表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/115

裁きと失踪

なが~い!すみません、遅れました。

僕は、夜会の担当医の手伝いで来た。正直、ここには聖女である彼女が居るので帰りたい。


「あら、探したのよイリニ。私の、旦那様。」


「………私は、貴方の旦那様ではありません。」


やっぱり、ここに来るよね。でも、堪えないと。早く、助けてください………お爺様………。


「あら、聖女の言葉は神の言葉よ?私が、神託だって言ったら誰もが素直に従うべきよ。」


すると、周りの貴族がお祝いの言葉を言い出す。そして、華やかな音楽が流れ出す。


「僕はそんな事、一言も言ってないけどね。」


次の瞬間に、音楽が止まり全員が声の主を見る。


すると、アベラ公爵令嬢は首を傾げる。そして、貴族達は青ざめてお祝いの言葉の撤回を言い出す。


ユラの後ろには、大勢の神々が続き空は天使達が舞って警戒している。ユラは、冷たい笑みでアベラを見ている。しかし、彼女には通じていない。


「はぁ?私は、神託を受けたわ!」


「だから、それは無いと言ってる。」


ユラは、神々の王としての雰囲気を解放する。すると、アベラは立てなくなる。後ろで、神々が笑っているのが聞こえる。天使達も、険しい表情だ。


「我が名は、神位第2位・神王ハイリヒ。我は、地上の神々を束ね管理する主の代理である。」


「私は、その主神様から……」


すると、ユラは呆れたようにため息を吐き出す。神々は、大きな声で馬鹿にしたように笑う。


「それは、有り得ない。なら、何故お前は死んでないんだ?代々、主の神託を受けた聖女は神託を告げる事なく死んでいる。今の聖女は、昔の聖女と違って弱く脆いからな。それと、私も主の命で動いているのだがどういう事だろうか?」


すると、その場の全員が驚いてアベラを見ている。


「しっ、知らないわ!」


「無礼者!神王様に、敬意を払え小娘!」


神々から、凄まじい殺気が放たれる。ユラは、止めるつもりは無いのか無言である。


「神だから、敬えって言うの?侯爵風情が。」


ユラは、小さく笑ってから低い声音で言う。


「神に、爵位なんて関係ないのだが。そうだな、ならばこうしよう。神々達に、攻撃を許可しよう。小娘、お前はその権力とやらで何とかすれば良い。それと、これは常識だがお前は公爵家の娘であって公爵ではない。つまり、公爵の権力は使えない。」


つまり、神々にズタボロにされて終わるだろう。


すると、周りも察したのか青ざめている。すると、アベラは激怒したように言う。


「でも、私は公爵令嬢なのよ!家族なら………」


「小娘、その爵位はお前の父親に送られたものでお前の爵位ではない。公の立場では、令嬢は2つしたの爵位として見られる。つまり、公の場では中級伯爵くらいの権力しかない。だから、公の場では上位伯爵に下から話さなければならない。これは、学校で習う常識なのだが。常識も、出来てないとは……」


ユラは、思わず言葉を濁す。ちなみに、今の発言で公爵令嬢としての彼女は終わってしまった。常識の出来ない、頭の悪い馬鹿だと認識されたからだ。


貴族業界では、相手に舐められると色々と終わってしまう。公爵を陥れたい、同じ公爵や侯爵は嬉しい事だろう。何せ、神王が言葉を濁して馬鹿だと言ったのだ。これを餌に、公爵を潰しにかかるだろう。


本来なら、娘だけ罰して公爵を助けるのだが。ユラにとって、その公爵は嫌な思い出がある。


ベザリ公爵………。


過去に、カリオスに免罪をかける手助けをした男。


奴なら、きっと娘を見捨てて保身に動くだろう。最悪、妻や息子・家臣を盾に使うと思われる。


この際、良い機会だから潰すの手伝うかな。


「お待ちください。娘の教育は、家臣に任せていたばかりに失敗致しました。妻にも、何かあれば指摘するように言っていたのですが。」


「公爵、それはお前のせいでもある。何故、ここまで派手に会場で淑女らしからぬ言動をしているのに止めない?親なら、子の過ちを止めるのは当たり前であろう。子の過ちは、親の責任………言い逃れするな。それこそ、常識の事だろう。」


はい、これで公爵も馬鹿だと認識されたね。


「しかし、私は仕事で忙しく存じませんでした。」


ふーん、知らなかった………ね?違うよね?


