12話
最後の番。つまり俺の番が来た。
壇上の元へ寄り、発言をする。茶番劇をはじめよう。
しっかりとな。
「阿多谷君にいじめを受けていた向井間です。いじめられたことを水に流すことは出来ません。ただ、先ほど彼が言ったことは、その通りです。いじめ間で当人外でのやりとりをするのは好ましく無いです。しかしわざわざこの学校に進学する必要も無いはずです。ここに来るのも意図的ですよね? 自分で言うのも、何ですが、もっと気を遣って欲しかったです。他の学校に行くべきです。もう、仕方ない話ですが。そしていじめ撲滅委員会に立候補したからには、自分なりの大義を持ち、訴えるべきです。阿多谷君には、それが無いです。それも無しに、自身の保身だけを訴える場として、この場を利用するのはお門違いです。少々辛辣でしたが、気を取り直して話します。僕は先ほども言った通りいじめられていました。いじめられたことによって皮肉にも、いじめはあってはいけないその意思は強くなりました。それと同時にいじめられたくないと強く思うようになりました。後者の方が強いと思います。その為にこの学校を選び進学しました。実の所、立候補するつもりはありませんでした。立候補したきっかけは、戸井君です。登校の際に、阿多谷君と坂井君に、話しかけられました。とても嫌でしたので、断りましたが、受け入れてくれませんでした。その時に戸井君が仲裁に入ってくれました。とても頼もしかったです。そしてここで、自分を票先に考えている方へ、戸井君の票に変えて貰いたいのです」
前代未聞の行為に、ざわつきはせず、寧ろ称賛の反応が返ってきた。
登校時から戸井は学校生徒と交友関係を築いてきた。
気持ち悪い位に。
だからこそ、票の扇動は容易い。
戸井との接触は容易いが、この計画では、戸井に好印象をもたれるようにする事もセットだ。
出来るところでしといて損はない。境遇が似ている(偽りだが)ので、すぐに心を開くだろう。
「本当に良いのかい?」
受け入れられムードの中、戸井が俺に確認をする。
茶番とも知らずに。
「うん。その為に、立候補したから」
「そうか。向井間君の分も頑張るよ」
握手を交わし、こうして、最後の演説が終了した。集計がその場でなされる。
圧倒的な票数で、戸井が選ばれた。当然の結果だ。
続いて、俺の票数が続きそれ以降は、大差無かった。
俺の票数は、戸井に流せと言ったのに、奴らは何を聞いていた?
感動的な茶番に心打たれたのだろうか?
俺がしたことだ。とやかく考えても仕方ないか。
概ね、計画通りなので、良しとしよう。
計画の一端が終わりかと、思っていたが。
「ちょっとみんな聞いて欲しい」
声の主は、校長だ。壇上へ上がった。
「みんなこの結果に異論は無いと思う。しかしだ。特別に、私は向井間君と 阿多谷君を補佐役として、加えたいと思っている」




