レレット王国へ その2
本当に、師匠の知り合いさんは個性的で面白い方達ばかりだなぁ。さて、そろそろ宿を探さないと。うーん、どうしようか?夕日を見て、どう話を切り出すか考えていると男の人が来る。
「ユラ様の息子様が、此方に居ると聞いて参りました。貴方様が、ノア様ですか?」
「はっ、はい……ノアと申します。」
すると、ヴァイスは優しく笑う。
「初めまして、ユラ様の専属執事のヴァイスと申します。ユラ様から、ノア様が来たらお世話するよう申し伝えられておりまして。」
「でっ、ですが師匠の家って………」
困った表情で、少し考え込むノア。すると、カリオスは納得の表情をする。
「たぶん、大丈夫じゃないかな。ユラは、必要最低限にしか豪華にしてないから。まぁ、大貴族だから屋敷は大きいけどね。不安かな?」
「その、申し訳なくって………。」
すると、ヴァイスは手紙を出してノアに渡す。ノアは、キョトンとして手紙を受けとる。
《我が子ノアへ もう、僕の身分は聞いたよね?驚かせてごめん。でも、あの場では軽々しく身分を言えなかったんだ。まぁ、王都は貿易が盛んで君でも楽しめると思う。でも、国に入った時点で君は貴族の坊っちゃんという事になる。だから、宿ではなく我が家でゆっくりして。ちなみに、レレット王国に帰ったらずっとその家に住む事になるよ。後、僕の身分のせいで確実に狙われる。まぁ、大丈夫だろうけどね。突然で、本当に迷惑だろうけど楽しんできてね。 追伸:1年しか待たない。》
楽しめるかぁー!もう!師匠、何か軽いよぉ!
僕は、思わずため息を吐き出す。と言うか、1年もここに居て良いの?何か、長すぎない?あっ、師匠は竜だから人とは感覚が違うのか。竜の感覚なら、かなり短いよね。まったく、心配症だなぁ~。
「師匠、心配症だなぁ………嬉しいけど。」
思わず、口に出してしまいハッとして赤面になる。
「ふふっ、本音が駄々漏れだよ。」
カリオスは、思わず笑ってノアを見る。
「何て言うか、愛されてるねノア君。」
「ユラは、本当にノアが大切なんだな。」
ユリスとシアンは、手紙を覗きながら言う。
「あのユラが、俺らより先に子供を持つなんて。」
「でも、ユラは何だかんだで子供に優しいし。」
オズとクルトは、笑いながら言う。
「あの、王城には簡単には入れないんですよね?」
「あー、うん。でも、君は大丈夫かも。現国王、ルピア陛下はユラに何度も助けて貰ってるし。国の恩人である、ユラの息子を守るために僕を迎えに行かせるくらいだから。うん、そこは安心して。」
クルトは、少し考えて優しく笑ってから言う。
「良かったです。カリオス様が、良くなったのを確認してからせめて帰る予定なので。」
ノアは、ホッとすると暢気に言う。
「おや、そうなの?」
「俺が、信じられないか?」
カリオスは、キョトンとしてシアンは驚く。そして、ノアはハッとすると慌てて理由を話す。
「あっ、違います!違います!ただ、人から聞くより目で確認したと師匠に言う方が師匠も安心するかなと思っただけです。その、師匠が凄く心配しててお仕事にも手付かずって感じでしたので。」
すると、カリオスは驚いてから嬉しそうな笑顔を浮かべる。これには、シアンも思わず笑ってしまう。
「なら、最初からそう言え。」
「すみません、師匠の事を言うのに躊躇して。」
シュンとして、俯いてしまうノア。
「いや、怒ってないぜ。」
「それと、薄々と思っていたのですが………。もしかして、ここの皆さんは国の重臣なのでは?」
すると、満面の笑みのカリオス。
「うん、そうだよ。」
「師匠は、何か役職に就いてるのですか?」
すると、カリオスは苦笑して頷く。
「ユラは、神様だからね。」
「なるほど、納得しました。師匠に、良くお偉いさんが力を貸せと言ってたので。超上から………。」
ノアの声が、不機嫌に思わず低くなっている。カリオスは、心配そうにノアを見る。
「いろいろ、聞きたいけど明日にしよう。」
「あっ、長々とすみません。」
ノアは、荷物を持とうとしてヴァイスに言われる。
「お荷物は、メイドに先ほど渡しました。」
「ありがとうございます。」
皆に、挨拶して歩いてると攻撃が来る。しかし、クルトの魔法で敵の一人が気絶されオズさんの剣技に二人気絶して倒れる。そして、ノアを見る。
「すみません、ありがとうございました。」
「申し訳ありません……。」
ヴァイスは、四人気絶させてから来る。
「やっぱり、僕とオズも泊まりに行くよ。」
「そうですね。」
そう言って、四人で師匠のお屋敷にいくのでした。
2日目!
「おはようございます。」
すると、クルト様が既に座っていました。
「おはよう。ノアは、今日はカリオスさんの所に行くの?それとも、城下街に行くの?」
「カリオス様に、顔を出して城下街に行こうと思ってます。その、迷惑かけてすみません。」
クルトは、暢気に笑ってから言う。
「魔法騎士団は、現在は活動停止状態だから暇なんだよね。まぁ、無能な馬鹿貴族を相手にしなくて良いし楽だから良いけど。うん、疲れるしね。」
ニコッと笑って、あっさりと毒をはくクルト。
「ですが、オズさんは忙しいですよね?」
「俺?俺は、別に忙しくないけど。どうやら、大臣は俺を疎ましく思ってるようで仕事がない。」
オズは、苦笑してから椅子に座る。
「では、よろしくお願いいたします。」
ノアは、笑顔でお願いするのだった。




