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突然、眼前に翳された小さな輪に、声を失った。
まさか彼がそんなものを出してくるなんて思わなかったから。
息を飲んで、目を見開いたまま固まる私に彼は囁く。
そんな彼に私は―――
「ばかっ」
素直に喜べずに、悪態をつく。
つきながら無理矢理嵌めて、彼の方をクルリと向いた。
「だから、もっとカッコよくやりなさいよ」
笑って言いたかったのに……
言った瞬間、涙が零れた。
「大きすぎるから」
「ごめん」
サプライズすらまともにしてくれない彼が、やっぱり愛しくて―――
シーツが肌蹴て落ちてしまうのも構わず彼に抱き着いた。
「世界で一番、愛してあげるから傍に居て」
ギュッと抱きしめて、そっと離れて彼を見つめる。
瞳がぶつかって、彼の瞳も涙で滲んでいて。
二人で泣き笑いながら、ゆっくりと顔を近づけた。
今すぐに、貴方との距離は埋まらないかもしれない。
でも―――
今日よりも明日。
明日よりも、明後日。
1年後よりその先―――
ずっと、貴方が好きで、貴方を愛していける気がする。
だから、傍にいよう? 私たち。
――――――
私は
貴方は
君は
キミは
彼女は
彼は
今宵、きみを想う――――
(fin)
24.5.18
By 桜柚姫




