序文・あらすじ
誰もが愛おしき幼子を守ろうと手を尽くし、けれどすれ違ってしまった「優しさ」の歯車――
時は本編開始前。
神殿に保護され、幼くして呪師学校への特別入学を許された記憶喪失の少年・アイン。
「ご迷惑をかけないよう、完璧にこなさなければ、またあの暗闇に捨てられてしまう」
そんな健気な怯えを胸に抱き、必死に食らいつこうとするアインを想い、神殿の神官、皇宮の教官、騎士団の大人たちは、それぞれにお茶や甘いお菓子を交えた「優しき休憩」を設け、壊れやすい宝物を扱うように大切に彼を育んでいた。
しかし、ただ一人。
アインの皇宮呪師側の実技指導を任された皇宮呪師・インス=ラントだけは、規格外の「常識のバグ」を抱えた異常個体だった。
「私と同じペースで習得しているのですから、問題ありませんよね?」
おやつも、お昼寝も、幼児に必要な「休憩」という概念すら持たない天才の指導は、無自覚なまま、アインを限界の先へと追い詰めていく。
アインの怯え、インスの基準バグ、そして周囲の大人たちの焦燥が最悪の形で噛み合ってしまった時、何とも奇妙で、けれど不憫な「ピタゴラスイッチ」が作動する――。
これは、愛おしき幼子を巡り、大人たちがすれ違い、奔走し、やがて特大の罪悪感に打ちのめされる、温かくもカオスな日常の物語。
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※本作は『姉姫様は魔族を斬りたい!』本編より少し前、アインが神殿に保護されて間もない頃の過去や番外編第8弾頃のお話となります。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
本作は『姉姫様は魔族を斬りたい!』の背景や、キャラクターたちの知られざる過去などを描く群像短編集となります。
今回は、本編で何かと過保護にアインを囲い込もうとするインスと、胃痛を抱えながら彼らを見守る護衛官たちの、すべての「常識のズレ」の原点となるエピソードをお届けします。
第1話はこのまま続けてお読みいただけます。
アインを巡る大人たちの優しきすれ違いと、インスのあまりにも不憫なやらかし(?)の原点をぜひお楽しみください!
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