美食の国 ブスデスク王国
あれ?楽しい、話にする筈だったのに………最初に、謝罪しときます。すみません、シリアスが………
ブスデスク王国、人々は美食の国だと言う。街は美食の数々を出す、お店が数多く出揃っており美食家達から美食道と呼ばれる道もあるくらい。
街は、美味しそうな匂いがただよう。
「私の、友達のお店でお昼にしましょう。」
マリアさんは、ウキウキした足取りで歩く。僕を含め、数人が首を傾げるが頷く。
「いらっちゃいましぇー!」
幼い少女が、舌足らずな言葉で言う。
「こんにちは、ルノちゃん。」
「マリアおば……おねいしゃん、こんにちは。」
おばさんと言おうとして、マリアに殺気を向けられ泣きそうな顔で訂正するルノちゃん。思わず、冒険者メンバー全員が苦笑した。
「あら、私ったら♪ごめんなさいね。」
マリアは、時分が殺気を向けた事に気付き謝る。ちなみに、ルノちゃんは何故か僕の足元にいる。
「あら、甘えられてるわね。」
「ん?そうなんですか?」
キョトンとして、ルノちゃんの目線に合わせるためにしゃがむ。その時、覇者の鈴が鳴るが気にしない事にする。そして、落ち着かせるように頭を撫でるとなるべく明るい声音で自己紹介をする。
「初めまして、ルノちゃん。僕は、ユラって言います。マリアさんに、今は雇われてる冒険者なんだけどよろしくね。また会えるか、少し微妙だけど。」
すると、ルノはパアーッと表情を輝かせる。
「ルノは、ルノっていうのー!」
「そっか。ちゃんと、自己紹介できて偉いね。」
すると、嬉しいのキャッキャッとはしゃぐ。
皆は、驚いて此方をみている。ユラは、立ち上がりどうしたの?っと言いたげに首を傾げる。
「ん?」
「ユラ君、子供の扱いが上手なのね。」
すると、ユラは暢気に笑って言う。
「これでも、昔は近所の子供の面倒を良く見てたんですよ。共働きが、多かったので。」
まぁ、前世の話だけどね。一部の上司からは、お前は保育士とか教師の方がお似合いじゃないか?っと良く弄られたんだよなぁー。懐かしい……。
「うちの娘は、やらないからな!」
「いやいや、そんなつもりは全くないです。」
ユラは、暢気に笑い即答する。
「何だと、うちの可愛い娘に興味がないだと!この野郎、ちょいと表にでろ!ぶん殴る………。」
どっちだ!っと、お店に居た全員が思った。
ユラは、苦笑してから悩む事なく言う。
「僕の本年齢は、35歳で成人もしてますしこの子から見たらおじさんなのですが?」
すると、店のお客さんが吹き出したり皿を落としたりと1種のパニックになってしまう。冒険者メンバーは、驚愕の表情で沈黙してしまう。だが、マリアは妙に納得してしまった。
「そうか、なら安心だな。」
「でも、何で学園に居るの?」
「依頼だからです。」
ユラは、追撃の言葉を放てないように突き放すように言う。マリアの言葉は、ユラの許せる範囲の内容ではなかったからだ。探りだ、っと訴えられても反論出来ないだろう。マリアも、それが分かったのか素直に謝る。まあ、ユラは少し不機嫌なのだが。
「機嫌を直せよ。男なら、優しく見逃してやれ。」
「なら貴方は、ルノちゃんのプライベートを他人に探られても優しく見逃してやれます?」
ユラは、分かりきった質問を素っ気なく言う。
「許さんし、ボッコボコにしてやる!」
皆は、お茶を飲みながら呆れた視線を向ける。
「こう言うのを、世間一般では親バカって言うんですよねぇー。しかも、有り得ないくらい強い親バカって……。更に、たちが悪いし厄介ですね。」
ユラは、呆れたように呟きタメ息を吐き出せば店内は爆笑に包まれる。ユラは、静かにお茶を飲んだ。
「それにしても、お前の腰の鈴は覇者の鈴か?」
「覇者の鈴?僕は、お守りだとしか。」
すると、マリアは男を睨む。男は、敢えて無視するとユラに説明してやる。すると、ユラは苦笑してから鈴を外す。そして、1つは荷物の中にしまう。
「マリアさん、これは受け取れません。」
「貴方なら、そう言うと思ってたわ。」
マリアは、疲れたようにタメ息を吐き出す。
「マリアさんは、僕の評判を知ってますよね?貴族に取り入って、最初からAランク冒険者になった卑怯者。実力不明で、ズル賢いゲス野郎。とか、いろいろと言いたい放題みたいですが。」
ユラの口調は、とても静かで何処か冷めていた。
「私は、そんな噂話なんて気にしないわ。」
「分かってます。けど、受け取れません。受け取れば、Sランク冒険者を貴族の権力を利用して奪ったと言われかねない。今の僕には、敵が多すぎるからその鈴はマリアさんが持っとくべきです。」
ユラは、苦々しく言う。
「貴方も、苦労するわね。社交界では、命を狙われ冒険者としてはデタラメな評判をつけられ森の賢者としては権力と地位に縛られる。極めつけには、教皇様とかに目をつけられて行動さえも縛られる。」
どう思ってるの?っと、その目は問い掛けている。
「マリアさん、口には気を付けましょうね?国の人に、聞かれたら大問題ですよ?それと、個人情報がだだ漏れしていますよ。それとも、それはお茶に見せかけたお酒なんですかね?」
ユラは、その話題を考えたくなくて現実逃避のために注意と冗談で流す事にする。
昼御飯を食べて、ここで依頼は終了になった。少しだけ、観光して帰ろうかな?うん、そうしよう。
そう決めて、立ち上がろうとしてスイーツを置かれる。ユラは、キョトンとして男を見る。
「マリアが、お前さんを困らせたからな。本来、あそこまで個人情報をペラペラと言えば断罪されてもおかしくねぇ。けど、お前さんはしなかった。」
「本当は、戦いたくないし傷付けたくない。けど、周りの状況がそれを許してくれないんです。」
ユラは、悲しげで辛そうな表情で呟く。
「だろうな。」
「では、いただきます。」
ユラは、嬉しそうにスイーツを食べる。だが、男にはユラが無茶をしているのが良く分かった。
「俺の名は、バロン・フーヤだ。よろしくな。」
「僕は、ユラです。よろしくお願いします。」
すると、バロンは苦笑する。
「敬語は、やめろ。苦手なんだ。」
ユラは、断ったのだがバロンの必死さに根負けするのだった。ちなみに、それを知ったマリアがユラに必死にお願いするがユラは逃げ切るのだった。




