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第四十一話 死の誘い

 一応グロいかもです。作者こういうの下手です。

 続きをどうぞ。

「ギャア?」


 土竜と思われる竜はアオトの前で止まり、まるで現実を突きつけられた少年の表情を楽しむように口角を上げて見つめていた。


(逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ…………死ぬ)


 自分の行く末を考えるとアオトの中の何かが音を立てて壊れた。恐らくそれは喜びの感情か何かであろう。


 限られた土俵で均等に保たれていた喜びと悲しみ。それが今の状況で悲しみが絶望へと変わっていき、それに比例するかのように悲しみの力は膨れ上がった。喜びは逆に押し出されるようになり、最終的には押し出された。正確に言うとほぼ押し出されただが今のアオトに残っている感情は殆どが絶望。それと少し加えて悲しみ。無いに等しい喜び。こういった構成へと感情が変化した。


 勿論喜怒哀楽と言う四字熟語があるように人には沢山の感情が入り交じっている。だが本当の怖さを知ってしまったときに怒りや哀れみ、楽しさやその他の感情を果たしてキープする事ができるだろうか。答えは否だ。人間の感情はそんな良いものにはできていない。人間の体はそんな良い状態を保てない。


「ギャアアァアアアア!!」


「……ここまでか」


 人間という生き物は都合のいいようにはできていない。だが感情が頂点まで達してしまうと冷静になってしまう節があるようだ。それはアオトも例外ではなく初めて“奈落”の崖から落ちた時と同じような諦めになっていた。


 そして目を瞑った。これまでの人生で良い事などあっただろうか。


 獄普通の家に生まれて人と関わるのは苦手な方だったがコトノという大事な友達であり守りたい人であり初恋の相手にも恵まれた。その後はゲームで自分でも凄いんだろうなあと思うようなトッププレイヤーにもなれたと思う。だが平凡は変わって卑劣な人生へと変わった。いきなりの異世界転移と自分だけが弱いという事実。地球でも虐めは受けていたが異世界に来て更に高度な虐めへと変わった。ダレンはアオトに優しくしてくれたが他は皆が知る通りだ。果てには落とされた。チートも手に入れてレンとも出会えたが結局はジンに負けた。そしてここに来た。まだ時間にして然程過ごしてみないが地獄そのものだった。竜と遭遇するわ、追い回されるわ、殺されかけるわ。更には今まさに殺される寸前だ。


 人生なんて思い通りにいくものではない。それこそ嫌な方向に行く事の方が世の中には多いだろう。だがここまで不幸が続くのは流石に酷過ぎるのではないか。そう思っても仕方のない事だ。



 コトノ、ごめんな。



 心の底からのコトノへの最後の言葉にと考えた結果がこれだ。自分は「待ってろ」とか偉そうに言ったが結局はこうやって迷惑をかけて勝手に死んでいく。コトノに少しでも話していたら、自分の気持ちを少しでも話していたらこんな事にはならなかったかもしれない。


(それも今となっては只の後悔に過ぎないんだよな)


 自然と感じる自分の愚かさに今頃気づいた。そしてやはり諦めに変わっていく。


 気配から竜とアオトはもう頭一つ分位の幅しか離れていないだろう。目を開けたらそこには恐らく竜が牙をむき出しにしているのだろうと思うとアオトは恐怖に身を任せてしまい、目を開ける事ができない。


 グチャッ!


 肉を抉られるような音とともに体の神経が切れたようにがくんと力が抜けていく。


「……」


 それでも死ぬ事はできない。恐らく自分のステータスが高いから意識を今は保てているのだろうと仮定を作るがそれでは何故竜は自分に襲いかからないのかという疑問が残るがそれでも頭は喰われていないが死ぬのはどうせ時間の問題の筈だ。ならばそんな些細な事関係ないと思ってしまう。


「……」


 一向に終わる雰囲気のない竜の気配と痛み。


「……」


 まだかと思い、いっそ死ぬなら一瞬が良かったと願うがそれは弱者が決める事ではない。


「……」


 流石にそろそろ止めをさされてもおかしくない筈だが殺される雰囲気は未だに辺りを支配していない。だがそれでも痛みは体中を支配していく。


「……」


 しびれを切らしたアオトは恐る恐るといった感じで目を開ける。恐怖の色に染まっていた目は今は絶望の色が支配していた。


 だがそこにあった現状は考えていたものとは違った。まるで震えたような体で後退りをしている竜。


 アオトには多少ぼやける思考のせいか、そう見えていたがまるでではない。事実震えているのだ。


 何にかって?


 強者にだ。


 そこに居たのは竜。土竜よりも更に巨大な竜はアオトなど見えていないような目で土竜を捉えていた。鱗の色は水を思わせる青。そして巨体は天井ぎりぎりまで膨れ上がった本当に巨体と言うに相応しい巨大な竜。


 それを見た瞬間にアオトはまるで地獄絵図を見たかのように凍り付いた。そして気が付く。竜が何かをくわえている事に。


(あれって…………人の手?)


 アオトの見たものは正解だ。それを感じたアオトは自分の腕を見る。左手は何ともない。唯一つ言うならば大量の血が付着している所だろうか。右手は―――


「俺の右手は?」


 アオトの言葉と同時放たれた巨大な竜のブレス。それは全てを包み込みそうな威力で土竜へと接近して瞬殺した。それを呆然と見ている事しかできなかったアオトだがそのブレスの音のおかげでアオトの声が現れた竜にバレずにすんだのだがそんなことは今アオトの思考の中に存在しない。


「なんでないの?」


 右腕が合った場所は肘から先がすっぽりと無くなっていた。だがその無くなった部分は平面状ではなくぎざぎざになっていて切り取られている所が余計に恐怖心を煽る。


 確かに肉を貪られた感覚はあったがそれは今まで自分が生きているからたいしたものではなかったのでは、と楽観的思考をしていたのだからその分自分の腕がなかった事には衝撃がでかい。


 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故?


 自分は死んでないが相当な大怪我をおっている事に気が付き疑問を問いかける。死ぬ事ができない程の怪我であるからこそ余計に痛みを伴うのだ。そして意識することでやはり痛みは更にやってくる。


 痛い痛い遺体痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い遺体痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い遺体痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!


 声に出す事もできない程の痛みだ。人間は痛かったら叫んでしまうものだが今のアオトは痛みに我をなくし、声を出す事まで忘れているのだ。これは痛みだけではなく突然の緊迫した状況のせいとも言える。


「あ、ああ」


 かすれた声が辺りに響くが現れた竜は土竜を殺すなりどこかに消えていったのでその声を聞くものはいない。


 だがそんな痛みから来るのは。


(俺がこんなことで負けてたまるか……。必ず生きて帰ってやる。コトノ、待ってろ、よ)


 生きている事に感謝するが血は止まる事なく次から次へと流れており、ここで眠ったら死ぬと思いながらも目を閉じてしまうのだった。

 自分シリアスとかよりもグロい系の方が下手かもです。


 まあそんなことよりも次回注目です。ヒロインです。迷宮です。定番じゃないですか? コトノが居るので一応第二のヒロインとなるのでしょうか。それでも今までの話では一人やレンと居る事が多かったのでヒロインというのはやはり良いものだと思います。


 四十話過ぎでやっと過去形以外でヒロインが出てくるのはいくらなんでも遅過ぎますか? 自分でも思います。唯、この小説は結構短いので。


 と理屈を並べましたがヒロインは異世界での癒しですよね? できるだけの思考を尽くしますので次までお待ちを。


 感想、ご指摘お待ちしております。

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