候補者達の戦い
ガイと正一がメインで他の候補者の戦いも描かれます
「これを預かって来たぞ」
正一が、そういって一人でノートパソコンと格闘していた凱にメモリーステックを渡す。
「これ、何だ?」
正一は、肩をすくめて言う。
「空港から付いて来た人達から受け取った。予想通り、お前の家の人間だった。他の候補者の動向と、ターゲットの追加情報らしいぞ」
凱がしかめっ面をしながら言う。
「他の候補者の情報なんて要らない。羽田でも言ったが、俺は、出来るだけ独力でやりたいんだ」
正一は、そんな言葉を無視して、横からノートパソコンを触って情報を表示させる。
「それにしても、北は、北海道から南は、九州まで、何で日本中の組織に狙われているのだ」
凱がふてくされながら答える。
「ヤヤの場合、世界規模でターゲットにされている。それでも今回のは、個人的なトラブルで巻き込まれた奴だけだから、軽いほうだ。アメリカに恨み買って、月に一度は、特殊部隊の襲撃を受けてるからな」
正一が呆れ顔になりながら言う。
「それを考えれば、構成員が四桁までの組織が選考に使われるわけだ。とにかく、お前が相手しないといけないのは、以前、異界の神を召喚しようとしたのを邪魔されたフォース教団が復讐を企んでいると言う訳だな」
凱が呆れた顔をして言う。
「はっきり言えば、身の程知らずだな。ヤヤが少しでも本気になればその程度の組織、一日で壊滅、一週間で存在そのものを抹消される」
正一が資料をチェックしながら質問する。
「それでどうする? ヤヤさんが出して来たオーダーを考えれば、相手の組織に致命的なダメージを与える訳には、行かないぞ」
凱がベッドに大の字になり嫌そうな顔をして言う。
「だから困ってるんだろ。俺としては、一応戦闘能力がある教主と一対一で戦って、勝つことで、公約させようと思ってたんだが、資料通りなら、この先一週間は、襲撃に丁度良い外出予定が無い。夜間忍び込んで戦っても、不意打ちと思われたら、相手も納得しないぞ」
「やりたい事は、解った。だったらこれでそうだ?」
正一がノートに一つの情報を見せる。
凱が起き上がり、それを見て眉をひそめながら言う。
「お前な、それ手に入れるのがどんだけ大変だか知っているのか?」
正一が笑顔で答える。
「知らないが、大変なら大変な程、評価があがる。私達が求めているのは、単純な結果じゃない。最良な経過を含む結果だ」
凱がふてくされながら答える。
「解っている。それより、剛は、もう動いているんだよな?」
正一がデータを表示しながら答える。
「その様だ。狙いは、白火での調査結果では、北海道でアイヌ復興を企む組織らしい。何でも首領は、元バトルって賭け試合の闘士だったらしい」
北海道の森の中、噂に上がっていた白土剛は、アイヌ復興を企む組織の首領、カムイと相対して居た。
「前置きは、しない。我は、八刃の一家、白風の分家頭の一つ、白土の剛。白風の次期長、白風較の襲撃を止めて貰う」
カムイが憎しみを籠めて言う。
「お前が何者かは、知らないが、あの小娘の関係者と言うなら死んでもらう!」
地面が揺れ、木の根が剛を襲う。
剛は、冷静に呪文を唱える。
『白い風よ、大地を硬化する力になれ、白風硬土』
地面が硬化し、木の根が止まる。
意外そうな顔をするカムイ。
「馬鹿な、この技は、あの娘も止められなかった技だぞ!」
困惑をしながらも枝を伸ばし、攻撃に移るが、剛は、体を低くし、安全に接近する。
「お前は、バトルと実戦を同じだと思っていたのか?」
元バトルのA級闘士で、較との対戦経験もあるカムイが怒鳴る。
「バトルは、実戦と同じだ!」
剛は、呆れた顔をして答える。
「馬鹿が、実戦だったら、あの抜け目のないヤヤ様が、相手の有利な所でしかけるなんてしない。森が無いところで無力なお前では、抗うことも無謀だ。まあ、ここで足掻く事も出来なくなるがな」
