ユラの狂気
お昼になり、ユラは食堂に向かい、ご飯を持って空いてある席に座る。すると、勇者様が入って来る。皆は、大騒ぎして声をかけている。賑やかだ………。
「勇者様、一緒にお食事をしませんか?」
「えっと、僕達は別の席で………」
「そう、おっしゃらずに!」
「だから、嫌だって言ってるでしょ?」
あー、もう!何で、こんなに頭がお花畑が多いんだろう。それと、カリオスは何をしているの!思わずだが、ため息を溢してホークを置く。
「この俺様と、料理を食えないだと!」
「私達は、貴方を知りませんから!」
「君達は、黙って食事も出来ないの?」
ユラは、疲れたように睨む。しかし、男は言う。
「この国の、守護神だからと調子にのるな。そもそも、この国には神など必要ないんだよ!」
「ふーん、いいの?じゃあ、辞めるよ。」
すると、外は異常気象になり、カリオスが全力で食堂に入ってくる。そして、男を殴った。
「カリオス、この国を出ていくから。」
「待って、こいつは王に付き出す。国家転覆罪で!君が、この国を守らないと民が………。」
「カリオス、僕は別に好きでレレット王国に居る訳じゃないんだ。国を守護するのは、大切な人達を守るついでなんだから。地位だって、財産だっていつでも返せるように自分の稼ぎしか使ってないし。これで、僕の言いたい事は分かるよね?何度目?」
ユラは、激怒に声を震えさせて言う。
「…………ユラ、ごめんね頼りない主で。」
「次は、無いから。財産は、今回の件で全て返す事にする。お金は、給料のみしか受け取らない。次は、爵位を返却するから。それじゃあ、帰るね。」
ユラは、異常気象を消して歩く。さて、街はお祭りムードだ。そして、お店を再開している。
そうだ、このまま森に隠れちゃおうか?森の奥に入り、ドラゴンの姿で静かに目を閉じて眠った。ちなみに、その間に3週間が過ぎて騒ぎになった。
「ユラが、竜の姿とか珍しいね。」
「…………ラメル。もう、帰らないと駄目?」
ユラは、人の姿になりラメルを見る。
「帰らないと、大変な事になってるよ?」
「別に、ぼくが居なくても国さえ守れば良いじゃない。毎回、必要ないと言われるのも辛いし………。それに、医療の先導者としての知識も渡したしさ。」
ユラは、静かに涙を流した。古の本には、必要ないと思われた神は存在意義を失い気が狂うのだ。今のユラは、存在意義を失い悲しみ苦しんでいた。
「それなら、せめて屋敷には戻ったら?」
「そうだね。これで、クビになるかな。」
ユラは、暢気に苦笑して呟く。
「それは、無いと思うよ?悪いのは、国だしね。」
「もう、自由になっても良いじゃない。」
ユラは、屋敷に戻るとヴァイスに怒られる。しかしだが、ユラの体調が悪いのに気がついた。
「暫く、寝るから。」
「ユラ様、顔色が優れませんね。」
ユラは、苦笑するとベットで眠った。今のユラは、精神的に不安定だった。少しだけ、気が狂っていたのだ。なので、眠って静めようとしていた。病気のせいで、神力をうまく操れない。起きていれば、禍を引き起こすだろうと思ったのである。
カリオスは、急いでユラの屋敷に急ぐ。
「ヴァイス、ユラは大丈夫なの?」
「存在意義を、失えば神は気が狂う。ユラ様は、ご自分の暴走を恐れ眠っております。カリオス、貴方がいながら、ハイリヒ様はなぜ存在を否定された?このままでは、災厄の邪竜となりかねないです。」
ヴァイスは、カリオスに怒りの視線を向ける。カリオスも、分からないのだろう。黙り込む………。
すると、主神とラメルが入って来る。
「まぁ、面と向かって存在意義を否定られたらな。さすがに、災厄の邪竜や闇に落ちても仕方ない。守る対象に、言われたならば尚更にな。」
主神は、苦し気に眠るユラを悲しげに見つめる。
「主神様、どうにかなりませんか?」
「ユラが、全てを拒絶している。目が覚めるまで、俺は何も出来ないぞ。狂ったら、全ての神々で押さえ込むしかない。信仰を失うが、死ぬよりましだ。それと、これはユラの診断書だ。ユラは、いつ正気を保てなくなってもおかしくなかった。気が狂い、このままだと確実に狂い死ぬだろう。」
診断書を見て、カリオスは思わず座り込む。ラメルさえ、青ざめて涙を流すレベルだ。ヴァイスは、言葉を失い悔しげな表情である。
「あれ、皆はどうして…………主神様!?」
診断書を、どうしてと悲しげに言う。
「ユラ、正気のうちに全ての力を封じる。あと、3日がお前の限界だろう。何故か、わかるよな?」
「はい、大人しく狂います。でも、醜い僕をカリオス達やノアには見せたくない。ここは、曲げませんから。それと、代わりの守護神をこの国へ。」
主神は、頷くとユラの全ての力を封じた。竜の姿になり、ユラは被害を少なくする為に国を離れた。




