第五十一話 馬車救出
続きをどうぞ。
アオト達の目には町が見えた。それはもう立派な町だ。流石に元居た王都程ではないが十分な大きさを持っていた。大きさで言えばちょっとした小国の王都だと言っても不思議ではない程だ。
「これまたでかい町だな」
「うんっ!」
さっきからセリアの反応の半分程がこれなのだが大丈夫だろうかとアオトは心配する。だがこの後どうなるのか二人は知る由も無かった。
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飛んでいるところをバレないようにするためにも草原に足を踏み入れたときから空を飛んでいない。かといって思いっきり走っているわけでもない。それでも普通の馬車を追い越す程度のスピードは出しているがそれほど問題にもならないだろう。
……多分。
森の位置から町までは案外早く着いてしまった。距離として20km位だろうか。
町に近づくにつれ、道を走る馬車は多くなっていた。話す事も然程ないので無言でゆっくり走っている(らしい)。
そんな中、町に入るために城門の順番を今待っている。だがその半分程が馬車だ。そうそう、馬車と言えばその色も多彩だ。普通の木でできているのがよく分かる色や金属でできているのか銀色に輝く馬車。更には金色に輝く黄金の馬車や赤、黄、青、緑、黒、白など色を詳しく言うならきりがない程の色とりどりな馬車が陳列している。
(異世界ってこんなもんなのか?)
本で知識を蓄えていたアオトにはこういった些細な物を直でみるのは初めてのため、そう感じてしまった。
並んで十分程経っただろうか。やっと入れた……なんて事はなく、殆ど進んでいない状態で待っていた。
待っている間はアオトは馬車の色に、セリアは人の多さに緊張を少ししている状態だ。
「遅くないか?」
「うん……」
アオトの疑問にセリアも同感だったのか首を横にスライドさせて右手を目の上に置き、前の方をきょろきょろと見ている。
そのときにアオトが「何この子、可愛い」と小声で呟いてしまったのは内緒だ。
「「「「「「「「「「ゴブッ」」」」」」」」」」
「ゴブッゴブッ!」
アオト達の後ろから魔物の声が響く。その声の数は無数。
(なんか後ろの方が五月蝿いな)
かというアオトはこの程度にしか感じていない。ダンジョンでの直感はどこに行ったのかと尋ねたくなる程だ。だがセリアなら―――
(もう少し静かにできないのかなあ)
なんて事も無かった。二人は既に無視を決め込んでいるようで後ろを振り返ろうとする気配は一切見当たらない。
「魔物だ!」
「何でこんな所に!」
「あれが関係してんだろ!」
大声で叫ぶ大人の声が二人の耳に届いた。ここで二人はやっと気づいた。
先程までのが芸でもおふざけでもないことに。
そしてダンジョンから出て気が緩んでいる事に。
「アオトぉ」
「気づかなかった……」
ある程度のショックを受けている二人だがそこは化け物と称しても良い二人。速急に後ろを振り向くと同時に魔物の討伐へと向かった。
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どうやら叫んでいたのは二人から結構離れた道から外れた所からだったようだ。それでも聞き取る事ができたのはひとえに二人の聴覚の良さによるものだろう。
「多いっ!」
「竜に比べたらゴミにも及ばないような光景だけどな」
急いで移動すると同時に敵の正体と数を確認する。その敵は勿論魔物でその個体は―――
ゴブリンだった。
そう、あの最弱とも言われているゴブリンだった。
その姿は小さく120〜140cm程。気色悪い緑色に木で出来た棒を持ったどう見ても初期で出て来る敵にしか見えない魔物だった。
だがその数が異常だ。ゴブリンは群れる習性があるのかもしれないが10匹に留まらず20に達していた。それを護衛だと思われる剣を持った二人と弓を構えた一人、そして魔法使いと思われる一人で応戦していた。だが護衛として馬車と依頼主を守っているせいで決して現状は良いものとは言えない。
「巻き添えは駄目だから火は使うな。できるなら風と水で仕留めてくれ」
「分かった」
簡単な戦闘方法を決めると前にアオトが出て、セリアはスピードを緩めて魔法を放った。
「《風切り》」
「おりゃっ」
セリアが魔法で援護、その隙をアオトが倒していく筈だった。そう、その筈だったのだ。
バキッ、ドゴン!!
強烈な風の一撃は地を切り刻み、猛烈な剣の一撃は辺りを陥没させた。
「「えっ?」」
その攻撃でゴブリンは全滅。馬車には一切攻撃は当たっていなかったが声を漏らしたのはアオトとセリアだった。
二人のステータスはまだ五割程しか使っていません。
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