呪われた大地
おっ、遅くなりました!( ´;゜;∀;゜;)
カリオスは、思わず青ざめた顔でユラを見ている。勿論、ユラは苦笑して困ったように呟く。
「僕は医者で、あくまで戦闘は嗜みなんだけど。」
その言葉に、カリオス達は呆れた視線を向ける。まるで、『嘘を言うな』とか『冗談でも笑えない』と顔が言っている。勿論、他国の騎士の数人もチラホラとそんな表情を浮かべている。
「ふん!若いもんが、情けない………」
すると、カリオスは顔をそむけて呟く。それに対して、シアンが思わずといった表情で呟く。
「いや、ユラは神だから歳上なんだけど…………。」
「まぁ、見た目が若いからな。」
ユラは、小さくため息を吐き出す。ちなみに、ユラが自分の地位を威張ったように言っていたが。これは、全てが終わった時の布石である。本人は、威張ってはいないし冷静に釘を刺しただけなのだ。
「私は、長く国で武闘派として仕事をしてきたので腕には自信がある。お前も、副団長ならばそれなりに腕前はある筈だろう?もしや、負けるのが怖いのか?腰抜けで、役に立たんお荷物ではないか。」
こいつ、殺しちゃっても良いかな?っと、満面の笑みでカリオスとルピア陛下を見ているユラ。
「ユラ、殺すのは無しでお願い。」
「カリオス殿は、私が負けるとお思いですかな?」
バーホン男爵は、不機嫌そうにカリオスを見る。カリオスは、悪気が無さそうにあっさりと言う。
「うん、瞬殺じゃないかな?」
「そうだ、神力を使ったらそうですな。」
すると、カリオスは頭が痛そうにため息を吐き出した。ルピア陛下は、呆れた視線をバーホン男爵に向けている。シアン達は、どう反応すれば良いのか分からないのか複雑な表情である。
「僕は、ユラが神力を使わない前提で話してる。」
「はははっ、御冗談を………」
「これでも、僕はユラが人間だった時からの仲だからね。ユラは、人間だった頃から僕達と同等の力量と才能を持っていた。騎士団長になって、初めてユラにダメージを受けたくらい人間のユラも強い。」
すると、それは初めて知ったのかシアン達も驚いている。ユラは、少しだけ不機嫌に言う。
「それ、誰にも言わない約束だったよね?」
「あの頃の君は、平民で子供だったし守らないとと思ってたから頷いただけ。今のユラなら、大抵の相手はどうとでもなるでしょう?今更、暴露したって対して問題ないと思うけど。そうでしょう?」
ユラは、苦笑してから小さくため息をつく。
「カリオス、君も言うようになったよね。」
「歳上に、気をつかっても疲れるだけだしね。」
カリオスは、満面の笑みを浮かべている。
「なら、少しは労って欲しいよ。余り、年寄りに無茶難題を押し付けないでくれる?最近は、剣を握ってないし大丈夫かな?少し、不安なんだけど。」
「それ、笑えない冗談だね。Sランク冒険者が、どうやったら枯木と戦って負けるんだい?」
ユラは、カリオスが不機嫌なのに気付いて苦笑。枯木と言われた、バーホンは激怒の余りに怒鳴る。
「枯木とは、失礼が過ぎるのではカリオス殿!」
「あのさ、君が活躍したのは5年前だけ。でも、ユラはSランク冒険者でバトルドクターの資格を持つ実力者だよ。さらに、異世界人でもある。」
すると、他国の騎士達は驚いてざわめく。
「えっと、カリオス?その、少し落ち着こうか。」
ユラは、困ったようにカリオスを見てから言う。
「最近、僕は少し思うんだけど………。この国の人々は、異様な程にユラの存在を否定するよね。いくらユラが、命や人生を削ってまで守ってくれてるのにさ。それは、何故なのかな。僕は、知りたい。」
「ふんっ、本当に守ってくれてるのやら………。」
ユラは、バーホンの言葉に困ったような悲し気な表情を一瞬する。最も、バーホン以外は一瞬あればその表情を見落とす事は無いのだが。
