復帰
とても、心が痛い。ドロドロとした、負の感情の波が押し寄せては理性が押し返す。それを、繰り返し頭が空っぽになる。僕は、眠気に意識を手放した。
グゥルルルルル………。
「全員、戦闘準備……」
グゥガァアアアア!
どす黒いオーラを、放ちながら叫ぶ災厄の邪竜。
「ぐぅっ!」
結局、主神が重傷になっただけで済んだ。
そして、ユラは屋敷に帰って来ていた。
「えっと、ユラ様?」
「うわー、面倒ばっかり!もう、嫌だぁ!」
机に突っ伏し、ため息まじりに言う。
「かなり、お疲れのご様子ですね。」
「自由になりたい!引きこもりたい!仕事放棄したい!全てが全て、面倒すぎるよ!」
ユラは、子供のように言うと、起き上がって書類に向かってペンを動かす。何故なら、カリオスが部屋に入って来たからだ。ちなみに、ユラの机は書類の束だらけである。早く、終わらさなければ。
「ユラ、ちゃんと休んでる?」
「うん、少し前まで休んでた。」
すると、カリオスはヴァイスを見る。頷いて、苦笑するヴァイス。そして、ヴァイスはカリオスに紅茶を入れる。ユラは、無言で書類と戦っている。
「陛下が、夕方に屋敷に行くって言ってた。」
「ヴァイス、他の者に伝えておいて。」
ユラは、驚いてペンを止めてヴァイスに言う。
「畏まりました。」
そう言うと、ヴァイスは部屋から出ていく。
「………ユラ、この書類の量は?」
「僕が、主神様を重傷にしたから。だから、主神の仕事を代わりにしてるの。だから、カリオス。ここで、見た内容は忘れた方が良いよ。」
ユラは、真剣な表情で言う。カリオスは、苦笑してから頷いて紅茶を飲んでから言う。
「まぁ、僕が読める内容は少ないけどね。」
「そうだね。さて、そう言えば仕事は?」
ユラは、ペンを再び動かしながら言う。
「医療班は、いつでも戻って来いってさ。それと、あの男は追放。それと、返却されたお金は国が貯金という形で保管してるから。」
「ふーん………。まぁ、仕事は来週から行くよ。」
すると、ヴァイスがお菓子を持ってくる。そして、メイドがティーセットを置く。メイドは、礼をして退室する。ユラは、書類の束を魔法でなおす。
「ユラ、体調はどうだ?」
シアンが、心配そうに入ってくる。
「うん、だいぶ楽になったよ。」
「余り、無茶するなよ?お前は、副団長なんだし。それと、お前の部下が決まったんだけど…………。」
シアンは、リストを出して渡す。ユラは、少しだけ不安な表情をして、リストにゆっくり目を通す。
「まぁ、大丈夫。」
ユラは、立ち上がろうとしてまた座った。
「ユラ?」
「ごめん、僕も倒されたダメージが………」
そう、小さく呟くとゆっくり立ち上がる。
「なら、休んでた方が………」
「いいや、やらないと主神が後々に苦労する。それに、それは他種族にも影響してしまうから。」
そう言って、ソファーに座り紅茶を飲む。
「「余り、無茶するなよ?(しないでね?)」」
「まぁ、無理したくても出来ない。」
ユラは、ヴァイスを見てから言う。ヴァイスは、満面の笑みで堂々と言う。ユラは、苦笑している。
「私が、お側に居ますのでご安心を。」
「「うん、なら安心だ。」」
2人とも、うんうんと頷いて笑う。
こうして、時は過ぎ……。ユラは、仕事に復帰した。
だがしかし、下界の神々は神王を失って荒れていたのである。主神は、素早くユラに会うべく医療班室に向かっていた。ユラに、仕事をして貰う為に。
「シアン、息子を借りに来た。」
すると、シアンは敬う礼をして頷く。それを見て、研究員や医療班は驚く。そんな、お方の息子って?
「え、あの………主神様?」
「ユラ、そろそろ神の仕事も再会してくれ。」
「え?でも、神格が低いので無理ですよ?」
「うん、神格を上げるから神王に復帰してくれ!じゃないと、天界の神VS下界の神で戦争になる。」
ユラは、困ったように首を傾げる。
「でも、他の者が神王になったのでは?」
「とっくの昔に、暗殺されてこの世にいねぇよ。だから、下界の神々は荒れててな。お前なら、鶴の一声で従わせる事も可能だろ?頼む、ハイリヒ!」
ユラは、暗殺と聞いて頭が痛そうだ。そして、嫌々と立ち上がって白衣を椅子にかける。
「シアン、暫く出かけるね。昼には、帰るから。」
「はいよ、気をつけて行ってらっしゃい。」
ユラと主神は、素早く消えるのであった。




