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お昼の役割分担

さて、出発して何時間が立つ。


「ここで、お昼にしましょうか。」


マリアさんは、そう言うと馬車を止める。


「さてと、役割分担よろしく!」


そう言うと、荷物を降ろす。さて、どうしようか?


女性冒険者は、6人で男性冒険者が8人。


「男性3人は、荷降ろしを手伝って。女性2人は、料理出来る人がやってくれると嬉しいんだけど。」


すると、落ち込む女性陣。それを見て、察してから何でもなかったように言う。


「料理は、僕がするから女性3人は薪を拾って来てマリアさんは自由にどうぞ。」


「ちょっと、良いかしら?少し離れた所に、村があって行きたいのだけど大人数だと怖がられると思うの。だから、少人数で商品を売りに行きたいのだけれど人は割けるかしら?大丈夫そう?」


マリアさんは、少し困ったように笑う。僕は、暢気笑ってから名前指定で役割分担を伝える。


「大丈夫です。さて、料理は僕が作るのでシュガさんとリュトンさんそしてラキさんとティアナさんはマリアさんと村へお願いしますね。」


すると、リュトンが言う。彼は、竜人族である。


「ちなみに、その人選の意味を教えてください。」


「えっと、まずは女性2人からですが。ティアナさんもラキさんも、攻撃的な性格はしていませんし村人が受け入れやすいと思ったので。それにマリアさんだって、男に囲まれてたら息が詰まると思うんですよ。同性なら、安心感もあるでしょうし。男性2人は、コミュニケーション力があり冷静な性格な人を選んだつもりですよ。えっと、駄目ですか?」


リュトンさんに、行きたくないなら言ってくれと態度で示し暢気に笑う。ユラは、縛られるのは嫌いだが縛るのはもっと嫌いだ。なので、個人の意志があるのならカモーン!な気分でリュトンを見る。


「いいえ、それで良いです。さすが、ユラ様。」


その言葉に、何人かが此方を見る。


「リュトンさん、様は要りませんよ。」


「畏まりました。」


「あかんやつだ……。」


思わず、ガクッとなる。


さて、その他の役割を決めないと。


「ジェミーさんとナナさんは、少し多めに薪を集めて下さい。マリアさんの、帰り次第ではここで夜営をする事になりますからね。ガンドさんとゼノさんは水の調達をお願いします。」


「私は、何をすれば良いの?」


レイナが、暢気に手を上げる。


「メルゼトさんとガーザンさんとユグさんに、テントの準備をしてもらうので魔物避けのマジックアイテムの設置をお願いします。良いですか?」


「もちろん、魔力量だけは自信あるの任せて!」


この人、魔力量がかなり有るんだよねぇー。


「あっ、勿論だけどユラ君には負けるわよ。私が、泉ならユラ君は海だから。うん、訂正するわ。」


すると、ギョッとして何人かがまた此方を見る。


お願いだから、君ら余計な事を言わないでくれぇ!


心で叫びながら、タメ息を吐き出す。


「さて、暫くかかるので荷車に荷物を運ぶ作業を5人でしててください。食事して、行きますよね?」


「そのつもりよ、お願いするわね。」


さて、マジックバックから野菜を取りだし調理器具を移動させ料理をする。かなり、良い感じだ。


「よし、出来た。」


すると、ティアナとレイナが来る。


「私達に、何か出来る事はある?」


「いいえ、無いですよ。そうだ、すみませんが皆に昼御飯が出来たと伝えてください。」


「了解したわ。」


「うん、了解!」


皆は、座って昼御飯を食べる。


「すげぇー、旨い!」


「あら、本当に美味しい。」


ユラは、暢気に笑うとモグモグ食べながら考えた。


森で暮らしてた時は、いつも作ってたっけ?カリオスが、美味しいって言うから頑張っていろいろと作れるように頑張った記憶があるな。


帰りたい、あの森へ………。権力とか身分とか、何も気にしなくても生きていけたあの森へ。


駄目だな。自分のせいで、人が死んだせいで少し弱気になっている自分がいる。毒味をした、あの人はあれから死んだらしい。猛毒で、即死系の毒が入ってたそうだ。僕が、言わなかったから。


「ユラ君は、偉い人なの?」


「えっ?いや、違うよ?」


ユラは、ハッとなって言う。


「何を、言ってるのですか?竜王様の、お気に入りで森の賢者様なのですよ。一部の話では、竜国の国王候補にするべきだと声が上がるほど。それと、本物の神様とも関わりがあるとか。もう、生神様なのではとか言われてます。私も、会えて感激です。」


リュトンさん、凄い事をつらつら言ってしまった。


「へぇー、貴方が噂に名高い森の賢者様なのね。」


「少し前までは、そうでしたよ?今は、ただのユラですよ。もう、賢者では無いんですから。なのに、周りは僕を賢者として扱う。そして、教皇様さえ、僕を賢者として働かそうとするんです。」


子供みたいに、ムスッとした表情をする。


「でしょうね。貴方、とても優秀だもの。手放すのが、もったいないとでも思っているのかもよ。」


「確かに、一理あるな。」


皆は、うんうんと頷きながらご飯を完食する。


「ユラ君は、賢者に戻りたくないの?」


「正直、戻りたくないです。」


「貴方も、苦労するわね……。」


真顔で答えたユラに、思わず慰めるレイナだった。

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