいすべてきだ」


 それでもくるまはまだうごいていた。


 エンジンも無事ぶじで、まだまだはしれそうだった。


 毎週まいしゅう整備せいびおこたらなかったトラック。


 アベルはそれをしんじてみることにした。


了解りょうかい。すぐ屋上おくじょう待機たいきするよ〕


 トラックはすぐ右折うせつした。


 クルックスはすりをつかみ、かろうじてえる。


たのむ」


 電話でんわった途端とたんのことだった。


 すぐべつ電話でんわはいってくる。


〔おいおい、アベル!いまきゅう非常ひじょう事態じたいになったんだが、それあんたのくるまじゃないか!?〕


 さっき電話でんわいたこえだった。


 ギャングの重役じゅうやくクラス。


 都市とし脱出だっしゅつ見逃みのがしてくれないか、とたずねていた人物じんぶつからの連絡れんらくだった。


「ああ。そうだ!」


 いくらアスフォデルが最低さいてい都市としだとしても。


 午前ごぜんに、こんな大規模だいきぼ車両しゃりょう銃撃じゅうげきせんこす人間にんげん


 アベルのほかにはいないだろう。


〔うわっ……今回こんかいけんおれ手伝てつだえないぞ?〕

「それは期待きたいしてない。だがすこおしえてくれ。こいつら、なんでこんなにいきってるんだ!?」


 きゅう陣形じんけいんで追撃ついげきしてくるわ。


 一台いちだいくるま転覆てんぷくした途端とたん、すぐ対応たいおうするわで尋常じんじょうではない。


 あきらかにたがいの連絡れんらく緊密きんみつれているのだ。


 複数ふくすうのギャングや、政府せいふから派遣はけんされたエージェントもいるはずなのに——。


〔カンッ!〕


 物狂ものぐるいでむ。


 だが、右折うせつする瞬間しゅんかん減速げんそくけられなかった。


 くるまのフレームを弾丸だんがんかすめる。


 はげしい火花ひばなった。


〔ああ、それはまえから共有きょうゆうしてる周波数しゅうはすうがあるからだ〕

「なに?周波数しゅうはすう共有きょうゆうしてる?」

〔ああ。なにごとらないが、政府せいふ単独たんどく周波数しゅうはすうててくれたんだよ。今回こんかい追跡ついせき情報じょうほう政府せいふからたものだぜ?〕

「はあっ……つまり人間にんげん一人ひとりるためにすべあつまったってことか!?たがいに反目はんもくうギャング同士どうしもとりあえず団結だんけつしたって?そこに政府せいふもか?」

〔ああ。100まんクォズは端金はしたがねじゃないからな〕


 アベルは、まどまれる銃弾じゅうだんあたまげる。


 それでも、どこか納得なっとくしそうになった。


 それほどの金額きんがくなら——。


 長年ながねんうらみなど、簡単かんたんみずながせるだろう。


〔でもいまいかけてるやつらのなかにギャングはすくないはずだぞ?おれたちもいま情報じょうほうをもらって準備中じゅんびちゅうなんだが?〕


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。