悩みと決意
ユラは、暢気に笑っている。
「どうせ、国の調査に来たんでしょ?」
「それなのですが、あの若い神は処刑対象になりました。ここまで、レレット王国が荒れてしまい。」
すると、ユラは驚いてから立ち上がる。
「待って、フラウダは分かるけど何故ネルンも?」
「それは、連帯責任ですよ。」
ユラは、考える仕草をしてからため息を吐き出す。
「なら、ネルンの処罰は反対だよ。彼は、有能な神だし。ここで、失うのはとても惜しい………。」
すると、驚きの表情をする武神ミカヅチ。そして、優しく笑うと座ってからユラを見る。
「珍しいですな。ハイリヒ殿は、他人に厳しく自分にはもっと厳しいお方だった。そんな、貴方が認める相手なら助けたいとは思う………。」
「それには、天界の神々を説得しないと………。」
ユラは、ため息を吐き出してから呟く。
「………ですな。そう、何かで本気を伝えるとか。」
「失敗すれば、僕も不利益を呑まないいけない。」
疲れたように、言って悩む神の2柱。
「では、私と神前試合をしましょう。私が勝てば、ご結婚の件を大人しく受け入れてください。」
「…………っ!」
ユラは、息をのみ悲しげな表情をする。
最近、周りの神々がユラに結婚を進めてくる。ユラは、今では主神を傷つける事が出来るほど強い。そして、その純血になった神としての血筋は、種族を問わず欲しいと思われている。勿論、天地に住まう数多の神々も同様にである。ユラは、考える。
ネルンは、レレット王国の未来の柱だ。
自分が、守れなかった国を1人でギリギリながら守っていた。だから、レレット王国は最悪な事態を免れた。その恩は、ユラとしては返しておきたい。
ユラは、苦し気に無言で思考を巡らせる。
ここには、カリオス達も居るのだが、それを忘れて真剣に考える。ユラは、ため息を吐き出す。
悩んでも、仕方がない事なのだ。最悪を、考えては運命も引きずられる。まずは、勝つことを…………。
それに、結婚しても傷つくのは僕だけだし。
ゆっくり、目を閉じてから無言で頷くユラ。これには、武神も目を丸くした。そして、それほどの可能性をネルンが持っているのかと笑う。
「我、武神ミカヅチは竜神ハイリヒ殿に、神聖なる神前試合を申請する。日時は、明日の夜明け前に。それでは、我々はこれにて失敗する。」
ユラは、ため息をついてカリオス達の事を思い出した。カリオス達は、真剣な表情でユラを見る。
「あちゃー、聞いてたよね。」
「ユラが、それで良いなら僕達は何も言わないよ。それに、ユラがそう簡単に負けるとは思ってはいないし。でも、ユラが勝てないと言ってたでしょ?」
カリオスは、心配そうにユラを見ている。
「神様に、なった数日後に戦った時を最後に戦って無いけどね。今でも、勝てる気はしないけど……」
真剣な表情で、決意と意思を宿した瞳で言う。
「大丈夫、絶対に勝つから………。」
カリオス達は、無言で頷いた。




