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前世で裏切られたので王族との結婚は望みません  作者: gacchi(がっち)


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23.おやすみ(ユリアス)

治癒をかけ続けて魔力切れを起こしかけているロージーを、

縦抱きにして王宮の部屋まで運ぼうとしたら、

眠くて仕方ないのか会話も怪しかった。


「寝てもいいぞ。ちゃんと部屋まで連れて行くから」


「……ん」


そう言ったら安心したのかロージーの身体の力が抜けるのがわかった。


くたりと身体を預けてくるロージーが落ちないように、

両手でしっかりと抱きかかえた。


抱きしめると小さくて細い身体が、

折れてしまいそうなほど華奢で頼りなく思える。


さっきまであんなに頼りがいある聖女のようだったのに。



ふれている手のひらからロージーの柔らかさが伝わって、

ふわっと甘い香油の匂いが鼻をかすめた。


俺の肩に頭をのせているから、耳元で寝息が聞こえてくる。

たまらないな……。下手に寝顔を見たら、襲ってしまいそうだ。


まだざわついている離宮の外に出て王宮へ歩いていくと、

ロージーを抱きかかえた俺にすれ違う騎士たちがぎょっとして振り返る。


顔は見えなくても金色の髪でロージーだとわかるのだろう。

心配そうな顔している騎士もいたが、近寄るなと目で脅しておいた。


こんな無防備な状態のロージーを見るのは俺だけでいい。

なるべくロージーが人に見られないように、隠すようにして部屋まで連れて行く。


ロージーの部屋に着いて、侍女たちに頼んで夜着に着替えさせてもらう。


本当なら俺はロージーが寝ている部屋に入ってはいけないはずだが、

魔力の補充を理由に入れてもらえた。


このまま寝かせたら、三日は起き上がれないだろう。

今まで本気で魔術を使っていなかったロージーが、急に限界を超えてしまったのだから。


学校長が以前倒れた時も同じ理由だった。

騎士たちに治癒をかけ続け、学校長の方が倒れてしまった。

あの時に魔力補充の仕方は教えてもらっていた。


すやすやと寝ているロージーの寝台に近付いて、隣にあった椅子に座る。


手を握ると、少し冷たかった。

両手で包みこむようにして、ゆっくりと魔力を送りこむ。

少しずつ、少しずつ、ロージーの身体にいきわたるように。


一時間もそうしていると、ロージーの顔色が良くなってきた。


これなら、明日中に目が覚めるだろう。

ほっとして、手を離したけれど……離れがたくて。


ロージーの前髪の上から額にくちづけた。


「おやすみ……」



俺自身、治癒を使いすぎたせいで身体は疲れている。


幸い、魔力量が豊富なために魔力切れを起こすようなことは無いけれど、

疲れていることに変わりはなかった。


自分の部屋に戻ると、倒れこむように寝台に転がった。


目を閉じてロージーの寝顔を思い浮かべたら、

今日はいい夢が見れそうな気がした。



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