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第五十二話 ギルドマスター

 続きをどうぞ。

「……」


 気まずい雰囲気が辺り一帯に広がる。とはいっても町に行くための道からは離れた所であったために未だこの場所に駆けつける人の姿は見えない。だがそれも時間の問題だろう。


 さて、一番の問題は今の現状だ。とても人のできる技ではないものをやってのけた。という事は当然人が集るわけで。そうなったらコトノの元に行くのも動きにくくなる可能性もあって……。と、アオトの頭の中では良い結果を生む未来が想像できない。


「あのー……ありがとう、ございます」


 護衛の人の中の一人の女性が話しかけてきた。来るときにはどんな人が居るのかを確認していなかったが見てみると結構な美人だ。


 全身を軽い鉄に似た装備で覆っているがそれでもわかる出っ張りは目を見張るものがありセリアやコトノとは違った所で惹き付けるものがある。更に締まる所は綺麗な曲線を描きながら引き締まっており、背もある程度高い。そして何よりの見所は―――


「犬耳ですかっ!?」


 アオトは叫んだ。それはもう近くにいるセリアが耳を塞ぐ程には。


 犬耳。それは勿論獣人特有の耳である。獣人と言っても猫や狐、兎に犬と種類で言えば沢山の姿がある。その中の一つが犬であり耳だけでなく尻尾も生えている。


 くるん、と丸めた尻尾。垂れているわけでもなくつんつんなわけでもない丁度いい加減の耳。更には出っ張りと引き締め、それに背も高い。これら全てを兼ね備えた美人に惚れない男がいるだろうか。否、居て良い筈が無い。


 アオトも例に漏れる事無く可愛い、というよりは美しいと感じている程だ。


「あのー……」


 犬耳の美人は少し困った表情をした。


「アオト……」


 と、突然セリアがじとー、とした目でアオトを見ながら肘で小突いてきた。


「っ……ああ、ごめんごめん。礼は良いよ」

「そうですか……」


(なんでそんな目で見てんだよ)


 セリアからじとー、とした目線でずっと見られているのに少し不満を感じたがこいつには絶対謝らないと勝手に心に決めてその事は綺麗さっぱり忘れたアオト。


 だが残念ながらアオトが思っているみたいに「さっさと言え」とセリアが目で訴えていたわけではない。どちらかと言うと「私には?」的な考えを訴えていたのだがそれを知るにはまだまだ時間が掛かりそうである。


(綺麗な人に目を奪われるのは男子として仕方ない事だよね!)


 アオトは普通の男子とした感情を持っているらしい。




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 その後、名前をカミーネと言う先程の美人を中心に助けたお礼にと金もなにも持っていない二人を一緒に入れてくれる事になった。


 その際、何も持っていない事に驚かれたが「遠い田舎から来た」と言ったら妙な詮索はされずに優遇してくれた。


 このとき自分たちがどれだけ馬鹿だったかを二人は気づいた。なにも持っていないのにどうやって入るつもりだったのか、と。


 馬車に入れてもらうと中は豪勢とまではいかないもののそこそこ良い造りとしていたからどこかの貴族か何かだとアオトは判断する。


 対して元魔王であるセリアはここの価値がどの程度なのかを理解できずにいた。


「ところで君たちはどうしてここに?」


 突然雇い主だと思われる年をとったじいさんに話しかけられた。


「とりあえずここで安定した生活を送れるようにしてから旅を続けようかと」

「……成る程の」


 アオトは不自然ながらも今までも旅をしていた感じを出しつつ話した。だがやはり遠い所から来たのに何故ここまでの道中にそれをしてこなかったのかと問われるかと思ったがそこのところも聞き流してくれた。


「ならば冒険者になるのが妥当じゃが?」

「はい。そのつもりです」


 先程のパワーを見てもこうやって話しかけてくるのは只単にこのじいさんが馬鹿なのか。それとも強いのかは今の状況ではそこまで(・・・・)わからない。


(このじいさん……馬鹿じゃないな)


 唯、この人が少なくとも普通の人よりも数倍は強い事をアオトは直感した。


 それとは対照的にセリアはどこか警戒している様子があるが先程の事をまだ根に持っているのか不機嫌なままだった。


「証明書見せてもらえる?」


 顔しか見えないが体育系の綺麗な肌をしたお姉さん風の美女が馬車を覗いてきた。どうやら話している内に時間が過ぎていて順番が回ってきたらしい。


「儂じゃ。儂」

「あらマスター。どうぞどうぞ」


 マスター。そう言われて何事も無かったかのように身分を証明する物を出さずに関所を通過してしまった。


 内心疑問だらけなのだがそれを二人が口に出す事はなかった。


「じゃあ、儂のギルドじゃな」


 いきなりそんな事を言ってきた。どうやら痺れを切らしたのか自分から言う事にしたようだ。


「え?」


 対してアオトは訳が分からないと顔に書いているような表情をした。セリアはまた不機嫌な顔に戻ったがそれを今は気にする人は居ない。


「おっと、紹介が遅れたの。儂の名はソドイック・マグノス。この町の冒険者ギルドのマスターじゃ」


 衝撃発言を聞いたアオトは目を一瞬見開いた。セリアも例に漏れずある程度の驚きは示していた。




 どうやら俺たちはとんでもない人達を助けてしまったらしい。

 いやあ、ギルマスがここで出てくるなんてびっくりですね。そしてさりげなく犬耳美人を召喚しちゃいました。


 あとはですね。アオトの性格がなんか変わった印象があったかな。例えば美人を見たときの反応とか。まあ、お年頃なので(とか言う自分も)。


 前の話では馬車の護衛が弱いイメージを受けがちですがここの冒険者が弱いというわけではありません。それとギルマスが何故強い人達を連れて行かなかったのかもわけがあるんだ……と思っていてください。思っていなくても大丈夫ですが。


 感想、ご指摘お待ちしております。

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