神国特殊部隊
ユラは、不機嫌そうに座って書類を見る。ヴァイスは、紅茶を置いてから暢気に笑う。
「ユラ様、今日はご立腹でございますね。」
「そうだね……。それにしても、本当に治安が悪化してる。やっぱり、彼らには荷が重すぎたかな?」
書類を置くと、ゆったりと紅茶を飲んでため息を吐き出す。ヴァイスは、心配そうにユラを見る。
ユラは、目を閉じて体から力を抜く。
「ユラ、暫く国神になってくれ。あの若神は、ちょっと教育が必要だろう。大丈夫、1年で終わらせるから。それと、今回は拒否は受け入れない。」
主神は、真剣な表情でユラを見る。ユラは、やっぱりとばかりに深いため息を吐き出す。
「はぁー………、わかったよ。嫌だけど……。」
そして、渋々ながら頷き紅茶を飲むのだった。
さすがに、ここまで治安が悪化して尚、動かない彼らをフォローはする事は出来ない。神王として、彼らの行動を把握してるけど完全なる処罰対象だし。
「ユラ、苦労をかけて済まないな。お詫びに、取り返したぞノアの羽ペン。だから、もう少しだけ俺達に協力してくれ。じゃあ、権限を譲渡する。」
「我、国神の権限を譲り受ける。そして、レレット王国の治安をどうにかします。」
ユラは、急激に魔力を奪われ怠さに机に突っ伏す。
「うっ、わぁーもう。魔力の流れ、よどんでるし循環不足じゃない!これは、流石に辛い………。」
そして、顔を上げて苦し気に呟いた。
「やっぱり、そこまで酷いのか…………。ユラは、暫く休んでいてくれ。それと、ヴァイスを借りる。」
「ん?別に、良いけど無茶はさせないでね。」
主神は、ユラの様子に動揺しながら言う。ユラは、自分が辛い状況なのにヴァイスの心配をする。
「ああ、勿論だ。」
「ユラ様は、ご自分の心配をなさってください。」
ヴァイスは、そう言いながらも心配されるのが嬉しかったらしい。笑顔で、ユラに言うのであった。
「さて、俺は仕事が山積みだから行く。」
「うん、気をつけてね。」
そして、主神とヴァイスは出ていった。ユラは、そのまま机に突っ伏す。そして、苦し気に呻いた。
レレット王国は、現在は管理不足による不幸が広がりつつある。ユラは、そのあらゆる不幸を肩代わりしているのだ。それが、国神の仕事でもあった。
しかし、ここまで悪くなればユラも無茶をするしかない。よって、人の姿では耐えきれずこうなる。
「ユラ、入っても良いかな?」
カリオスの声に、ゆっくりと目を開いて神の姿になって椅子に座る。そして、書類を神案件の書類にチェンジした。いかにも、神の案件の仕事中とばかりに。そして、ユラは入る許可を出した。
「カリオス、どうかしたの?」
「実は、若神の1人が国神の権限を奪われたと騒いでいて。君なら、何か知ってるかな?」
ユラは、ため息を吐き出す。そして、カリオスを見てから暢気に考える。頷き、教える事にした。
「彼らの管理不足が、調べていくうちに判明して主神様が国神の権限を剥奪したんだ。今は、僕が国神代行と管理調整をしてる。治安は、3週間で元に戻る予定だから。後は、犯人を捕まえて裁いてしまえばおしまい。僕は、そう言う訳で忙しいんだ。」
「そう、忙しい時に来てごめんね。」
カリオスは、少しだけ申し訳なさげに言う。
「管理調整は、発動すればする事が無いしね。だから、書類仕事が主だけど……あの若神は、相当な量の書類を溜め込んでいたらしい。その癖、国神権限を欲するなんて。やっぱり、若神は野心が大きいよねぇ……。でもさ、神国特殊部隊が動いたんだよね。」
ユラは、ため息をついてから笑う。
「えっと、神国特殊部隊?」
「そうだね、一言で言うなら化け物の集まり。ちなみに、奴らは主神や神王を殺しても罪にはならないんだ。神国の最終兵器にして、生きる者の救済者であり神国断罪の武神達だよ。あと、良い神様達。」
すると、カリオスは青ざめて固まる。
「君が、化け物って言うクラスなの?」
「うん、僕なんて一捻りじゃないかな。あ、そうだった………。彼らは、人間も躊躇なく断罪するから。早めに動かないと、確実に王宮内が地獄絵図になると思うよ。ちなみに、止めないからね?」
ユラは、満面の笑みで言えばカリオスはため息。
「はぁー……。何か、胃が痛くなってきた。」
「なら、胃薬でも処方しようか?」
「うん、お願いするよ。」
「よし、任せろ!」
ユラは、冗談のニュアンスで胃薬を処方する。
「すまん、話を聞いてしまった。何か、頭が痛くなってきたぞ。と言うか、そこは止めろよユラ!」
シアンが、頭が痛そうに言ってくる。
「嫌だよ。奴らと、敵対とか悪夢でしかないし。さて、シアンは頭痛薬でも処方しようか?」
ちなみに、頭痛薬を過度に飲むと薬物乱用で頭痛を引き起こすことが指摘されている。なので、少しだけしか処方はしない。これは、前世でインターネットで調べた。なので、今も気をつけている。
他の人も、体調が悪そうだね。
「何か、目眩がしてきた。」
ユリスさん、お疲れなのかな?
「えっと、栄養剤でも渡しましょうか?」
「うん、お願い。」
ユラは、思わずキョトンとして言う。
「私も、腹痛がしてきました。」
「俺もだ………。」
ベイルさん、そしてレオさん………お疲れ様です。
「ユラ、疲れてない?」
「別に、疲れてないよ。仕事は、忙しいけど昔やっていた事だし。それに、そろそろ休憩するし。」
そこで、皆はヴァイスが居ない事に気づいた。
「ユラ、ヴァイスは?」
「主神様と、お仕事をしてるよ。言っとくけど、今のレレット王国は脆い上に土台が壊滅的な状態なんだよね。だから、神国の神々が総動員で動いているんだよ。僕も、徹夜は免れないくらい忙しいし。」
薬を渡して、書類の束を異空間から取り出す。
「そこまで?」
「戦争、仕掛けられたら滅びるよ。」
ユラは、静かな声で言う。
「ユラ、説明してくれる?」
「国神の役割は、多く7つ有るんだけど………」
そこで、ユラは言葉を止めた。
『????』
「おや?君達、どうしたの。」
ユラは、キョトンとして驚いていた。
「ハイリヒ殿、お久しぶりですな。」
『我ら、神国特殊部隊……参上致しました!』
カリオス達は、驚いて青ざめるのであった。