剛の拳がカムイの腹に直撃する。
血反吐を吐き、のた打ち回るカムイに剛が告げる。
「こちらの要件は、伝えた。それに応じるまで実力差を思い知ってもらうまでだ」
それから、カムイが較の襲撃を止めるのを懇願するのに、それから十分もかからなかった。
「正直に言って良いか?」
洞窟を選考する凱の言葉に、プリントアウトした地図を確認していた正一が頷く。
「先が長いから溜め込まないほうが良いから、いくらでも言ってくれ」
凱が体積で人間の五倍位のスライムを白風炎で燃やしていく。
「ゲームじゃあるまいし、ダンジョンアタックなんて地味な事は、やってられないぜ」
「他には?」
正一の合いの手に凱が続ける。
「第一、なんで今時、スライムの大群がいるなんて、どこの有名RPGだ!」
「確かに、いっぱい出ているな」
凱が強く頷き叫ぶ。
「これには、作意を感じるぞ!」
凱の声が虚しく反響を終えた後、正一が言う。
「気がすんだな。先を急ぐぞ。まだ中間地点を過ぎたばっかりなのだからな」
凱が振り返る。
「聞いていないだろ!」
正一が地図から目を離さずに言う。
「このダンジョンの最下部で生成されている、宝玉を交換条件にフォース教団の教主を引っ張り出すのが一番確実な方法なのだろうが」
凱が嫌そうな顔をする。
「そういう取引も嫌だが、人に渡すものの為に、態々ダンジョンにもぐるのが面倒なんだけどな」
正一が顔を上げて言う。
「なんだったら、家の方に強力を求めるか? 入手方法は、それほど重要視されないと思うぞ」
凱が舌打ちをする。
「解ったよ。行けばいいんだろう!」
スライムの群生するダンジョン、常人では、生きて戻ることが不可能な場所を突き進む凱。
「問題の宝玉は、フォース教団の方でも、手に入れようと、色々動いていた筈だから、呼び出すには、十分なネタになる筈だ」
凱がスライムを燃やしながら言う。
「しかし、それで、ヤヤに対する襲撃を止めるか?」
正一が肩をすくめる。
「解らない。大切なのは、教主を引っ張り出すことだからな。そこからさきは、お前の実力次第だな」
凱が疲れた顔をして言う。
「他人事だと思って気楽に言いやがって」
そんな時、携帯が震えたので正一が確認する。
「白火家からメールだ」
「どうして、お前の方にメールが来るんだ!」
凱の突っ込みに正一が、メールを開きながら答える。
「お前が意地を張って見ないからだ。白金の候補者がターゲットと接触したらしい」
「うちの連中も何を考えてるんだ。にしても、ケイの奴は、大丈夫か?」
凱の心配に正一が言う。
「弱いのか?」
肩をすくめる凱。
「才能だけだったら、俺より上かもな。でもな、落ち着きがないんだよ。トラブルを起こしてないと良いけどな」
九州にある、犯罪組織、シャドーランニングの基地が襲撃されていた。
「常人があたしに勝てると思ってるの」
大見得きっているのは、白金京子である。
「小娘一人に負けるか!」
邪悪なオーラを纏った武器を持った戦闘員が一斉に襲い掛かる。
京子は、自分から前進する。
『オーディーン』
両手を合わせて、素手で敵を切り飛ばしていく。
「無駄な抵抗って知ってる? 最初から勝負になんてならないんだよ」
シャドーランニングのボスが拳銃を構えて言う。
「どれだけ強いか知らないが、これだけの数の拳銃相手に勝てると思ってるのか!」
次々と拳銃を抜くシャドーランニングの戦闘員達。
「何の冗談?」
京子の言葉にシャドーランニングのボスが叫ぶ。
「死ね!」
ボスの一言と共に次々と引き金が引かれるが、京子は、余裕の笑みを絶やさず、顔を両腕で隠す。
『アテナ』
銃弾の雨が次々に京子に直撃する。
硝煙と砂煙が視界を殺す。
「それで、終わり?」
煙の中から聞こえる京子の言葉に戦闘員の一人が叫ぶ。
