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第二百二十二話 底知れぬ〇〇

 さて、アベルとのお祭りデートにて、心と体に栄養を補充したミーアは、体のほうに蓄えた余分な栄養を消費するべく、大ミーアピック会場へと足を運んだ。そこで、ホースダンスの練習をするため、である。

 そうなのだ。ともすれば、お祭りを遊び歩いているように見えなくもないミーアであるが、実のところ、今回のパライナ祭では多忙を極めているのだ。

 なにしろ、騎馬王国のイベントではホースダンスを披露し、なおかつ、祭りが終わった後には世界会議が待っているのだ。

 いくら自分は主役ではない、ただの添え物である! と強硬に主張するミーアであっても、そうそう遊んではいられない。

「むしろ、添え物であればこそ、変に雰囲気を悪くしたりしてはいけませんわ。しっかりと小驪さんの邪魔にならないように、練習して備えなければ……」

 そんな感じのミーアに、付き従うアンヌもニコニコである。

「とても素晴らしいお考えだと思います、ミーアさま。タチアナさんに聞いたところ、太ももを鍛えると、すごくいいみたいです」

 アンヌはそう言って、スカートの上から自らの太ももを叩いてみせた。

「なので、乗馬で、足を踏ん張るのは、すごく良いことだと思います。本番まで、お祭りの間は毎日、練習しましょう! なんなら、本番の後も続けても良いかも……」

「まぁ! アンヌ、やる気十分ですわね。ふっふっふ、わたくしも、なんだかすごくやる気が出てきましたわ!」

 っとまぁ、そんな感じに気合を入れつつやってきたミーアである。

「ああ、ミーア姫殿下。シャローク殿との会談はいかがでしたか?」

 ミーアピック会場では、ルードヴィッヒが待ち構えていた。

 レムノ王国の展示会場を見ている間に、念のために、こちらのトロフィーのほうの確認に行ってもらっていたのだ。自分で見るのは精神衛生上よろしくはないが、さりとて、放置しておくこともできず。

 ルードヴィッヒに、本当にお出しして大丈夫な代物か? と確認をお願いしておいたのだ。

「ああ、ご苦労さまですわね。ルードヴィッヒ。シャロークさんは相変わらず、大商人に相応しい慧眼ぶりで、良き助言をしていただけたと思いますわ」

 クラリッサも、当面、考えるべきことを示されて、準備がしやすくなっただろう。

「それで、トロフィーの様子は、いかがでしたの?」

「はい。まだ公開はしていませんが、仕上がりは上々です。きっと、騎馬王国の方たちにも驚いていただけるかと……」

「驚かせるだけでは駄目ですわよ? きちんと相手を喜ばせるものでなければ……」

 金ぴかのミーア像など、他人を悪い意味で驚かせはしても、喜ぶのは父や、聖ミーア学園に集った一部のミーアエリートたちだけだぞぅ! と訴えたいミーアである。

「抜かりはありません。大ミーアピックの名に相応しい、天馬姫の誉れを存分に表現したものが出来上がっていたと思います。あの発想力……聖ミーア学園の底知れぬ力を存分に見せつけられ、気が引き締まる思いでした」

「……そう」

 ルードヴィッヒの反応に、底知れぬ不安感を覚えるミーアであるが……。

 でもまぁ、ルードヴィッヒがストップをかけないのだからスルーしても………………大丈夫だろうか? 本当に……? 本当に、大丈夫なのだろうか!?

 底知れぬ悪寒を覚えつつも、ミーアは考えないことにする。

「まぁ、みなさんが頑張ってくださった結果ですし……わたくしも当日まで楽しみにしておきますわ」

「準備班の者たちに伝えておきます。ミーアさまが期待をしていた、と……」

 ルードヴィッヒの言葉に、そこはかとなく不安を抱きつつも、ミーアは厩舎へと向かった。

 さて、そこで待っていた荒嵐と合流し、颯爽と鐙に足をかけたところで……おや? という顔で、荒嵐が振り返ってきた。

「あら? どうかしましたの? 荒嵐……」

 首を傾げつつ、いよーっこーいしょっ! と体を持ち上げるミーア。

「むっ!」

 不意に、違和感。

 なんとなくだが、体が……少しだけ重たいような気がする!

「ふむ……気付かぬうちに、少し疲れがたまっていたのかしら……? よくよく考えれば、今日は、海産物研究所の発表会にペルージャンの展示会場の視察、さらにレムノ王国でシャロークさんとの打ち合わせもございましたし……。イベントが盛りだくさんでしたものね。疲れて体が重く感じても無理からぬこと……」

 盛りだくさんだったのは、イベントではなく、ナニカ別の、形のあるものだったような気がしないでもないが……。

 そんなミーアを見て、なにやら、呆れ顔で、ぶーふっと鼻を鳴らす荒嵐。

「荒嵐、なにか言いたげな顔をしておりますわね……? なにかしら……ああ、もしかすると、働き過ぎとか言いたいのかし……うひゃあっ!」

 話している最中、荒嵐が動き出した。慌てて手綱をしっかり掴み、ミーアは笑った。

「ふふふ、荒嵐、やる気満々ですわね。体を思い切り動かして疲れを取るというのも良いかもしれませんわね。今日はとことん、練習しますわよー。はいよー! 荒嵐!」

 高々と嘶くミーアに、荒嵐も、ぶひひーんっと呼応する。

 ほどなくして、小驪も練習にやってきた。

 そうして、ひとしきりホースダンスの練習に勤しみ、しっかり太ももの筋肉を酷使したミーアは、無事にその日に摂取したFNY分を消費し、シュッとすることに成功したミーアなのであった。

 太い筋肉を使うのは、とても大切なことなのである!

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― 新着の感想 ―
荒嵐は応荷重制御(積載物の重量によって変化する制動力と加速力を制御して、見かけ上の加速と減速の能力を調整する技術)搭載なのか……(^^)
「驚かせるだけでは駄目ですわよ? きちんと相手を喜ばせるものでなければ……」  金ぴかのミーア像など、他人を悪い意味で驚かせはしても、喜ぶのは父や、聖ミーア学園に集った一部のミーアエリートたちだけだぞ…
ミーア様って実は意外と真面目ですよね。その真面目さを支えてるのは小心さな気はしますが。結果としてシュッとできてなによりですわね。
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