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群像短話を読み漁れ!~聖皇国列伝秘聞~  作者: norito&mikoto
群像短話を読み漁れ!③聖皇国列伝秘聞~休憩という名の授業・常識という名の思い込み~

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第4話・崩れ去る常識~分かっているとの思い込み~

 それは、ふと思いついてしまった、ちょっとした……けれども恐ろしすぎる疑問だった。



 少し前に行われた幻影人形を使った授業と、今回の、たった今行われたアインの左腕に残る、風の神剣の魔力を消費しきるための授業。



 その、インスが主導して行われた授業に、二度参加したことで思い浮かんだ、あまりにも恐ろしすぎる予感。



「ラント呪師は、その……アインの授業の際に休憩などは……?」


「……は? 授業中に、休憩……ですか?」



 恐る恐る問いかけたディオネラの言葉に、ぐったりとして意識を失ってしまったアインを両手で抱きしめたままのインスは何の話だろう? と首を傾げる。



「「「「「「……………………」」」」」」


「…………………ぇ?」



 その瞬間、ビシリ、と音まで立てて郊外演習場の空気が凍り付いた。


 驚いて、インスは軽く目を見開く。



「おい。インス。まさかとは思うがお前……アインの授業の時に休憩を入れなかった、何てことはないよな?」


「え? ですから、なぜ、授業中に休憩を……?」


「「「「「「……………………っ!!!!????」」」」」」



 信じられないと言いたげにウスニーが重ねて確認するが、インスは困惑した様子で首を傾げるばかり。


 今度こそ、本気でインスがアインの授業中に休憩を取っていなかったと理解して、その場に居合わせた全員が驚愕のあまり息を飲んだ。



「……え? ……皆さん、一体どうしたのですか……?」



 その、あまりにも大きすぎる驚きの様子に、流石のインスも何か、おかしなことを聞いているのかと戸惑う。



 恐る恐る、というよりも、何か覚悟を決めた様子で、一歩進み出たディオネラが問いかける。



「……ラント呪師は、その、アインの年齢はどうお考えで……?」


「? ? ? ……アイン君の、年齢……??」



 それがこれまでの話と何が関係するのか……ますます困惑し、首を傾げるインスは、己の腕の中の、小さく、軽い、愛し児に視線を落とした。



「……そう、ですね……アイン君は、その理解力の高さから、五歳ほど、とされています……」



 どこまでも優しく、慈しみに溢れた眼差しの熱と、予想される結果が結びつかない。



「……ですが、実際には、その年齢よりも()()()()()()()()? と考えています……」



 続けたインスの言葉に護衛官たちが天を仰いだ。


 今日のインスの担当であるステールなどは苦々しげな顔を隠しもせずに額に手を当て、アインの担当であるクロードも、珍しく誰にでもわかるほどに困惑している。



「お……ま……っ!!!!」



 声にならない声でウスニーが怒声を上げかけ、ろくに何も言えないまま、怒りで赤黒くなった顔で口を開けたり閉めたり。



「一体全体何なんですか? 私が皇宮呪師学校で授業を受けていた時には特に休憩なんて……」


「っ!! お前はその時すでに十三歳になっていただろう!! 三歳から五歳頃はどうしていた!!」



 眉を顰めたインスの言葉にくらりと血の気を引かせたディオネラが倒れかかり、担当である皇宮護衛官官長が慌てて支える。


 インスの声を遮って、怒髪天を衝く勢いでウスニーが怒鳴り散らした。



 直後に、彼も倒れかけて、今日の担当である神殿護衛官官長が抱き止める。



「……………………? 三歳から、五歳頃?? 三歳になったころには母の生家に引き取られて、頻繁に誘拐されたり、監禁されたり、訳の分からないものを無理やり口にさせられていましたが……五歳頃も、場所が母の生家から、主神殿に変わっただけで、そう大差は……」



 ああ、そうだった……



 インスの説明というか、周知の事実である内容を聞きながら、その場の大人たちが頭を抱える。



「……コイツに、普通の子供の幼少期の様子が分かるわけがなかった……」


「……いや、だからって、いくらなんでも……」


「……ん……想定外……」



 ぶつぶつと呟くウスニーに、顔を引きつらせてステールが呟けば、クロードもまた、こくりと深く頷く。



「だから! 一体全体、何が言いたいのですか!!」


「……幼児の体力や集中力はそう多くありません。ですから、適宜休憩を取らせ、一度には多く食べられない分の補食が必要になります……」


「………………………………………ぇ?」



 若干苛立ったようなインスに、感情を抑えた、淡々とした声音でディオネラが告げれば、たっぷり数秒硬直したインスの唇から、呆けたような吐息が漏れた。

第4話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、アインを大切に育んできた大人たちの「分かっているとの思い込み」が容赦なく崩壊する、衝撃の瞬間です。


アインに安らぎを与えようと奔走していた周囲の優しき包囲網。


しかし、ブレーキのないインスの指導と、アインの生真面目すぎる怯えのせいで、お茶の時間の常識はとんでもない方向へと暴走していました。


噛み合わないまま全力で回り続けた歯車の全貌が明らかになった時、大人たちはどう立ち向かうのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「インス、どうなってるのWW」「今更すぎる常識の指導WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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