ユラ激怒 王宮激動な1日
お久しぶりです。
さて、今日が最後の授業の日。教室に入れば、全員が揃っており挨拶してくる。
「皆さん、ごきげんよう。」
そして、昼になり食堂に入れば囲まれる。
「お姉様が、教師を辞めるなんて。どうか、教師を続けてはいたたげませんか?」
「私の本業は、誰かを助ける医者ですわ。私の帰りを待つ、怪我人や患者さん達も多く居るのでずっとは無理ですの。貴女も、この国の聖女なら分かりますわよね?ですから、私は帰りますわ。私を待つ、全ての人の為に。ここは、引きませんわ。」
そう言うと、全員が泣きながらも頷いてくれた。
やれやれ、この反応は困ったけど。まぁ、いつもの事だし放置で良いかな。そして、午後の授業を終わらせパーティーに招待されたので行く。
やっぱり、泣きつかれたけど思い出は出来た。
うーん、疲れたけど良かった。明日から、お仕事だぁー。さて、新人も入って来たし頑張ろう!
仕事に復帰して、軽く1週間が過ぎ去った。だがしかし、新人の人数が多い件。さっきから、視線を送られたりや話しかけられ仕事が進まない。
「結構、長い間レレット王国に勤めたし引きこもろうかな?新人も、沢山いるし副団長候補も複数存在してるし。何より、古株は抜けるべきだし………。」
ポツリと、思わずユラは呟いて椅子に座る。あれ、何か静かになったなぁ。まぁ、別に良いかな。
ユラは、気にせず紙にペンを走らせる。医療班のベテラン、数人が全力で部屋から出ていったのだが。ユラは、真剣に書いていた為に気づいてない。
すると、凄い勢いでドアが開き騎士団長・副団長達が入って来る。思わず、キョトンとするユラ。
「ほえ?」
「ユラ、少しお話しようか。」
カリオスが、ニコッと笑って言う。
「えっと、何でかな?」
「ユラ、医療班を辞めて引きこもるの?」
ああ、納得した。まぁ、自分の言葉は嘘じゃない。
「別に、仕事を妨害されなければ続けるよ。」
「へぇ~、仕事の妨害………ね?」
そう言うと、シアンは新人に視線を向ける。目を逸らす新人達に、シアンは深いため息を吐き出す。
そして、ユラの仕事が少ししか終わってないのを見て苦笑。他の騎士団長・副団長も同じリアクションである。つまり、足を引っ張りたいのだ。
自分達が、最初から上に行くための踏み台にしようという魂胆である。しかし、それは不味い選択だ。そもそも、医療関係は全てユラのお陰で色々と融通がきく。それなのに、ユラが辞めれば減給は免れないし融通がきかなくなる。医療業界の神、最近はそう呼ばれる実力者なのだから。
つまり、他国に医療関係で突き放される。
医療の先導者。そのネームバリューは、国を支える程の力を持っていたのだ。だから、国王であるルピアは焦りカリオス達もすぐさま動き出した。
「全く、新人は馬鹿ばかりか?」
思わず、レオが呟けば頭を抱えるシアン。
「俺、教えたよな?ユラは、あの医療の先導者ユラだって。しかも、国では侯爵で権力者だって。」
ユラは、時間が惜しいとペンを忙しく走らせる。それを見て、相当に忙しい中で妨害を受けたと理解するカリオス達。これは、辞めても文句は言えない。
しかし、国としては辞められたら困る。
「ユラ、取り敢えず手伝う。」
「え?でも、シアンには難しいと思うよ。」
ユラは、ペンを止めてから困ったように笑う。それを見て、シアンはユラの仕事の紙を見て自分の出来る範囲の紙を抜き取る。そして、机に向かった。
カリオスは、魔法薬を手伝い。クルトも、隣で書いている。他のメンバーも、手伝える範囲で書類を書き上げていく。ユラは、苦笑してペンをまた走らせた。そして、全てが終わり息をつく。
「ユラ、お願いがある。声をかけた奴と、不躾な視線を向けた奴をリストに書いといて。その他、妨害まがいをした奴は全て試験をし直す。例え、ベテランであってもな。他人事じゃ、無いんだからな?」
その言葉に、動揺する一部のベテラン達。しかし、シアン達からすれば赤子も同然である。
