押し掛ける貴族達
本日、2回目。
さて、お料理タイム。ちなみに、バイキング風に机ならべて自由に食べるようにする予定。昨日は、お菓子を作ったので料理をしよう。包丁を持ち、規則的で軽やかに玉ねぎなどをきざむ。
ザクッ トン♪ トン♪ トン♪
「ユラが、料理を作る姿を久し振りに見たね。」
カリオスは、紅茶を飲みながら笑う。
「それにしても、ユラって料理全般は出来たんだ。もしかして、前世でも料理をしてたの?」
クルトが、思わず踏み込んで聞いてくる。
「うん、前世は独り暮らしで自炊してたからね。それに、1人だと暇でお菓子作りや料理にのめり込んでた。おかけで、バレンタインはお返し目当ての女性からしか、チョコを貰えなかったんだよねぇ。」
ユラは、フライパンを出してハンバーグを焼く。
「そうなの?」
「うん、異世界ではモテなかった。」
実は、モテてはいた。しかし女性達が、牽制しあい声を掛けられる人が居なかっただけ。
それから、黙々と料理を作る。
次の日!さて、誕生日プレゼントだよ!
街の宝石店に入り、お目当てのペリドットをゲットする。そして、凄腕と名高い鍛治師アーヴィンに宝石を渡す。ペリドットの宝石がはまった、竜神ハイリヒの加護付き聖剣が完成した。鞘には、レレット王国の紋章と竜神の紋章が刻まれている。
……後に、国宝にして神器と呼ばれる1つである。
ユラは、箱に剣を入れて丁寧にラッピングする。
「さて、準備は万端だね。急な無茶ぶり、本当にごめんねアーヴィン。そして、ありがとう!」
「これは、俺とハイリヒ様の作品だ。それに、楽しかった。神様に、頼まれるとは思わんかったが。」
ユラは、純粋に笑うと帰り道を急いだ。
そして、そんなこんなで8月8日である。
『お誕生日おめでとう、レオ!』
今回は、レレット王国での犯人が捕まったらしく全員集合。場所は、宿屋の部屋を借りてお祝い。
「ユラ様、お料理は禁止だと………」
「うん、お小言は後で聞くから。」
案の定、ヴァイスに怒られるユラ。
「だが、食べた事のない異世界料理を食べられるのは嬉しい。ユラも、この量を作るのは大変だっただろ?本当に、ありがとう。感謝する。」
そして、プレゼントを渡す。カリオスから、高級ブランドの羽ペン。ユリスさんは、エルフ秘伝の傷薬である。ベイルさんは、分厚い本。シアンは、消化によろしいお薬であった。クルトは、しおり。オズは、魔法インクの瓶であった。
そして、ユラが箱を渡す。
「ユラ?これは、俺が貰って良いのか?」
「うん、レオ専用の聖剣だからね。」
ユラは、暢気に笑う。全員が、ため息をついた。
「じゃあ、僕が貰った杖って。」
「そうだよ、カリオス専用の聖杖。」
シーン………。これで、団長と副団長に後に国宝と呼ばれる神器が全て渡された。12神器は、アーヴィンと竜神ハイリヒの作品で残りの2つはヴァイスと国王であるルピア陛下に渡されたと言われる。
ユラは、作りすぎた料理をなおして片づけた。
さて、暇になるね。何をして、時間を潰そう。
「ユラ様、紅茶をお代わりはいかがですか?」
「うん、ありがとうヴァイス。」
さて、どうしたものかな。すると、カリオスが勢いよく入って来た。そして、慌てた様子で言う。
「ヴァイス、ユラを隠して!」
ユラは、素早く立ち上がり姿を消す。
「私は、お礼が言いたいだけだ!」
「下級伯爵の息子だとしても、アポイントメントを取らずに来るなんて失礼だと思うけど。」
カリオスは、冷たい声音で杖を構える。ちなみに、カリオスは上級伯爵である。つまり、この男より貴族階級は上である。しかし、身の程知らずで我が儘だと有名な、スケイド王国ナタール下級伯爵の息子ホイド。簡単には、引き下がらない。
しかも、便乗するように貴族達が入って来る。
「ほぉ、他国の貴族は随分と礼儀知らずようだ。」
「なっ、カインズ陛下!?こっ、これは今話題のユラ様にお会いしたく。この通り、挨拶をしに………」
ホイドは、一生懸命だが言い訳を並べる。
「お前は、他国の侯爵を舐めておるのか!アポイントメント無しに、無理矢理に部屋に押し掛けるとは、スケイド王国の恥になるのだぞ!しかも、神殿より神託がおりた。フリーデン侯爵に、仇なす者のお家を潰すようにな。ユラ・フリーデン侯爵は、レレット王国に使える本物の神である。それも、主神と前竜神が作り出した主神と前竜神の息子だ。」
青ざめる貴族達、カリオスは安堵してカインズ陛下にお礼をする。すると、ユラも賢者の姿でフードを深く被り仮面をつけた姿で現れる。
「カリオス、怪我はない?」
隣には、天使姿のヴァイスが武器を構えている。
「はい、この国の陛下……カールナク王国カインズ陛下に助けていただきましたから。ユラ様は、主神様からお呼びだしでしたか?暫く、お姿が見えませんでしたが。」
「うん、押し掛けた他国の国を3か国だけど滅ぼして来た。不愉快だし、その他は禍の種を投げてきたよ。数日中には、被害が出るんじゃない?」
それを聞いて、貴族達は血の気の無い顔で戻って行った。ユラは、宿屋に裏切りがあったとして宿を変えた。ちなみに、王国御用達の宿であったが剥奪されたのは次の日の話。カインズは、帰ろうとする。
「さて、お久し振りですね。お爺さん♪」
ユラは、明るい口調で引き止める。
「やはり、君なのだね?いや、失礼した。」
ヴァイスは、椅子を引きカインズを座らせる。ユラは、仮面を外して貴族の服に魔法で着替える。
「あの、普通にしてくれません?今の僕は、人ですし堅苦しいのは嫌いなんです。」
「そうかい、それは良かったよ。私は、敬語を使った事がなくてね。今日は、カリオス殿にユラ様の落とし物を預けにきたのだ。」
カインズは、苦笑してから言う。
「そうですか、ありがとうございます。」
ユラは、嬉しげに笑うと紅茶を飲む。
「君は、トマトを探していたね。トマトは、王国ブランドしかこの国にはなくてね。売って、いないんだろ。それと、前国王が他国嫌いで習慣が抜けないんだ。努力は、しているのだが。」
「まぁ、それは時間の問題でしょうね。」
苦笑して、ユラはケーキを食べる。
「まぁ、気長にやるとしよう。」
ユラは、そこで手紙にカインズ陛下のものがあったのを思い出す。そこで、少しだけ考えて頷く。
「明日のお茶会、今からでも参加は可能ですか?」
「勿論だが、見せ物にはなりたくないのでは?」
ユラは、暢気な笑みを浮かべて言う。
「レレット王国とカールナク王国は、同盟国どうしだし仲を深める意味でも必要だと思って。まぁ、これでもレレット王国の守護神ですし。守護神達も、どうせ参加するなら親交は深めていた方が良いですし。国の為の、お仕事と思えば気が楽ですしね。」
「そうか、では友好アピールをお願いしよう。」
カリオスは、少しだけ驚いたが納得していた。




