#7「信頼」
「……着いた。」
目の前の校門の横には、「朝凪高等学校」と表札が貼っている。
「……怖い?」
そう、紗綾が訊く。
「……少しな。」
身体は正直だ。もう、あの人らに苦しまされるのは嫌なのだ。
そんな僕を慰めるように、
「ちょ……、急になんだ……!?」
紗綾は急に僕の頭を撫でてくる。
「いいんだよ、そんな怖がらなくて。君が今やっていることは間違いじゃない。私が保証してあげる。」
「……ごめんな、色々と巻き込んじゃって。」
「……どうして、謝るの?一番しんどいのは藍都なのに。」
「……なんで、君は僕にそんな優しくできるんだ……?」
「えっ……」
「なんで……君は僕をそんなに守ろうとするんだ……?」
僕は、人を信じるのが怖い。
いや、一番信頼している「紗綾」だからこそ、もし紗綾に裏切られた時、僕はどうなってしまうのか想像してしまって、どうしても不安が勝ってしまうのだ。
「……そんなの決まってるじゃん」
でもそんな不安、紗綾には不要だった。
「君のことが好きだから、君がこの世界で一番幸せにならなきゃいけない存在だから……。」
「……だから私は、ここまで付いてきたんだよ。」
「だから……私のことで悩まないで……。」
「……わかった」
「……じゃあ、行こう。」
「うん……!」
やっぱり、人を信じるのは怖い。
だけど。
僕はもう一度だけ、「君」のことだけは信じてみようと思う。
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校舎に入った藍都と私は、まず藍都の教室へ向かう。
すると。
「……はぁ、またか。」
教室に入ってすぐ、藍都は机を見てため息交じりにそう言う。
「……!?え?ちょ、これって……」
私が見た藍都の机は、悪口と落書きに染められていた。
「いつものことだ、気にするな。」
「いや気にするでしょ……。」
「……っていうかさ、なんでいじめられているの……?」
私は藍都に心配そうな表情を浮かべながら訊く。
「……、羨ましがってるんだよ、あいつらは。」
「……?」
「……僕が、財閥の御曹司であることを……な」
「……!?誰がそんなことを……!?というか、そんなの昔の話であって、今頃掘り起こす話じゃ……!」
「今の朝凪高校のPTAの会長って誰だと思う?」
「え……?」
「……まさか……!?」
「そう。今のPTAの会長は——」
——「神楽銀 奈那。神楽銀 豪の母親だ。」
「……ふふっ、そうなんだ。」
「……?うん。」
この時、僕は紗綾の返答が少し、いやかなりおかしく感じた——。
《あの時、気づかないふりをしなければ、運命は変わっていたのだろうか。》
《……いや、あの時に僕が動いたところで時すでに遅かっただろう。》
今頃、考えても仕方が無い。
——もう、僕は死ぬのだから。
【次回へ続く】