カリオス達も、冷たい視線を向けて笑った。
「もう、書いてある。」
ユラは、紙を渡して疲れた表情をする。すると、陛下使えの騎士が入って来る。しかも、焦っている。
「失礼します!ユラ・フリーデン様、お疲れの所申し訳ございませんが………。申し上げます、国王陛下がお呼びでございます。直ぐに、参られよとの事。本人は、此方に来る気でしたが止めました。ですので、早めによろしくお願いいたします!」
「はぁ……、直ぐに参りますとお伝えください。」
ユラは、苦笑してから騎士に言う。
「は!」
騎士は、そう言うと全力で走って行った。ユラは、白衣を着替えてから机を片付けて鍵を閉める。
「シアン、謁見の間に行ってきまーす。」
「待て、俺も行くぞ。」
すると、カリオス達も頷いている。ユラは、やれやれと苦笑して謁見の間に行った………のだが…………。
「ユラ、医療班を抜けるのか!そんな、私はどうしたら良い?人選ミス、それらの責任とか………」
随分、ご乱心な様子で待っていたルピア陛下。
「そこまで?医者が、1人抜けるだけだよね?」
確かに、自分の異名は凄いが驕るつもりはない。所詮は、その程度である。それに、才能ある若者に後を任せても良い気もする。いつまでも、自分がトップに居れば後釜が育たないだろうし。
「ユラ、君が表舞台から消えれば医療の衰退は免れないと思うよ。そうなれば、後釜云々の話じゃなくなると思うし。だから、考え直してくれる?」
カリオスは、ユラの考えを表情から読み取り言う。
「…………はぁ、別に僕は辞めたい訳じゃないよ?けどさ、復帰して1週間経つけど僕の研究結果を盗んで勝手に使ったり。僕の机、勝手に触られて良い気分じゃないんだよね。予備のインクとか、羽ペンとか個人的に買った物も盗まれてるしさ。」
すると、全員が表情を強張らせた。そして、青ざめて怒りに震えている。ユラは、呟くように言う。
「本当に、不愉快だよ………。本音、殺してやりたいくらいだ。鍵が掛けられないのを、良い事にやりたい放題してくれてさ。本当に、本当にさ………」
「ユラ、落ち着こう?まずは、深呼吸して。」
クルトは、青ざめてユラに声をかける。
「ユラ、落ち着け?そうだ、ベイル様!お茶でも、いったんいれて話し合いをしましょう!」
「そうですね。」
2人は、急いで準備しに行く。ユラから、凄まじい殺意が溢れている。これでも、ユラはSランク冒険者だ。人の姿でも、かなりの強さを持っている。
「ユラが、ここまで激怒する理由があるはず。」
カリオスが、そう言うとユラを見る。
「3日前に、僕の机の鍵が壊されていた。盗まれた物に、ノアからの贈り物があったんだ。その羽ペンは、取り返したいけどよりにもよって、裏市に流すだなんて最悪だよ。やっぱり、殺して良いかな?」
すると、全員が顔色を無くすほど青ざめた。
カリオスは、思わずユリスを見るがユリスは首を横に振る。裏市に、流れた物は2度と手元には戻らない……。これが、この国での常識だからだ。
「神王様!お願いですから、この国を滅ぼさないくださいっす!俺も、頑張っているっすから。」
「あのね、この国は僕の第2の故郷だよ?これでもさ、この国は好きだし滅ぼしはしないよ。」
すると、入って来た若神に苦笑して言うユラ。
「つまり、破壊はするんですね。裏市は、貧しい子供達の稼ぎの場なのに。はぁ………。」
もう1人、若神が入って来て苦笑を浮かべる。
「最近、王宮内も含めて治安が悪すぎる。それに、それなりの地位を持ちながら盗んで売るのは悪でしょ?最悪、この国から出ていくから。」
ユラは、真剣な表情で意思を込めて言う。
カリオス達も、このままでは国としてヤバイと判断した。と言うか、世界に名を知られるユラに被害が出たのだ。もう、手遅れでも有るのだが。
カリオス達は、頭が痛そうにため息を吐き出す。
ユラは、暫くは医療班・副団長の地位を返却する。そして、王宮名医として陛下直属の医者になった。




