レレット王国へ
さて、着きましたレレット王国!
師匠の、第2の故郷である技術の国!にしても、長い列だなぁ………。あっ、やっと僕の番だ。
「身分証明書を見せてくれ。え?」
「えっと……、は?」
2人の兵士は、驚いてからノアを見て近くの兵士に慌てたように言う。言われた兵士は、驚いて走り出した。ノアは、警戒するが無意味に終わる。
「ようこそ、医療の先導者の弟子様。」
「ようこそ、レレット王国へ。私達は、貴方とユラ様の薬を歓迎致します。今、クルト様が来ますからお待ちください。今、城は敵だらけですから。」
そう言って、小さな部屋に通される。
「さて、こんにちは。手紙と香水、見させて貰ったけど本物だったよ。これは、君の師匠に返してね。にしても、ユラが師匠とかふふっ……」
その人物は、とても美しかった。流れるような銀髪に、宝石のような赤く綺麗な瞳。表情は、おっとりしていて視線を引き寄せる何かを感じる。
そして、かなり強い………師匠よりは弱いけど。
「あの、クルト様は師匠と知り合いなのですか?」
すると、クルトは驚いてから苦笑する。
「さては、ユラは何も教えてくれなかった?」
「ん?えっと、どういう事ですか?」
すると、クルトの隣にいた人が苦笑して言う。とても、落ち着いた雰囲気でクルトさんと同等かそれ以上の実力を持っていそうだ。
「まぁ、まずは自己紹介しようか。俺は、オズだ。ユラとは、仲の良い友達だ。」
「僕は、クルトだよ。同じく、お友達なんだ。」
ノアは、頭を下げて丁寧に自己紹介する。
「ユラ様の弟子、ノアと申します。」
「さて、ノアはこの国でのユラの立場を知らないんだよね?なら、話しておくね。ユラは、この国では公爵と同等の権力を持つ大貴族の一人だよ。」
なっ、何ですとぉー!!!しっ、師匠はそんな事は一言も言ってませんでした。でも、二人が嘘をついていないと言う事は……師匠、何で教えてないのぉ。
「師匠、何て言うか凄い人なんですね。」
「うん、ユラは昔から凄かったよ。」
クルト様は、のほほんと優しく笑っています。
「よーう、暇だからユラの弟子を見に来た。俺は、ゲテルだ。よろしくなぁー!」
師匠、思ったより友達が多かったんだ。
「どうかしたの?」
「いいえ、ただ……」
そこで、言葉を止めてしまう。言っても、大丈夫だろうか?そう思い、考える仕草をする。
「ただ?」
「ただ、師匠に友達が居るのが驚きで………」
すると、3人は驚いた表情でノアを見ている。
「その様子だと、ユラはいい生活を送れていないのかな?手紙では、元気だと言ってたけど。」
「確かに、元気は元気ですよ。でも、嫉妬や恐怖の視線しか向けなくて。師匠は、いつも孤独で避けられていました。まぁ、僕のせいですけど。」
ノアは、悲しげに笑う。クルトは、真剣に言う。
「何があったか、教えてくれない?」
「師匠は、優しい人でした。けど、僕が少しミスをして処分するって………。僕は、処分の意味は分からないけど激怒する師匠に驚きました。」
「最低だな、幼い子を処分するって………」
オズは、思わず低い声音で言う。同意するように、ゲテルも頷いてノアの頭を優しく撫でる。
「ユラも、そりゃ激怒するぜ。」
「それで、師匠が僕を庇ってそれで………」
3人は、ため息を吐き出す。
「なるほどな………。」
「うん、何か分かってきた。」
「君、本当に弟子ってだけ?」
黙っていた、クルトは優しく笑って確信めいた口調でノアに言う。二人も、優しい笑顔で見ている。
「師匠は、今の僕の保護者で……………家族です。」
つまり、ノアは大切な息子な訳だ。
「なるほど、ユラの息子かぁ。それなら、奴らが君を殺そうとするわけだ。うん、納得だ。」
すると、ノアは表情を赤くしている。
「ん?ノア、どうかしたのか?」
ユラの息子、と言うわけで優しく笑う。
「そっ、その……何かこう堂々と家族と言うのが、恥ずかしいと言うか………なんと言うか………。」
ノアは、オロオロとして言う。それに、思わず笑ってしまう3人。ノアは、顔を隠してしまった。
