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群像短話を読み漁れ!~聖皇国列伝秘聞~  作者: norito&mikoto
群像短話を読み漁れ!③聖皇国列伝秘聞~休憩という名の授業・常識という名の思い込み~

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第3話・騎士は一日にしてならず~個々に合った身体作りが重要~

 最後の一人が、訓練場の周回を終えて起算地点に戻って来る。



「よ~し! これより、小休止に入る! 各員、準備に取り掛かれ!!」


「「「「「「はいっ!!」」」」」」



 教官である騎士の声が訓練場に響き、まだ若い、見習い騎士たちの声が応えた。



「…………っ!!??」



 ビリビリと、震えるような大きな声にまだ慣れないアインは、びくりと身体を竦めると、慌てて立ち上がる。



「アイン!」


「ヒ……っ!? は、はいっ!!」



 途端、教官が鋭く睨んできて、アインは一瞬悲鳴を上げかけるが、必死になって大きな声で応えた。



「誰が動いていいといった! お前はその場で待機だ!」


「は、はいっ! ごめんなさいっ!!」



 言われて、慌てて座り直す。



 アインの訓練は、最初の柔軟で他の者の訓練内容の一割に満たず。


 その後の走り込みでも最も少ない者の一割に満たず。


 更に、この小休止の準備や片付けも、見学しているのが訓練と言われて手伝うことを許されない。



(……ぼ、僕……何もさせて貰えてない気が……?)


(こんな幼子と、十代の若者を共に訓練させる? 何を考えているのだ!)



 内心でオロオロとしながらも、真剣に他の見習いたちがキビキビと準備を整えていくのを見つめるアインは、教官がそんなことを考えているとは全く気づいていない。



(……正直、アインに手伝わせるなんて、絶対に無理だよな……)


(……むしろ、ちょろちょろされると吹っ飛ばしそうで怖い……)



 また、他の見習いの騎士たちも、どう見ても五歳には見えないアインが手伝いにウロチョロするのは危なっかしくて見ていられない。



「「「「「「……設営完了しました……!!!!」」」」」」


「よ~し! 小休止用の軽食を受け取った者から、小休止には入れ!!」


「「「「「「はいっ!!!!」」」」」」



 しっかり隊列を整え、声をそろえて報告する見習いたちに命じれば、これまた声をそろえて応諾する。



 規律正しく、見習いたちは配給列に並んで配給の品を受け取り、数人ごとに散開して休息に入った。



「……よし、アイン。お前も、自分の分の配給を受け取り、小休止には入れ。訓練を続けるためには必要な食事と水分、そして休息だ。絶対に疎かにするな……」


「……はい……」



 他の見習い騎士たちの様子を確認し、一つ頷くと、教官の騎士はちょこんと座ったままのアインにも、配給の列に並ぶように命じる。



 殆ど見ていただけなのに、と思いながらも、それもまた訓練。と言われてしまえば反論などできようはずもない。


 アインは素直に頷いて、トコトコと配給の列に並ぶ。


 当然、一番後ろだ。



 チラチラと、他の見習いたちが気にして視線を投げかけてくるが、アインはグッと顔を上げて前だけを見つめる。



「……コレが、アインの分の配給だ……残さず食えよ」


「……はい。分かりました……」



 いつも通り、一番最後に配給を受け取って、アインは先ほどまで座っていた場所に戻るとちょこんと座ってまずは食前の祈りを捧げた。



 それから、渡された小さな包みを開くと、小さなケークサレが数個と、二度焼きされた干し果物入りのビスケット。


 水筒には、まだあたたかなミルク。



「……アインの配給、いつ見ても少ないよな……」


「……だよなぁ~。そんなちょびっとで、足りてるのか……?」



 薄く削ぎ切りされたロースト肉を何枚も挟んだサンドウィッチと、しっかり焼かれた腸詰やごろっとした芋などが詰まった配給と、よく冷えた、ちょっぴり甘じょっぱい補給水を配られている他の見習いたちが自分たちの物と比べて首を傾げるのも毎度のこと。



「バカ者! 何度言わせる!! それぞれの身体に合った配給が配られているのだ!」


「「「「「「はいっ!!」」」」」」



 途端に教官から叱責が飛び、慌てて見習いたちが声をそろえて返事をする。



「……全く……アイン」


「は、はい……」



 嘆息しながら、教官はアインに目を向けた。


 オロオロとやり取りを見ていたアインも、ちょっと慌てて返事をする。



「……毎度言っているが、お前はお前の適量を、過不足なく摂取しなければいけない」


「……はい……」


「だから、渡された配給を、他の者に気兼ねすることなくしっかり食え。いいな」


「っ。はいっ!!」



 これまたお馴染みのやり取りではあるものの、毎度のごとく、真剣に頷いて、アインはこの後の訓練に備え、しっかりと配給を口にした。

第3話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、皇宮騎士団による「小休止と配給」という名の、アインをいたわる軽食タイムをお届けしました。


訓練場に響き渡る大きな声や規律に緊張しながらも、自分ができることを必死に探そうとするアイン。


そんなアインをハラハラと見守る見習いたちや、個人の体格に合わせた特製配給を用意してアインをしっかりと食べさせる教官。


お茶や蒸しケーキ、そしてこのがっつりとした特製配給と、アインを巡る「大人たちの優しき包囲網」が着実に完成していきます。


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「騎士団、意外と脳筋じゃない……WW」「足元幼児に動かれると危険WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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