13話
「なっ……」
「何ですか! ? それは! ?」
先に、戸井が同様の事を訴えた。
計画を打ち明けていないとは言え、校長、邪魔はしないのでは無かったのか?
「伝えた通りだよ」
「校長先生の意図を知りたいのです。向井間君については、問題ありません。ただ、阿多谷君については、納得いきません」
「阿多谷君を個人的に選んだ理由は、この学校に変革が必要だと感じたからだ。いじめは決して、許されない行為だ。ただ、だからと言って、いじめをしたものをこれ見よがしに、よってたかって断罪しようとするのもいじめと言われれば、否定出来ない。いじめを許さないという意志は、皆充分に達している。しかしそれが強いがために、いじめたものを執拗に、責め立てるようでは、本末転倒だ。しかし阿多谷君。彼は、その逆境をものともせず、騒ぎを制した。誰でも出来ることではない。そして、変革するに足る人材である。以上だ」
「そんなの詭弁です。いじめをしたものがいじめから守る組織に入る資格は断じて、無い。そうだろみんな!」
そう言うと、生徒の大半が頷き、そうだと呟き、便乗していた。
「それ仕込みだよね?」
「いきなり、藪から棒では、ありませんか? 校長。みんなの総意だから頷き、良しとしないんですよ。第一仕込みなら、どうやって、阿多谷君が立候補したのを知るのです。そう言う宣言は無い。僕がそういう話を盗み聞きしたと言うなら、平行線にしかなりませんよ」
「そこが気がかり何だよね。阿多谷君は確かに、立候補の宣言なんてしなかった。する方が珍しいけど。どうしてこんな準備万端に行動出来たんだろうね」
「僕がやっている前提で話さないで下さい!」
「あぁ。最初から阿多谷君たちを目の敵にすれば、問題無いね」
「だから……え、。」
「最初からそういう扱いをしろと示唆すれば、問題無い」
「そんな事していません! !」
「最初のも、詭弁と言う前に、否定するべきだったね。証拠を出せというのだね。出せるよ」
その発言に戸井や他生徒らも明らかなどよめきがあった。
「想定外の事が起きても、驚きを表情や仕草に出さない事も伝えるべきだよ。これ以上とやかく言えば、私もいじめをしている事になりそうだ。それは、本意ではない。執拗な干渉はしてはいけないよ。例え許されざる行為に及んだとしてもだ。憎しみからは憎しみしか生まれないよ。戸井君の当選にけちを付けたいわけではないんだ。そこはわかって欲しい。当選者を戸井君とし、補佐役として、向井間君と阿多谷君を任命する。異論は無いね戸井君」
「イジメハイケナイコトダイジメハイケナイコトダイジメハイケナイコトダ」
「わかったね? 戸井君」
「……はい」
そう返事をした戸井は、憎しみを帯びているようだった。




