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君がいてくれたから、僕がいる。  作者: Matcha
第2フェーズ 「復讐と歪んでゆく心」
6/7

#6「記憶無き君と共に始める復讐」

「良かった……。じゃあ……、復讐のための作戦でも考えよっか。君の両親のこと、詳しく聞かせて——。」

——「これが僕の覚えている全てだ。」


 僕は覚えている記憶の全てを椛山に話した。


「……じゃあ、本当に学校のことは……。」


「覚えてない。まず、僕が小、中学校に通っていたことも記憶にない。」


 ここで普通の人はどうやって高校に入学できたのかと疑問に思うだろう。


 実は藍都は学力においては、生まれ持った天然の天才なのだ。


 まあ、それも藍都は忘れているんだろうけど、と私は心の中で呟く。


「じゃあ藍都くんがちゃんと覚えているのは——」


「——両親からの虐待だけ、だな。まぁ、椛山に会う前から実際にされてた訳だし」


「……というかさ。」


 僕はその言葉から、急に紗綾の雰囲気が変わったように感じた。


「……?どうした?」


「……ねぇ、なんで昨日、曖昧な感じで話したの……。なんで、教えてくれなかったの……!」


 すると、


「……それは……、人と関わりを持つのが、「怖い」から……。」


 藍都は震えた様子でそう呟く。


「あ……、ごめん……。」


 熱くなりすぎた気がした私は、とりあえずそう謝る。


 やっぱり、記憶は無くとも、あの頃のいじめの恐怖は未だに、藍都を傷つけ続けている。


 そんな深い心の傷を負っているはずなのに、


「……いや、そんなの言い訳だよな、ごめん。」


 君はそう言って一歩でも前へ踏み出そうとしてる——、


「……え?」


 そんな君が、昔から私は好きなんだよ——。


////////////////////


——「……え?」


 なんで、僕は今椛山に抱き着かれているのだ……?


「……なんで抱き着いて……」


「……これも……覚えてないんだ。」


「……?」


 僕は椛山の言葉に違和感を覚える。


「……ううん、なんでもない。でもさ——」


——「しんどい時は頼ってよ。君が苦しい時、私も一緒に苦しんであげるから……、そうすれば、苦しさを半減できるかもしれないでしょ?」


「……ありがとな、そう言ってくれて。」


 椛山の優しさに触れたら最後、一般の男子なら惚れないわけないだろうなと思う僕であった。


「……ちょっと話が脱線しちゃったね……、話、戻そっか笑」


「そうだな……笑」


「……さて、とりあえず明日からは学校だけど、どうする?藍都くんは体調不良で休むっていう(てい)でここに居ておく?」


 確かにそうすれば、色々と面倒事は避けられる。


 だが。


「いや、学校は行きたい。でも……、」


「親が藍都くんの居場所を捜索するかもってことでしょ」


「……あぁ。」


 そう。僕が両親に家から追い出されてもう4日が経つ。


 だがもし、もしだ。


 僕の両親が僕たちが思うよりも頭がおかしくて、


 虐待するための玩具(おもちゃ)として僕を捜索なんてし始めてしまえば、


 そして僕が椛山と暮らしていることが発覚してしまえば、


 それは椛山にとって、財閥全体での大問題になるだろう。


 しかし僕の考えとは裏腹に、椛山はこう言う。


「それ思ったんだけどさ、元から藍都くんのことが嫌で追い出した親が、わざわざ取り戻そうとするかな〜?」


「……確かにな。」


 椛山の言葉で、僕は覚悟を決める。


「……じゃあ、明日学校行くよ。」


「やった!じゃあさ——」


 翌日。


——「……なんで、一緒に登校するんだよ……?」


 椛山は僕にくっつくように一緒に歩いている。


「……何か問題でも〜?」


「いや問題しかないだろ」


 次期社長令嬢で生徒会長の椛山とどちらかというと学校では陰キャな僕が仲良くくっついて登校しているなど、異色すぎて変でしかない。


「……別にいいじゃん、幼馴染なんだし。」


「あのなぁ……。」


 幼馴染とはいえ、高校生にもなれば、相手が異性であると恥ずかしいものである。


「さっ、早く学校行こう〜!藍・都・く・ん♪」


「っ……!外でその呼び方はまじでやめろ……!」


「照れてるの〜?可愛いなぁもう〜!」


 そう言いながら椛山は僕の頭を撫でたりしてくる。

 

 (幼馴染って分かったとはいえ、距離感近くなり過ぎだろ……!?)


 僕がそんなことを考えていると、椛山は元の距離感に戻ってこう喋りだす。


「……っていうかさ、昨日の復讐の作戦の件なんだけどさ。」


「……?どうした?」


「……君は両親がどうなってもいいの……?って一応聞きたくてさ。」


「ああ。別にどうでもいい。あんな奴らは「家族」なんかじゃない。」


「そっか。」


 なら安心だね。


 《じゃあ、最悪✕ ✕ ✕もいっか♪》


「……?なんか言ったか?」


「ん〜?何も言ってないよ?……ってもうこんな時間じゃん!?」


「うわ!?やべぇ!早く行こ!」


 〘……あのね、藍都くん。〙


 〘君は、あくまで復讐という名の「不幸」しか、あのゴミ、いや、生きている価値の無い奴らに与えないんだろうけど、〙


 〘私は、本当の「絶望」をあの奴らに突きつけたいんだよね。だから、ごめん。藍都くん。〙


 〘私、「犯罪者」になるかもしれない。でも、それでもね。〙


 〘何があったとしても。〙


〘……貴方へ降りかかる不幸は、私が全て「消して」あげますから……。〙

【次回へ続く】

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