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君がいてくれたから、僕がいる。  作者: Matcha
第2フェーズ 「復讐と歪んでゆく心」
7/7

#7「信頼」

「……着いた。」


 目の前の校門の横には、「朝凪高等学校」と表札が貼っている。


「……怖い?」


 そう、紗綾が訊く。


「……少しな。」


 身体は正直だ。もう、あの人らに苦しまされるのは嫌なのだ。


 そんな僕を慰めるように、


「ちょ……、急になんだ……!?」


 紗綾は急に僕の頭を撫でてくる。


「いいんだよ、そんな怖がらなくて。君が今やっていることは間違いじゃない。私が保証してあげる。」


「……ごめんな、色々と巻き込んじゃって。」


「……どうして、謝るの?一番しんどいのは藍都なのに。」


「……なんで、君は僕にそんな優しくできるんだ……?」


「えっ……」


「なんで……君は僕をそんなに守ろうとするんだ……?」


 僕は、人を信じるのが怖い。


 いや、一番信頼している「紗綾」だからこそ、もし紗綾に裏切られた時、僕はどうなってしまうのか想像してしまって、どうしても不安が(まさ)ってしまうのだ。


「……そんなの決まってるじゃん」


 でもそんな不安、紗綾には不要だった。


「君のことが好きだから、君がこの世界で一番幸せにならなきゃいけない存在だから……。」


「……だから私は、ここまで付いてきたんだよ。」


「だから……私のことで悩まないで……。」


「……わかった」


「……じゃあ、行こう。」


「うん……!」


 やっぱり、人を信じるのは怖い。


 だけど。


 僕はもう一度だけ、「君」のことだけは信じてみようと思う。


////////////////////


 校舎に入った藍都と私は、まず藍都の教室へ向かう。


 すると。


「……はぁ、またか。」


 教室に入ってすぐ、藍都は机を見てため息交じりにそう言う。


「……!?え?ちょ、これって……」


 私が見た藍都の机は、悪口と落書きに染められていた。


「いつものことだ、気にするな。」


「いや気にするでしょ……。」


「……っていうかさ、なんでいじめられているの……?」


 私は藍都に心配そうな表情を浮かべながら訊く。


「……、羨ましがってるんだよ、あいつらは。」


「……?」


「……僕が、財閥の御曹司であることを……な」


「……!?誰がそんなことを……!?というか、そんなの昔の話であって、今頃掘り起こす話じゃ……!」


「今の朝凪高校のPTAの会長って誰だと思う?」


「え……?」


「……まさか……!?」


「そう。今のPTAの会長は——」


 ——「神楽銀 奈那(かぐらぎ なな)。神楽銀 豪の母親だ。」


「……ふふっ、そうなんだ。」


「……?うん。」


 この時、僕は紗綾の返答が少し、いやかなりおかしく感じた——。


 《あの時、気づかないふりをしなければ、運命は変わっていたのだろうか。》


 《……いや、あの時に僕が動いたところで時すでに遅かっただろう。》


 今頃、考えても仕方が無い。


 ——もう、僕は死ぬのだから。

【次回へ続く】

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