「化け物だ!」
ボスが反論する。
「馬鹿を言うな! 同じ人間だ! きっと強がってるだけだ、無様な姿を見てやれ!」
煙が晴れた時、京子の不機嫌そうな顔があった。
「お気に入りの服だったのに。これって必要経費で落ちるわよね?」
平然とした京子を見て、シャドーランニングの戦闘員達が拳銃を捨てて逃げていく。
「待て! 私を置いていくな!」
一緒に逃げようとしたボスを見て、京子が両手を合わせて大きく振る。
『ヘルコンドル』
カマイタチが発生し、ボスの左足を切り裂く。
うめくボスの所に京子が近づき告げる。
「事が後先になっちゃったけど、要件は、一つ、うちの本家、白風較に二度と手を出さないと、誓って」
ボスは慌てて頭を上下させる。
「約束する。絶対、あんたらに逆らわない!」
「よろしい」
満足そうな顔をする京子であった。
「スライムが合体するのは、ゲームだけじゃないのだな」
感心した顔をする正一に、宝玉を取り込み、巨人に変貌したスライムと相対しながら凱が答える。
「原始的な魔獣だから、単純で結合しやすいんだ。キメラを作る時の触媒にしたりするぞ」
スライム巨人のパンチが凱に迫る。
凱が、間一髪の所で避けて、その腕に乗ると、そのまま肩まで移動し、腕を振り上げる。
『白い風よ、我が炎を連なせ、広大な炎とかせ、白風烈炎』
手元で増幅した炎をそのまま、胴体に打ち付けると、その炎は、スライムを引火し、その炎を広げていく。
暴れるスライム巨人の肩から飛び降りる凱。
「後は、燃え尽きるのを待つだけだ」
「そうか、次の情報が入ったぞ。仙台に入っていた白水の候補者が、問題の魔術組合と接触したようだぞ」
正一がメールを見ながら報告すると凱が嫌そうな顔をする。
「白水隠子は、苦手だ。どうせまた、下品な方法を使うからな」
首を傾げる正一。
「どういう意味だ? 戦い方に拘らないのが八刃だと聞いたが?」
凱が頭をかきながら言う。
「ああ、だから容認されてるが、あいつの技は、倫理的に気に入らないんだよ」
そんな話しをしている間に、スライム巨人の胴体から問題の宝玉が落ちてくる。
それを拾い、凱が言う。
「急ごう。幾らなんでもビリには、なりたくないからな」
正一が頷く。
「手はず通り、事前に用意した内容を相手に伝言が行く様にしてもらうぞ」
メールを送る正一を見ながら凱が言う。
「お前、白火の人間を使うのを慣れて来て無いか?」
正一が気にした様子も見せず携帯をしまいながら答える。
「ギブアンドテイク。持ちつ持たれつだ。今回の件は、重要なのだから、有効なら手を貸す。それだけだ」
意外な適応力を見せる親友に、少し戸惑いを覚えながらも凱は、スライムが群生するダンジョンを出口に向かうのであった。
そこは、魔術組合の長の寝室。
「最高だったよ」
長の言葉に、隠子は、妖艶な笑みを浮かべて言う。
「貴方のそれも立派で凄かったですわ」
隠子が男のシンボルを撫で、舌で後始末をする。
長は、隠子が持ってきた最高級のワインを飲みながら答える。
「手打ちの件は、まかせろ。元々、一部の過激派が、名を売る為にはじめた事だ。最初からあの化け物と本気でことを構える気はない」
隠子は、笑顔で答える。
「助かります。それでは、お礼にもう一回」
再び体を重ねる二人であった。
「詰り、枕営業か?」
フォース教団の教主との待ち合わせ場所で、正一が先程聞いた隠子の技の確認をすると、やる気の無い顔で凱が答える。
「そんな所だ。本人達は、異性を確実に虜にし、操る、淫術こそ、もっとも確実な篭絡手段だって言っているがな。たかがセックス位で、本当に相手を操れると思ってるのかねー」
正一が苦笑する。
「残念だが、たかがそれだけの事で多くの人間が身を滅ぼしている。そう、軽んじる事でもないな」
「そうか?」