「君達は、この大地が呪われた理由を知ってる?」
すると、全員がユラを見ている。
「異常気象は、クリュセトが国神時代に怒りと悲しみの余りにかけた呪いだよ。でも、レレット王国の一部の大地が呪われてるのは君達のせいだ。」
すると、カリオス達はユラを真剣に見ている。
「この国に、僕が来るまでなぜ国神が居なかったと思う?実は、僕が来るまでこの国に神様は一人も居なかった。この国は、神々の信仰が無いんだよ。だから、他の神々は守護の義務がなかった。でも、主の子である僕に不自由が無いよう対応してた。」
ユラは、静かな声で真剣に呟くように言う。
「カリオス、僕は信頼してるカリオス達さえ守れればそれで良い。他は、ついでに守っているだけだと言ったよね。あれは、紛れもない本心。だって、僕を守るはずの民が僕を信仰してないから。僕らは、民に信仰される事で力をつける。けど、信仰は少ないこの国では僕は本来の力を出せない。」
「ユラは、この国が好きだって言ったよね。」
カリオスは、少しだけ苦笑して言う。
「うん。でも、いざとなれば捨てる覚悟もある。」
ユラは、無表情であっさりと言う。思わず、寒気がして冷や汗がでるカリオス達。
「どうして、僕達のせいで呪われてるの?」
「信仰が、全く無いから。普通は、少しでも信仰があれば恩を返そうと神々は動くものだよ。でも、信仰が無いから見返りの恩恵はない。恩恵には、大地の穢れを祓い魔力で大地を潤すものがある。この国は、1度もその恩恵を使われてない。この国の大地は、穢れを多く含みそれが瘴気となっている。それが原因で、多くの民が死亡しているから、神々達はこの国を呪われた大地と呼ぶんだよ。」
ユラは、少しだけ表情を緩めてルピア陛下を見る。
「さて、決闘だよね。どこで、決闘をするの。」
「ユラに、まだ聞きたい事がある。」
ユラは、やれやれとため息を吐き出し振り返る。
「ユラは、この国に居て辛い?苦しい?」
「…………それは、コメント出来ない。」
「どうして?」
「僕にも、分からないから。」
ユラは、苦笑してからルピア陛下を見る。
「さて、決闘だったな。」
「私が勝てば、この国から去って貰うぞ化け物!」
「はぁ………、後悔しても知らないよ?」
ユラ達は、運動場に移動する。
結果は、赤子の手を捻るように瞬殺であった。
「さて、終わりだよね。」
「お前、卑怯な事をしただろう!」
本当に、面倒だなぁ………。よし、無視しよう。
「それで、会議の内容を知らないのですが。」
「会議は、終わったから後で書類で渡すね。」
なるほど………。カリオス、後で覚えてろ…………。
「ねぇ、カリオスさんや。これ僕が、決闘する必要がある案件?それとも、わざとなのかな?会議、終わってるなら後で呼べば良い事だよね?」
「あー、ごめん♪」
ユラは、不機嫌な様子でカリオスを見ていたが、小さくため息を吐き出す。カリオスは、思わず視線を逸らして苦笑している。ユラは、カリオスが自分に性格的な手加減………気の許しかたを変えたのだと理解する。しかし、余り嬉しくないと思ってしまう。
「まったく………。」
カリオスは、ユラが思わず溢した言葉に思わずホッとする。ユラは、資料を受け取り目を通す。
「思いの外、ユラが怒らなかったから無駄に緊張しちゃったよ。もう、ユラの逆鱗には絶対に触れたくないから尚更にね。はぁー……、疲れたぁ。」
ユラは、ジト目でカリオスを見てから言う。
「それ、自業自得でしょ?それに、僕は普段は温厚な性格じゃない。竜力のせいで、最近は気性が荒いけどさ。それは、種族として本能的なものだし。」
カリオスは、思わず笑って頷く。
「なるほど、理解したよ。」
ユラは、シアンに連れられて医療室に向かう。
後に、バーホンは処罰として領地を半分も返却するように王命がくだされた。