「ほう、私を相手に嘘をつくとは面白い。」


ユラは、黄金の瞳なので嘘は意味をなさない。カリオスは、苦笑している。他の団長達はニヤニヤ。


「いっ、いいえ……決して嘘など!」


「私の瞳が、神眼だと知らないのか?私の瞳には、全ての嘘を見抜き真実を写す力が有ることも。だからこそ、神々達に信頼され神王にされたのだが。」


ユラは、この国の神話でも有名なのにと思う。それを、表情に出さないようにして首を傾げる。


「ハイリヒ様、我らはそれだけで選んだのではありません!聡明で、厳しくも優しい貴方様の性格や真面目にお仕事をなさる姿勢………それに……」


「あー……、分かった。取り敢えず、黙れ。」


いきなり、熱く語り出す神を黙らせるが他の神々もそうだと頷いていたので意味をなさない。


「はっ!話を遮り、申し訳ありませんでした。」


「はぁー……、話を戻すが嘘は見えてる。ここで、暴露されるより爵位を王家に返して逃げる事をお薦めするが。まぁ、娘は死罪が決まっているがな。」


そう言って、アベラを見れば失禁するアベラ。


「何で、助けてお父様!」


「…………知らん。私は、知らん!」


そっか、それが答えなんだね。


「はぁー……、良かろう。公爵は、アベラ嬢の存在を利用して優位に立とうとしていた。聖女なら、ルピア王の息子に嫁入りさせるには良い。しかし、予想外だったのはアベラ嬢が私の孫であるイリニに恋をした事だった。だが、お前はそれも利用できると放置していた。そして、子供を盾に裏でいろいろやろうとしていた。これは、国家を揺るがす事態だ。」


「つまり、王家の乗っ取りをはかろうと?」


ルピア陛下は、冷たい声音でユラに聞く。ユラは、真剣な表情で無言で頷く。少し、不機嫌そうだ。


「アベラ嬢は、本物の聖女では無いがな。」


すると、全員が驚いてユラを見ている。


「お前は、世界の結晶を持っているな?」


「………っ!?」


カリオス達は、青ざめている。しかし、結晶の事を知るのは神々と天使そして団長・副団長・国王のみである。他の人は、戸惑いの表情である。


「結晶は、おそらく強奪の結晶だな。まさか、使える人間が居るとは思わなかったが。」


ユラは、呟くように言えばアベラは叫ぶ!


「あいつの、あいつの魂を奪って!」


だがしかし、石はピクリとも動かない。ユラは、人間の姿になり囁くように石に言葉をかける。


「お前は、誰にも奪われない。お前は、お前の意思で力を貸せば良い。無理強いは、絶対にしない。戻っておいで、君には帰る場所があるのだから。」


すると、アベラの持つ石が輝き命令を拒絶する。


ユラは、嬉しそうに笑う。


良かった、まだ堕天してない。


「何してるの!早く、あいつの命を奪いなさい!」


えっ、ちょ………まずい!