凱が半信半疑な顔をしていると正一の携帯がメールの着信を伝える。
正一がメールを確認して告げる。
「京都に入っていた白木の候補者も相手と接触したらしい」
凱が手に持っていた空き缶をゴミ箱に投げつける。
「結局、俺達がラストかよ。早くきやがれ!」
凱の期待と裏腹に、フォース教団の教主が到着するのは、もう少し後になるのであった。
「そこに隠れているのは、解っている」
京都でも有数の陰陽師の一派の指導者の言葉に、大きな桜の木の幹から白木静太が顔を出す。
「お待ちしていました。私は、八刃が一つ、白風の分家頭の一つ、白木の者です」
頭を下げる静太に指導者が鋭い視線を向けて言う。
「白風較を狙った事に対する報復か? あれは、我等の管轄の山一つを消した。それを容認する訳には、行かなった。それをすれば我等の面子が立たない。こちらは、ひくつもりは、ない」
静太は、頷く。
「了解しています。しかしながら、その賠償は、終わっていると思っていましたが?」
指導者は、首を横に振る。
「金の問題では、ないのだよ」
そのまま一枚の符を投擲する。
それは、空中で大きな鬼に変化する。
「それは、役小角が用いた前鬼を模した物。模造品だが、その力は、それ相応の自信があるつもりだ」
静太は、その鬼を見上げながら答える。
「確かに、まともに戦って勝つのは、難しい相手ですね」
「勝てないとは、言わないのだな」
指導者と静太の視線がかちあう。
そして、模造前鬼が静太に迫ると静太は、桜の木の後ろに隠れる。
「その程度のことでは、防げぬぞ」
指導者が宣言に答える様に、模造前鬼の腕が桜の木を貫く。
次の瞬間、桜の木に花が咲き始めた。
「こちらも準備をさせてもらいました。この桜の木は、触れた物の気を吸収し無効化します」
桜の木の陰から現れた静太に指導者は、新たな符を取り出すと静太も懐から封筒を取り出し、指導者の足元に投げる。
「交換条件です。較様が手に入れた霊山の一つを、そちらに渡します。それで手打ちにして下さい」
指導者は、罠を注意しながらも封筒を取り、中身をチャックしてから答える。
「即答は、出来ない。だが、考えよう」
「よろしくお願いします」
頭を下げる静太に背を向けて去っていく指導者であった。
「お前等が、宝玉の持ち主か?」
フォース教団の教主の青年が凱達との待ち合わせ場所に現れる。
凱が問題の宝玉を見せて言う。
「これが証拠だ。これを渡す条件は、一つ。これ以降、我等白火の本家に当たる、白風の次期長に手を出さない事の誓約をもらいたい」
教主は、鼻で笑う。
「冗談だな。そんな宝玉一つで、我等の神の復活を邪魔した、あの者を許せるわけがないだろう」
早速の交渉決裂に凱が舌打ちをして、拳を握り締める。
「こうなったら力差を解らせてやるしかないようだな」
教主も杖を取り出し告げる。
「我等の神の力を見せてやろう」
その中間に正一が入る。
「戦うのでしたら、賞品をつけたらどうですか? そちらが勝ったら無条件で宝玉を渡します。しかし、こっちが勝ったら先程の条件を飲む。駄目ですか?」
教主が杖を握り締めて言う。
「その条件、飲んだ!」
凱も笑みを浮かべて言う。
「単純で良いな。正一、下がってろ」
正一が後退すると教主が杖を凱に突きつける。
『天の咆哮』
杖から雷撃が放たれる。
凱は、それを紙一重でかわすと接近を試みる。
「甘い。『天の怒り』」
教主が杖を掲げると、教主を囲むように雷撃が放たれた。
反射的に後退しながら凱が言う。
「防御も対応してるか。やるな!」
そして、両者の戦いは、長引いた。
教主の攻撃、天の咆哮は、凱に当たらず、天の怒りが、凱の接近を許さなかった。
「やるな」
「あんたこそ」
お約束の台詞を交わす教主と凱。
そして凱が宣言する。
「次の一撃に全てをかける。受けてみろ!」
教主も笑みを浮かべて答える。
