第二十話
お久しぶりです。今回はアホみたいに短いです。
階を進みながらアレックス率いる……率いる?三人はジョージ翁から頼まれた調査を順調にこなしていた。
途中で何度かゴーレムと遭遇することもあったが、そこは最前線クラスの二人がアレックスをガッチリガード。
アレックスからすれば何もしなくてもどんどん経験値が流れ込んでくる状態で、正直楽だったことは否めない。
しかし気付けば調査も大詰め。
残すところあと一階と、三人が一息ついていたその時――。
「――なあ、テオ」
「……なんだよ」
最後の階段前で何故か立ち止まっている一行。
アレックスから借りた地図を広げたまま呆然とするリリィを放って、
頬から一筋の冷や汗を流しながら、アレックスの目線は下……。
……正確には階段の下。階下の開けたスペースに向けられていた。
更に言うなら、二人が見ているのは部屋の中。
「……アレはなんだ?」
「いやぁ……アレだろ?アレだよアレ」
「ア、アレはアレですよね。師匠!」
「固有名詞を付けて話せ馬鹿師弟……。
……じゃなくて、あの連中は何だと聞いているんだ」
――ギギギ。
――ゴッ!……ギギィッ。
――ギギィ、ギギギギッ。
……視線の先。
階下直ぐの部屋には凄まじい数、種類のゴーレムがひしめき合っていた。
決して狭くない部屋の中を、無数の関節部からひしめく鈍い金属音が乱反射し、騒がしい音を響かせている。
数にして凡そ数十体。薄暗い部屋の中、目視での確認でそれだ。
うんざりする様な数。当のゴーレム達にとってもこの場は狭いのか、時々互いに衝突している様が見えた。
「偵察型、強襲型、遠射型……大体全種類揃ってんな。忌々しいことに」
「うわぁ……指揮官型までいますよ。どうなってるんですかこれ……」
歴戦のプレイヤーである二人の反応を見るだけで、明らかに面倒臭そうだと理解したアレックス。
「――でも、一体どれくらい厄介なんだ。こいつ等は」
「単体ならそこまででも無いんですけどね……」
「種類が揃ってんのもあるんだが……。
……ほれ、あの奥にいる小柄なゴーレムがいるだろ?」
テオが指差す先に目線を送ると、
そこには周りより一回り小柄なゴーレムが潜んでいた。
姿形は頭でっかちの不格好にも見えるスタイル。
外見から見ても、他のゴーレムとは違い最低限の武装すら見えない圧倒的なまでに無防備な姿は、明らかに浮いていた。
「――指揮官型ゴーレム。武装無し、鈍重、紙装甲の三重苦揃ってる代わりに、
フィールドに存在するだけで周りのゴーレム達を大幅に強化する厄介な奴さ」
「先に潰しておかないとかなり厄介なんですよ……。
以前アレがいる集団に遭遇して壊滅しかけた思い出がぁ……!」
アレックス、驚愕。
圧倒的強者だと感じていた二人の苦い顔を見て、思わず目を見開いてしまった。
そう言われるとなんだかあの不格好なゴーレムが恐ろしく見えてしまう。
だが此処を突破しなければジジイからの依頼は達成できない。
そう考えれば不思議とやる気が……出る気配は微塵も無いが、
いい加減に地上に帰りたいアレックスはもう大体吹っ切れていた。
要するに飽きたのだ、地下に。
「……倒すにはどうすればいい?」
「ん?どうすりゃいいかって言えば……」
「……早めに指揮官倒して、その後時間を掛けて叩く、しかないですよね?」
「まあそれくらいだろうなぁ。問題は指揮官をどう刺すかなんだが……」
「任せろ。俺も伊達にここまで寄生していた訳じゃないさ」
「……大丈夫か?」
「戦闘自体はまだ未熟だが……動き回らないならどうとでもなるさ」
一応ここまで何もせずにいたアレックスではない。
二人の影に隠れながらも、ちょくちょく魔法を撃っていたのだ。
静止した状態での撃ち方に関しては、もう間違えることも無いだろうと自負している様子だった。
「なら大丈夫かな……今、レベルどのくらいですか?」
「丁度27だ」
「そんくらいなら大丈夫だな。一応限界まで……階段上で撃てればいいか」
「OKだ。そこからなら射程も十分だからな」
「これで大丈夫……ですよね?」
「大丈夫だろ。指揮官型は文字通りの紙装甲だし」
着々と準備を進める三人。対するは部屋を埋めるゴーレム部隊。
比率にして十倍以上は確実の戦いを前に、彼らはどう戦うのか。
広大な迷宮で、蹂躙が始まる。