「馬鹿!」


ユラは急いで、守護の石を使う。


「何で、私を襲うのよ!」


暴走したのだ。


「あぁー、やらかしたね。」


「ユラ、可能な限り早くおさめて!」


カリオスも、魔法で阻むが苦し気である。


「はいはい。じゃあ、終わらせるね。」


そう言い、石に近づいてアベラから奪い取る。


「まったく、眠りなさい。」


すると、石は光をなくし何も起こらなくなる。ユラは、ポケットに石を入れてから言う。


「この石で、聖女の称号と命を奪ったんだね。」


ユラは、不愉快そうに言う。アベラから、美貌と髪が奪われていた。どうやら、石は暴走しながらもちゃんと彼女の大切なものを奪ったようだ。まぁ、自業自得だね。神の姿になり、ため息を吐き出して天使達に真剣な表情で命令する。


「彼女を捕らえ、神聖なる裁きにかけよ。そして、彼女のせいで不幸になった人々に癒しを与えよう。まったく、世界の結晶がらみはやめて欲しい。」


ヴァイスは、天使達に指示を出せば天使達が羽ばたきアベラを連れて行った。ユラは、ため息を吐き出してから神々に指示を出していく。そして、運命の結晶を取り出し聖女の魂を呼び告げる。


「まず、問おう………。お前は、転生したいか?」


『いいえ、確かに聖女の役目が出来なかった事に後悔がありますが、静かに眠らせてください。』


ユラは、頷いてその魂を解放する。


「ハイリヒ様、主神様から伝言をお預かりしています。『まず、仕事をお疲れだった。次の聖女について、会議をするので近いうちに天界へ来てくれ。』との事でした。今日は、呼ばないそうです。」


「分かった……。さて皆、手伝いご苦労だった。撤退だ。仕事を任せた、一部の神々には申し訳ない。」


後に、ベザリ公爵は潰れ埋め合わせの会議が行われる。そして、驚きの結末となって帰ってきた。


「うーん、眠い………。」


「ユラ、公爵への昇格おめでとう。」


ユラは、キョトンとしてカリオスを見る。


「は?」


「ん?」


ユラが、思わず抗議したのは言うまでもない。しかし、主神の良いんじゃない?発言で、押し通させるのは数秒後の話でもある。


「何か、疲れた……。」


ユラは、自室の椅子に座り、ぐったりと机に突っ伏す。ヴァイスは、紅茶を入れてから言う。


「お疲れ様でした。しかし、ユラ様が公爵様にですか?しかし、何もしないのは舐められるのでわ?」


ユラは、起き上がりため息を吐き出して言う。


「神王を、土地に縛るつもりは無いそうだよ。でもさ、役職や爵位で縛ってるから同じだよね。」


「きっと、ルピア陛下なら『親の同意』を理由に屁理屈を言うと思いますよ。しかし、主神様の考えが分かりませんね………。何故、王家の肩を持つのでしょうか。何か、隠していそうですね。」


ユラは、苦笑して紅茶を飲む。そして、ため息を吐き出して悲しそうに小さく呟く。


「………僕を、守るためだろうね。」


「え?」


ヴァイスは、キョトンとしてユラを見るが、ユラは既に表情を隠しておりほのぼのとしている。


「ユラ様?」


聞き返すが、ユラは無視して書類を読むのでヴァイスは黙る。ユラは、内心は苦笑した。


知ったら、ヴァイスは行動を起こす。


爵位は、イリニに継がせるとして……。神王は、主神と女神との間に生まれた子供がなるよね。問題は、結晶の使い手だよね。でも、アベラが使えたなら他にもいるはず。主神が、結婚したのは少し前だ。


となると、僕より血の強い息子を役職に着かせる必要がある。知っての通り、僕は作られた神だ。


称号を取られたら、ほぼ竜でしかない。


もう、いい加減に消えても良いよね?


それに、医療班副団長の後釜は育ってる。


とにかく、結晶の使い手を探さないと………。


ユラは、ため息を吐き出してまた机に突っ伏した。これは、早く見つけないと主神にばれたら………


おそらく、天界へ戻される………。


カリオス、死ぬのは僕の方が先かもしれない。


ごめん………。


まぁ、言えないんだけどね。


ユラは、表情に仮面を被る事にした。これから、数日後に結晶の使い手が見つかった。


そして、ユラが姿を消した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