「完全に防いでやろう」
凱は、リュックから一枚のコートを取り出し羽織って駆け出す。
『白い風よ、我が炎を纏わせ、破壊の炎とかせ、白風撃炎』
凱が全身に炎を纏う。
『天の怒り』
教主の防御の雷撃は、凱の炎とせめぎ合う。
「まだだ!」
教主が、雷撃を一点に集めた瞬間、凱は、コートを脱いで、雷撃を集中させた為に出来た隙間から、中に入り、教主の杖を蹴り、手から離れさせる。
「勝負ありだな?」
教主が悔しげに言う。
「ああ、今更言い訳は、しない。お前の勝ちだ。分家に勝てない今の我に本家の人間を倒す力は、無い。襲わぬことを誓おう」
凱が正一の方を向いてVサインを出すのであった。
「今日の飲み食いは、うちの家から出る事になってるから好きなだけ食え」
凱の言葉に、クラッカーがなる。
『次期分家頭筆頭再任おめでとう』
そう書かれた垂れ幕の中、パーティーが始まった。
「あたしまで呼ばれて良かったの?」
正一の恋人、桃宮祥子の言葉に、良美が言う。
「良いの良いの。こういったパーティーは、人数多いほうがもりあがるんだから」
「事情を知ってるクラスメイトを全部呼ぶのは、流石に問題だよ」
呆れた顔をする較は、店の人を呼んで、自分の関係者のお金を渡しておく。
「結局、どうして、凱さんが次期分家頭になったの?」
小較の質問に較が肩をすくめながら言う。
「他の奴等が選考基準を満たさなかったんだよ」
多少、事情を聞いていた良美が言う。
「どういうことだよ?」
較が説明を始める。
候補者達が竜夢区に戻ると直ぐ、白風家に集められ、結果を告げられると、当然の様に他の候補者が文句を言った。
「納得できません、一番早く目的を達成したのは、俺です」
白土剛の言葉に較が答える。
「貴方のターゲットのカムイは、宣言をする前に失脚した。後任が宣言をしたけど、選考基準に達したとは、判断できないね」
次に白金京子が手を上げる。
「あたしのターゲットは、ちゃんと健在で宣言もしたよ」
現分家頭筆頭の白水零子が言う。
「選考前の問題です。相手に自分が何者か告げる前に戦闘を開始しましたね。八刃の決まりとして、事前に通知するがあります。それを護られない限り、選考対象にも出来ません」
次に白水隠子が言う。
「あたしは、上手く行った筈ですが? まさか、あの方法が駄目だと言う訳では、ありませんよね?」
較が肩をすくませて言う。
「まさか。でもね、問題の協会の長だけど、前言撤回したよ」
頬を引きつらせる隠子に零子が言う。
「過激派にもそっちの技の使い手が居て、篭絡された様ですね」
較が呆れた顔をして言う。
「そっちの技は、確かに篭絡させ易いけど、それは、絶対では、ない。洗脳術と一緒で専門的な人間が居れば、術を掛けなおす事が出来る。八刃としての利点を活かしきれなかった、それが全てだよ」
反論が出来ない隠子を尻目に、最後の一人、白木静太を指差して較が言う。
「静太から要請で、あちきの持つ山を一つ渡した。つまり白風の力を利用したのでルール違反で失格だよ」
すると、白木の長が言う。
「白火は、一般人を同行させてサポートさせて居ました。これは、ルール違反では、ないのですか!」
較が笑顔で答える。
「この選考の目的は、一つ。白風の力を抜きで何処までやれるか。一般人でも使えれば使う。ちなみに仮定の話しだけど、白火が選考基準に達してなかったら、白木静太を次期分家頭筆頭にしてた。目的を達成する確実な方法を使える彼は、それだけ評価が高いのは、確かだよ」
「正直な話、あちき個人としては、能力的には、静太さんの評価が高かったのは、確か。ただ、今回の選考基準を考えた時には、基準に達していたのが凱さんだけだったって事」
較の回答に、凱が怒鳴る。
「絶対認めさせてやる!」
そして、笑顔の中、祝賀会が行われるのであった。




