戦場の仲間
「ああ……お嬢様!」
「マリア様!」
「なんて気の毒な」
マリアは広場に作られた処刑場に向かって身を引かれていた。連日に及ぶ激しい拷問で歩くことすらままならない彼女を、神殿警察の者たちが引いていく。
「お嬢様のような方がどうしてこのような目に!」
「あんな立派な方がどうして魔女なんだい!」
その周りを囲むように、街の人たちが声を上げていた。中には怒る者も、泣き始める者もいた。みんな彼女の姿に心を痛めていた。
そんな群衆の中から、突然グラスたちの一団が飛び出してきた。
「お嬢様を助け出すぞ! こんなに……こんなになるまで拷問にかけやがって!」
彼らはみな武装していた。
「マリア様が魔女なわけねえ! 俺たちで助け出す! みんないいか!」
百人近い男たちが神殿警察を囲む。十人程度で護送していた兵士たちに緊張が走った。皆戦場帰りの男たちだ、いくら正規兵の彼らでも太刀打ちできない。中には腕が欠損している者もいたが、ほとばしる気迫は尋常ではなかった。
しかし「控えなさい」と静かにマリアが言った。
疲れ切った声だが、きっぱりとした意思が感じられた。
「でも……」
いきり立った男たちが剣を手にかけたまま、動きを止める。
「そんなことをすれば、あなた達やその家族に危険が及びます。そのようなことを私は望みません。領民が領主のためにあるのではないのです。領主が領民のためにあるのです。私を愚かな領主にしないでください」
「お嬢様……」
「それに彼らもしたくてしているのではありません。彼らを恨まないでください。けっして」
気まずそうに顔を見合わせた神殿警察の男に連れられて、再びマリアはグラスたちの間を通り過ぎていく。気丈な姿は健在だが、このままでは。
「くそ。……いざとなったら」
マリアの後姿を見ながら、男たちはこぶしを握り締めていた。
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