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Alex:2032  作者: 果糖
21/22

第二十一話

(無言の五体投地)

お久しぶりです……いや本当にすいませんでした。

作者の就活が終わったのでぼちぼち更新再開致します。

今回は戦闘回です。

 


「――指揮官型の属性は?」

「ゴーレムは属性統一で土属性さ。指揮官型は耐久値も高くないから魔法で狙い打てば楽なもんだぜ」

「となれば、火属性の魔法か……」

「レベルが30になれば【中級魔法】が使えるようになるんですがねぇ……」



 初耳だ。とリリィの方を向き首を傾げるアレックス。



「……【中級魔法】?」

「レベル30になると覚えられるんです。

 今までのボール系に加えて、新たにライン系の魔法が追加されるんですよ!」

「ライン系っていうのはあれだな、光線みたいなやつだ。」


 そう考えると27というのはなんともまあ中途半端なレベルだ。

 しかし既にこの周辺は共に作戦を練っている二人に蹂躙された後なので、経験値稼ぎは不可能。

 このまま初級魔法でどうにかするしかない。



 ◇◇◇◇









「……じゃあそろそろ行くかねぇ」

「大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫。んじゃ行ってくるわぁ」



 特に何の緊張も見せず、テオは階段を一段づつ降りながら背中の大剣を抜いた。

 降りてくるテオのコツコツという足音に反応したのか、階段周りにゴーレム達が集まってくる。

 数にして十体ほどだろうか、動くたびに金属音を重ねていく間隔が狭まり、

 ギギ…ギギギィ…という音が暗闇から聴こえてくる。



「…では、私の魔法を合図に攻撃開始か?」

「はい。誤射を防ぐために指揮官型以外は師匠が引き付けます。

 アレックスさんは狙撃に集中していただければ!」

「よし、では――」



 魔法展開。そう思うと同時に視界へと魔法の射程と予測線が表示される。

 リリィ曰く、これが魔法を放つ際の本来の仕様だという。

 いつもは魔法を使いたい時は即座に詠唱していたため気付かなかったが、

 狙撃をする場合は詠唱の前に魔法を使うことを意識するとこの仕様が使用できるらしいのだ。



(標的は一体。距離およそ300。視界不良…だが不可能ではない)



 杖を標的に向け、銃のトリガーを引く要領で先端に封じていた火球を解き放つ



「――Feuer!」



 瞬間。赤と橙の混じった火球が一直線に目標――指揮官型へと飛んでいく。

 それはまるで照明弾のように階段から大部屋までの道を照らし、

 土人形達を牽制するテオの頭上を超えて大部屋の奥へと進む。



「…ギギ!?」



 指揮官型が自身に迫る驚異に気づいた頃にはすでに遅く……

 火球は勢い良く指揮官型の頭部に叩きつけられ、その金属製の身体もろとも後ろへ大きく吹き飛んだ。

 同時に指揮官型がやられたからか土人形達の動きが鈍くなる。



指揮官型(アタマ)は潰したぞ!」

「――よっしゃァ!」



 声に答えるようにテオはいままで盾として使っていた大剣を振り上げる。

 すると、今までテオの周りにいた数体のゴーレム達が文字通り吹き飛んだ(・・・・・)



「……なんだ、アレは」

「アレが師匠にとって普通らしくて…なんかすいません」

「ヒャッハー!!逃げんじゃねぇぞ鉄屑共がー!!」



 怪訝な顔をする両者。それを尻目に暴れ回るテオ。

 先程までの緊張感が嘘のように、混沌とした雰囲気が辺りを覆っていた。

 ただ流石に数が数なのでテオだけではこの数はどうしてもカバーできない。



「では私はここで砲台の役割を果たせばいいんだな?」

「ええ、できるだけ遠くの標的を狙っていただけると助かります!