「うん、凄く可愛い!」
「ユラと、全然キャラが違うよな。」
「さて、馬車で王城に行くよ。」
ノアは、大人しく3人を追いかける。
「へぇー、こいつがユラの弟子か。おいら、パゴンだ。また後で、部屋で会おうぜ!じゃあな。」
「えっと、はい!」
ノアは、部屋に入る。透き通る金髪に、エメラルドグリーンの美しく光る瞳。この人が、カリオス様。
カリオスは、ノアを見て困惑した表情をする。
ノアは、人懐っこい明るい笑みで言う。
「神聖医学術師ユラ様から、お薬をお預かりしました。ちなみに、私はユラ様の弟子です。」
すると、カリオスさんが驚いた表情をする。
「カリオス、ユラの弟子だってよ。」
シアンは、思わず笑ってカリオスを見る。
「あれ、ノア君。ユラの養子で、現在は息子だって伝えなくて良いの?家族だって言わないの?」
クルトは、わざとばらす。すると、その場の全員が驚いて笑う。そして、愉快そうに話をかける。
「クルト様、酷いですぅー!」
「別に、良いんじゃない?」
カリオスも、久しぶりの笑顔でノアをみる。
「さて、お薬の説明ですがシアン様なら大丈夫だろうと師匠が。その、カリオスさんの怪我は絶対に治ります。師匠が、そう言っていたので。」
すると、その場が静寂に支配される。
「それは、本当なの?後遺症とかは?」
「特に、ないと思います。」
ノアは、鞄から薬を出してお菓子を置く。
「これは、ユラの……」
「はい。師匠が、お見舞いにって。皆さんにも、お預かりしていますよ。さて、お仕事完了です。」
「でっ、君は帰っちゃうの?」
カリオスは、少し残念そうにノアを見る。
「師匠が、数日は自由に遊んでも良いとは言われてます。ただ、帰るさいに連絡する事って。」
「そっか、楽しんでね。」
「あの、カリオスの傷ですけど痕も消えます。それに、1週間すれば元に戻ります。結構、特殊で珍しい薬草を使っていますが。でも、そこは師匠ですし……てっ、スルーするのがお決まりです。」
「そっか、お決まりなのな……」
シアンは、苦笑してため息を吐き出す。
「それで、ユラは元気かな?」
「はい。いつも、忙しそうで。」
すると、シアンはノアを見て言う。
「そう言えば、ノアはユラの何の弟子なんだ?」
「僕は、医学術師になりたいんです。なので、薬草学をちまちまと習ってますよ。」
すると、シアンはユラと同じ悲しげな表情をする。
「………夢を見るぶんには、別に良い。だが、お前の師匠は言わなかったか?現実は、理想とは違う。」
「師匠も、貴方とにた表情をして言ってました。救うだけが、医者の仕事ではないと。それと、関係が有るのでしょうか?僕には、難しい事は分かりません。だから、教えてください!」
シアンは、ため息をついて言う。
「まぁ、お前さんにはまだ早い。だから、ユラもはっきりは言わなかったんだろう。」
「やはり、反対ですか?師匠は、何も言いませんが何処か心配そうな雰囲気なので。知りたいです。」
ノアは、真剣な表情で真っ直ぐシアンを見る。
さすが、ユラの弟子だな。だが、教えて良いものだろうか?もし、そこで挫折するなら医療にたずさわる資格は無いのだし…………教えるか。
「医者って言うのは、何も救う事だけが仕事じゃない。それは、ユラから聞いてるよな?」
ノアは、真剣に頷く。シアンは、苦々しく言う。
「だが、時には辛くないように殺すのも仕事だ。」
すると、ノアは驚いて目を丸くする。
「………な、るほど。師匠が、僕を医者にしたくない訳だなぁ。ですが、それでも僕は………」
「そうかい。でも、見たくない物もたくさん見ると思うぞ?ユラが、お前さんに見せないようにしてた部分だな。まぁ、頑張れ若いの。」
シアンは、フッと優しく笑うと頭を撫でる。
「はい。いつか、師匠みたいな凄腕の医者になりたいです。勿論、ちゃんと現実とも向き合います。」
ノアは、そう言って決意の表情を見せる。それを、周りのメンバーは微笑ましく見ているのだった。