 じゃあ私は師匠の援護に行ってきますので!」

「ああ……あの馬鹿がすまんな」

「フフフッ、大丈夫ですよー!慣れてますから!」



 そう言うとリリィは右手に細身の片手剣を、もう片方の手に松明を持ち、

 前傾姿勢になると勢い良く階段を下った。



「ッ……!」



 その速さはアレックスから見て、まさに神速。

 あっという間に階段を下り、下り終えると同時に大きく跳んだ。



(速度重視のステータスにしていると聞いてはいたが、まさかこれほどとは)



 大剣を振り回しているテオの頭上を越えて、

 着地と同時に偵察型を上から片手剣で串刺しにする。



「――師匠!」

「はいよー」



 呼びかけに応じてテオがリリィの背後をカバー。

 それと同時にリリィは持っていた松明を近くの壁に投擲する。

 松明は壁に突き刺さり、二人の視界を確保する。



(……なんで突き刺さるのかは想像しても無駄だろう。なんかファンタジー腕力的な何かだ多分)



 現実逃避…にもなってないが取り敢えず意識を戦闘に向けて切り替えなければ。

 そう思ってアレックスは再び杖を土人形達に向け直す。



「…初心者故どこまでできるかわからんが…まあやってみるか」



 ◇◇◇◇





 ……それから10分程度経ち、大部屋は鉄屑が散乱していた。

 倒した土人形達の素材は自動でインベントリに移動するため、

 残っているのは文字通りただの残骸だ。



「おお、レベルが30に達したか」

「良かったな!」

「おめでとうございます!」



(これで中級魔法が使える……そう思うと頑張った甲斐があるというものだ)



 ……実際にはパワーレベリングの成果だがその辺は空気を読む。

 大人の処世術を要らないところで使うアレックスだが、それ以外にも嬉しいことがあった。



「…しかもこれは、どういうことか」



 それは土人形…ゴーレムの落としたアイテムの事だ。

 通常ゴーレムが落とすのは一部の青銅などの破片と魔石程度。

 平原よりかは質のいい魔石も手に入るし、破片は武器の強化や生産に使える。


 だが問題はそれではない。



「なぜゴーレムが薬草を落とす……?」

「こりゃあ確かに…」

「おかしい、ですよね?」



 インベントリに収納されたアイテムの内、三割ほどの割合で薬草類が入っていた。

 それだけではなく……



「アコニム草にパパウル草……どれも群生地で全滅していた薬草ばかりだ」

「つまり……どういうことだ?」



 テオがよく分からない、とばかりに首を傾げていると、

 隣にいたリリィがふと思いついたことを口にする。



「ひょっとして、あの群生地から採取していたのは生産職のPCじゃなくて…」

「恐らく、な」

「ん?」



 未だわからない様子のテオに説明すると……



「つまり、今まで群生地で見かけることのなかった薬草がゴーレム共を倒すと出てきた。

 ひょっとして薬草をゴーレム達が集めていたんじゃないか…ということだ」

「はぁ!?そんなの在り得るのかよ?」

「まだ仮定の段階ではあるがな。というかそもそもこの辺りはお前らの方が詳しいだろうに」



 そう言って二人を見ると、リリィが気まずそうに返してくる。



「いやぁ……その、戦闘ならある程度知識はあるんですが……」

「ドロップ素材とかその辺の情報はなぁ、最低限はあるんだが」



 この脳筋共が……!と毒づくアレックス。

 かといって、ないものを振り絞っても意味がない事は明白。

 諦めた様子でその場に座り込んだ。



「一つ言えることがあるとすれば、アイテムを盗む魔物…エテクスっていうのがいます。

 平原の先の森にいる猿の魔物なんですけど…その場合は猿を倒せばアイテムは戻ってきますし…」

「ビービーっていう蜂の魔物なら一定時間放置した状態で狩ると蜂蜜が手に入る。

 この場合は、花畑で採取した~って考えりゃぁ……」

「……魔物がアイテムを採取することは在り得る。ということだな」



 魔物がアイテムを自発的問わず採取することは十分に在り得る。

 それだけ確認しただけでも僥倖と言えるだろうと自分を納得させて、

 取り敢えず頼まれた薬草類は全て揃った。一旦帰ろうか。と二人に提案するアレックス。



「ではひとまず地上へ行きましょうか!」

「まだ暴れ足りないが…まあいいや」

「あれだけ暴れておいてそれか……流石蛮族」



 来た道を引き返して三人はジョージに薬草を渡すべく歩くのだった……。



読了ありがとうございました。

戦闘シーン上手く書けねぇ……

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